キリアン・エムバペの契約・年俸・純資産まとめ|彼の移籍によってPSGが大金を節約できるワケ

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Kylian Mbappe with Bradley Barcola of Paris Saint-Germain
Getty Images

キリアン・エムバペは間もなく、近年のサッカー史上で最も価値のあるフリー選手になろうとしている。

2月15日、各種媒体でフランスのスターがパリ・サンジェルマン(PSG)に対し契約が切れる今年6月にクラブを去る意向を伝えたことが報道された。本人は5月10日にこの情報を認めている。

エムバペがPSGとの契約を更新しないことは長い間予測されていたものの、レアル・マドリードへの移籍が噂されながらクラブに留まることになった2022年のように、今回も残留の可能性に期待するPSGファンもいたことだろう。しかし彼は、2024-2025シーズンに向けて母国フランスを離れるようだ。

今シーズン限りで現在の契約が切れるため移籍金は必要ないが、それでもエムバペの契約には巨額の資金が必要になる。給料やボーナス、その他の支払いを全て含めたとき、クラブ側は帳尻を合わせるためにそれ以外の予算を慎重に組まなければならないかもしれない。

実際、本来あったはずの多額の移籍金を受け取れないとしても、エムバペへの支払い分を節約することはPSGにとって大きな利点となるだろう。以下で理由を解説する。

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エムバペの現在の契約・年俸

報道によれば、エムバぺのPSGでの年俸はボーナスを除いて7500万ユーロ(約120億円/1ユーロ=160円換算。以下同)だという。2022年に締結した彼の契約は2024年の6月に期限を迎える。

アスレティック』は1月、2022年にレアル・マドリードがエムバぺ獲得に動いた際、1億3000万ユーロ(約208億円)の契約金と2600万ユーロ(約41億6000万円)の年俸を提示したと報道した。その後、彼は結局PSGとの契約を更新した。

ただここまでで触れた金額は、追加のインセンティブやボーナスを除いた、単に基本給を示す数字であることに注意が必要だ。『ル・パリジャン』の報道によると、エムバペの契約には1億5000万ユーロ(約240億円)の契約金に加え、クラブ残留に対して毎年7000万ユーロ(約112億円)のロイヤリティボーナスが含まれていたという。そのロイヤリティボーナスはあと1年の延長オプションを行使した場合、9000万ユーロ(約144億円)まで上昇する見込みだったが、彼はその選択肢を選ばなかった。

肖像権やその他パフォーマンスに対するボーナスも含めると、PSGのオファーを上回るものはないとしても、彼の長期的な軌跡を考慮した上でレアル・マドリードなどからのオファーがそれに匹敵することは明らかだろう。

Kylian Mbappe
Getty Images

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エムバペの獲得にはいくら必要?

今夏にエムバペと契約を結ぼうとすれば巨額の資金が必要であることは間違いないが、現在の年俸と同等かそれ以上になる可能性は低い。

現在彼がPSGで毎年7500万ユーロ(約120億円)を稼いでいることをふまえると、レアル・マドリードは2年前に提示した2600万ユーロ(約41億6000万円)の年俸より魅力的なオファーが必要になるだろう。

BBCスポーツ』の報道によれば、エムバペはレアル・マドリードが提示した年俸1500万ユーロ(約24億円)の新たなオファーに同意したようだ。年俸の減額分は、5年間で支払われる1億5000万ユーロ(約240億円)の契約金で埋め合わせる。また、ラ・リーガのトップクラブでは珍しくない一部の肖像権の保有も含まれているとのこと。

エムバペは、現在のPSGとの契約に匹敵するオファーを出せるクラブがヨーロッパにほとんどなく、国家所有のクラブくらいしかそれに近づけないことを知っているはずだ。さらに、スペインのクラブが守らなければならない厳しい財政的制約を考えると、レアル・マドリードへの入団は年俸の大幅ダウンを意味するかもしれないが、世界有数の象徴的で知名度の高いクラブでプレーする間の肖像権やボーナス、その他の支払いなどを含めると、差を埋め合わせる方法はある。BBCスポーツはこの点を明確にした。

現在のPSGでの年俸と同等かそれ以上を払える余裕があるのは、サウジアラビアのクラブだけだろう。マンチェスター・シティでさえ、それには遠く及ばない。最も年俸の高いケビン・デ・ブライネやアーリング・ハーランドでも約2450万ユーロ(約39億2000万円)であり、エムバペのPSGでの年俸のわずか3分の1なのだ。

だが『フォーブス』の報道によると、エムバペは昨年夏にサウジアラビアのアル・ヒラルから届いた年俸およそ7億ユーロ(約1120億円)の破格のオファーを断ったという。

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エムバペの純資産

フォーブス』によると、2023年のエムバペの純資産は1億2000万ドル(約180億円/1ドル=150円換算)であり、アスリート長者番付では3位だった。

世界最高のサッカー選手の1人として、エムバペはナイキやルイ・ヴィトン、ウブロなどと商業契約を結び、2020年には初めてFIFAゲームシリーズ(現EAスポーツFC)のカバースターにも選出された。

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エムバペの移籍金:PSGはいくら払った?

PSGは、2017年にリーグ・アンのライバルであるモナコからエムバペを獲得。その際の移籍金は1億8000万ユーロ(約288億円)であり、その直前にバルセロナから加入したネイマールの2億2200万ユーロ(約355億2000万円)に次いで史上2番目に大きな移籍となった。

エムバペの現在の契約では全ての要素を含めると年俸2億ユーロ(約320億円)に上り、計7年間の在籍中にPSGは6億ユーロ(約960億円)以上を支払った。

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エムバペのフリー移籍でPSGが大金を節約できるワケ

エムバペは昨夏、サウジアラビアのアル・ヒラルから届いた移籍金3億ユーロ(約480億円)という世界記録のオファーを断った。しかし、PSGは今夏彼がフリーで出ていくのを見送ることになる。

それはクラブにとって大きな痛手であるように思われるが、彼のフリー移籍でPSGは大金を節約できるだろう。

もしエムバペが延長オプションを行使していたら、PSGはあと1年間彼の多額の年俸に加え、クラブや彼個人の功績に応じたボーナスを支払うことになる。しかし彼が去ることを決めた今、それらを帳簿上から消すことができるのだ。

延長オプションを行使するかどうかはさておき、2023年8月時点でPSGに残留していればエムバペは少なくとも6000万ユーロ(約96億円)のロイヤリティボーナスを受け取るはずだった。しかしながら、フランスでの報道によれば、彼はクラブに対する善意の証として、また2024年6月の移籍を少しでも容易にするため、このボーナスを放棄したという。

エムバペに支払われるはずだった実際のボーナスの総額については論争が巻き起こっている。『RMCスポーツ』によれば、その額は8000万ユーロ(約128億円)近くまで上るというが、正確な金額はともかく、彼が契約満了で退団することでPSGは多額の費用を節約できることになる。

実際、PSGの計画は、万が一エムバペが残留を望まなくなった場合でも財政的にカバーできるよう準備されていたように思われる。ロイヤリティボーナスの放棄に加え、彼の年俸やその他のボーナスが浮いたということは、移籍金がないとしても、2024年夏の移籍市場で十分な補強ができるだろう。

2月17日、この件についてもう少しはっきりしたことが明らかになった。『アスレティック』によると、昨夏にエムバペが契約を延長しないことが判明しトップチームから転落した後、PSGと本人の間で厳格な交渉が行われていたという。その結果、エムバペがフリー移籍でクラブを去ることになった場合、何らかの形で補償をするといういくつかの複雑な取り決めが成立したようだ。具体的にどうなるかはまだ分からないが、同メディアはこれらの取り決めに法的拘束力があると述べている。

PSGがエムバペの残留を望んでいたことは間違いない。しかし、彼に支払うはずだった多額の費用を節約することで、ルイス・エンリケ率いるこのクラブはスター選手よりも総合力を優先した新たな一歩を踏み出すチャンスを得るだろう。

原文:Kylian Mbappe contract, salary: Net worth, earnings of PSG star and how his transfer could save the club millions
翻訳:山下晴輝(スポーティングニュース日本版)

著者
Joe Wright Photo

Joe is Senior Editor (Football) at Sporting News.

山下晴輝 Haruki Yamashita Photo

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター