【独占コラム】神戸から見えた『強いチームの証』(ジェイ・ボスロイド)

Jay Bothroyd

【独占コラム】神戸から見えた『強いチームの証』(ジェイ・ボスロイド) image

サッカー元イングランド代表のフォワード(FW)で、Jリーグのジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌でもプレーしたジェイ・ボスロイド氏が、最近のJリーグについて『スポーティングニュース』に独占コラムを寄稿した。5月19~20日の週末に行われるJ1第14節を前に、気になるチームの現状を分析する。

▶サッカー等の試合結果を予想する無料の新ゲーム登場! 豪華賞品も


頂点に立つチームは調子が良くないときに結果を出す

得点は勝利をもたらし、無失点は優勝をもたらす。常に好調を維持することは困難で、ときには耐え忍ぶことも必要になる。先週末のJリーグでは、最も好調のチームから、その忍耐力が見られた。

ヴィッセル神戸は横浜F・マリノスに敗れてから、4試合負けなしで、昨季王者との勝ち点差を5に広げた。

サンフレッチェ広島戦では、いいプレーができなかった。ボール保持率はそれほど高くなかったし、枠内シュート数も少なかったが、プレーは堅実だった。オウンゴールという幸運な形での得点だったが、ディフェンダーとキーパーの間に出した、武藤嘉紀の素晴らしいパスが得点を生んだ。もし、(広島の)荒木隼人が足を出さなかったら、山口蛍が押し込んでいただろう。

まだタイトルの話をするには早すぎるが、どのリーグでも、頂点に立つチームは調子が良くないときに結果を出すものだ。今回の神戸からも、それを感じた。広島はとても強いチームだからだ。神戸は上位に留まるだろう。

神戸のスタジアムは素晴らしい。私がプレーしたときは、いつも接戦で難しい試合だった。すべてがうまくいくか、相手が結果を出すか、どちらかだった。この試合も、その通りになった。広島にとっては思い通りの試合ができず、神戸は観客の声援を背に、毅然とした態度でコンパクトに戦った。

吉田孝行監督率いる神戸は、とてもいいチームだ。アンドレス・イニエスタは、まだほとんどプレーしていないが、チームはよく鍛えられていて、組織もしっかりしているので、倒すのが難しい。前節のように本調子ではない試合にも勝つことができるのは、強いチームである証拠だ。

関連記事:無料予想ゲーム『スポーツ得点王』の遊び方は? 予想的中で豪華賞品も

新潟はエネルギーがあり、質の高い選手がいるチーム

翌日、アルビレックス新潟が横浜FMを破ったことで、神戸の勝利の意味も大きくなった。

新潟はエネルギーがあり、質の高い選手がいるチームのひとつだ。両サイドにスピードのある選手がいて、プレスをかけることができて、いいコンビネーションプレーも持っている。試合に負けるのは、若手選手が多いことによる経験不足が出るときだ。しかし、マリノス戦では、一つ一つのタックルで負けていなかったし、いいサッカーを展開した。

藤田譲瑠チマに先制された後、新潟はチームスピリットを見せた。他の多くのチームなら、心が折れていたかもしれない。三戸舜介の2点目は信じられないゴールだった。ボールはネットに突き刺さり、ゴールキーパーの一森純は、振り返ってそれを見ることしかできなかった。それくらい強烈な一撃だった。

あのようなシュートは、キーパーは絶対に防げない。すさまじい一発であり、素晴らしいパフォーマンスを締めくくるに相応しいゴールだった。

【動画】ジェイ・ボスロイド氏が語る久保建英&冨安健洋

素晴らしいスタジアムと、素晴らしい歴史を持つ鹿島

鹿島アントラーズは開幕から不調だったが、現在は5連勝で5位に浮上した。前節は、名古屋グランパスが支配していたので、これも不思議な試合だった。名古屋から勝ち点3を取れたのは大きな成果だ。

神戸と同様、鹿島とのアウェイ戦もタフだ。もしチャンスを逃したら、彼らはホームの観客の前で必ず得点を挙げる。素晴らしいスタジアムと、素晴らしい歴史を持つクラブだ。

樋口雄太は、セットプレーとオープンプレーの両方で見事だった。彼は勤勉に動く、とてもいい選手だ。日本には、ボールの扱いやインターセプトがうまい選手がたくさんいる。だが、樋口はアグレッシブで、果敢にタックルも繰り出す。知念慶の試合を決めた得点は、樋口がいなければ生まれていなかっただろう。

関連記事:無料ゲーム『スポーツ得点王』で遊んでみた! 試合結果をどう予想する?|5月第3週

札幌の「トップ5のフットボール」が見たい

私の古巣、北海道コンサドーレ札幌は、いい数週間を過ごしている。勝利が期待された試合ではあったが、実際に勝つのは簡単ではない。

小柏剛のスピードは、試合を通して湘南ベルマーレを悩ませたし、金子拓郎を一対一で守るのは簡単ではない。素早くて強く、左右どちらにでも抜けるからだ。

あとは、鹿島、広島、横浜FMといったチームとの対戦で、このようなパフォーマンスを見せてほしい。彼らのようなチームを倒すことが、トップ5に入る方法なのだ。もう10〜13位に興味はない。トップ5のフットボールを見たい。それが進歩であり、ここ数年、札幌ではそれが見られていない。

翻訳:早坂卓真

▶三笘所属ブライトンほかの試合結果を予想して豪華賞品をゲット!

Jay Bothroyd

Jay Bothroyd Photo

Jay Bothroyd is a columnist for The Sporting News, offering his expert take on the world of football. Jay enjoyed an illustrious career in England as a striker with the likes of Wolves, Cardiff City and QPR, and spent time with Perugia in Italy. He moved to Asia in 2014, where he enjoyed a goal-filled spell in the J. League with Jubilo Iwata and Hokkaido Consadole Sapporo. He has played for his country at both junior and senior level, making his full international debut for the Three Lions against France in 2010. As well as writing for TSN, Jay is an established TV pundit in the U.K.