【独占コラム】疑問の残ったイニエスタのお別れマッチ開催時期(ジェイ・ボスロイド)

Jay Bothroyd

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サッカー元イングランド代表のフォワード(FW)で、Jリーグのジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌でもプレーしたジェイ・ボスロイド氏が、最近のJリーグやヴィッセル神戸を退団するイニエスタの古巣バルセロナとのお別れマッチの開催時期などについて『スポーティングニュース』に独占コラムを寄稿した。

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欧州からも注目浴びる横浜FMのマスカット監督

Jリーグの2023年シーズンも折り返し地点を過ぎ、予想通り王者が実力を発揮し始めた。シーズン序盤、横浜F・マリノスは調子が良くない試合もあったが、5連勝で首位に躍り出た。

彼らはメンタルが強い。ケビン・マスカット監督の人柄が選手たちに与えた影響も大きいだろう。彼は悪いパフォーマンスや努力不足を受け入れる人ではない。私は彼と個人的な付き合いがあり、何度か一緒に食事に行ったこともあるから、よく知っている。本当にいい人で、アグレッシブな監督だ。

マスカット監督は、選手たちを決して安住させない。昨年タイトルを獲ったが、満足せず、連覇を狙っているのだ。

同じオーストラリア人のアンジェ・ポステコグルー監督は、日本で成功できることを証明し、来季からはトッテナムで指揮を取る。マスカット監督は再びリーグタイトルを狙っている。ヨーロッパからも注目されているだろう。彼が現役生活を送ったイングランドに、監督として舞い戻る可能性は、誰も否定できない。

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神戸のミス…イニエスタのお別れマッチ

ヴィッセル神戸は素晴らしいシーズンを送っている。今季は横浜FMにとって最大のライバルになっているし、先週末は勝利で調子を取り戻したが、アンドレス・イニエスタのお別れマッチを開催したタイミングについては、後悔しているのではないだろうか。

イニエスタは神戸のヒーローであり、オーナーが彼を愛しているのは明らかだ。だからこそ、多額の報酬を払っていたのだろう。私にとっても彼はレジェンドだし、素晴らしい選手だと思う。とはいえ、バルセロナとの試合はインターナショナル・ブレーク(訳者注:国際試合が行われ、国内リーグが休みになる期間)中であってもよかったはずだ。3日後の公式戦で、神戸はセレッソ大阪戦に0-1で敗れた。

現実的に考えて、バルセロナが相手となれば、選手たちは手を抜かずにプレーをするから疲労も溜まる。「ここでいいパフォーマンスを見せれば、誰かの目に留まり、移籍につながるかもしれない」と考えるのは当然だ。強度の低い、ただの親善試合やチャリティーゲームとは違う。その3日後にプレーするのは、とてもハードなことだ。

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躍進するセレッソ、残念な札幌

C大阪は神戸戦に続いて、私の古巣である北海道コンサドーレ札幌を4-1で撃破した。香川真司は大阪に戻って充実した選手生活を送っており、すべてをまとめる接着剤となっている。

彼には経験、クオリティー、ビジョンがあり、ボールを持っても落ち着いていて、試合のテンポをコントロールできる。また、この試合で見せたように、ゴールを奪うこともできる。C大阪は全体的に勤勉なチームで、札幌戦でのゲームプランも完璧だった。

相手に対してハイプレッシャーをかけられることも、札幌がマンツーマンサッカーを仕掛けてくることも分かっていた。マンツーマンでプレーするときは、規律正しく、一対一の守備に長けていなければならない。札幌はそれが苦手だ。札幌のプレーは予測しやすい。

札幌の試合の多くでは、終了後のポゼッションとシュート数を見て、「これは勝つべき試合だった。カウンターで失点して負けたのかもしれないな」と思うだろう。しかし、そうではない。札幌のポゼッションのほとんどは、ゴールキーパーと3バックの間で行われている。マンチェスター・シティや横浜FMのように中盤でポゼッションを支配しているわけではない。

彼らはディフェンシブサードでボールを保持している。それがうまくいくこともあれば、うまくいかずに痛い目にあうこともある。C大阪戦でもそうだった。私は、なぜディフェンダーが守備の基本に取り組まないのか理解できない。

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チャナティップ、三好康児…友人たちのために

私の元チームメイトであるチャナティップ・ソングラシンがJリーグを去り、タイに帰国してパトゥム・ユナイテッドに加入した。彼は称賛に値する選手だ。特に札幌で一緒にプレーしていた頃は素晴らしかった。

チャナティップは他のタイ人選手のために道を開いた。もし彼が失敗していたら、タイ人選手たちが今のようにJリーグに来てプレーする機会はなかっただろう。彼は国を代表し、本物のサッカーを学んだ。これからはきっと、タイに戻って、日本で学んだことを若い選手たちに教えてくれるだろう。

こちらも元同僚の三好康児は、イングランド2部のバーミンガム・シティへの移籍が決まった。近々、彼と会う予定だ。彼は懸命に努力してきたので、移籍については私も嬉しく思う。札幌にいたときも、マリノスに行った後も、同じように努力を続けた。その後、ベルギーのロイヤル・アントワープに移籍し、代表でのプレーも経験した。26歳の彼が、もしバーミンガムで活躍すれば、もっと大きなクラブへ行くだろう。

手前味噌になるが、私が少しでも手助けをできた選手たちがヨーロッパに行くのを見るのは、素晴らしい気分だ。川辺駿や小林祐希は、ジュビロ磐田で一緒にプレーし、ヨーロッパのサッカーについて教えた。三好は本当によくやっているし、鈴木武蔵もそうだ。このような選手たちに少しでも貢献し、ヨーロッパでサッカー選手になるために必要なことを理解する手助けができたことを本当に嬉しく思っている。

翻訳:早坂卓真

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Jay Bothroyd

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Jay Bothroyd is a columnist for The Sporting News, offering his expert take on the world of football. Jay enjoyed an illustrious career in England as a striker with the likes of Wolves, Cardiff City and QPR, and spent time with Perugia in Italy. He moved to Asia in 2014, where he enjoyed a goal-filled spell in the J. League with Jubilo Iwata and Hokkaido Consadole Sapporo. He has played for his country at both junior and senior level, making his full international debut for the Three Lions against France in 2010. As well as writing for TSN, Jay is an established TV pundit in the U.K.