サッカー元イングランド代表のフォワード(FW)で、Jリーグのジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌でもプレーしたジェイ・ボスロイド氏が、FIFA女子ワールドカップ2023の決勝トーナメント進出を決めた、日本代表・なでしこジャパンについて『スポーティングニュース』に独占コラムを寄稿した。
優勝した2011年W杯に匹敵する世代が登場
ワールドカップの決勝トーナメントで、日本がどんな戦いを見せてくれるのか、とても楽しみだ。
スペインを4-0で破ったことは、日本が欧州の強豪相手に屈すると予想していたチームに対する、大きなメッセージとなった。グループリーグでザンビアとコスタリカに勝ったことは、池田太監督にとっても予想通りだっただろう。
スペインにはビッグプレーヤーが何人かいる。チャンピオンズリーグで成功を収めたバルセロナの選手たちが、代表チームにも多く選出されている。しかし、試合が始まると、日本はハーフタイムまでに任務を果たし、そのまま逃げ切った。
宮澤ひなたは2ゴールを挙げる素晴らしい活躍を見せた。彼女はここまで、日本代表で最も突出したパフォーマンスを見せており、今大会の得点王ランキングでも4得点を挙げて首位に立っている。彼女と首位タイのアレクサンドラ・ポップには、もう得点の機会はない。ドイツの敗退が決まってしまったからだ。
今大会は、優勝候補の多くが敗退したり、ベストの状態で戦えずに苦しんだりと、予測不可能な展開となっている。一方、日本は歴史的に女子サッカー強豪国である所以を示した。2011年ワールドカップ優勝チームの勇姿に匹敵するであろう世代が現れたのだ。
流動的でありながら一貫性があり、同時に堅実
ここまで無失点で、攻撃は堅実で、守備は強固だ。私は彼女たちの3-4-3が好きだ。選手たちにとても合っているフォーメーションだと思う。
日本サッカー全体に関して言えば、選手たちはとても規律正しく、言われたことをきちんとやる。彼女たちが、如何にシステムを守ってプレーしているかを見ればわかるだろう。前進するときも、後退するときも、誰も自分勝手なプレーをしようとしない。
彼女たちはクラブチームのようなプレーをする。とてもいいことだ。流動的でありながら一貫性があり、同時に堅実だ。
準々決勝は日本とアメリカという大注目の一戦になるか?
土曜日(5日)のノルウェーとのラウンド16で勝利することができれば、日本は宿敵のアメリカと対戦することになるかもしれない。
アメリカはグループステージ敗退の危機を乗り越えたが、直近の2試合は勝利なしという状況でスウェーデンとのノックアウトステージ初戦に臨む。それでも私は、アメリカが勝つと予想する。もし、日本も勝ち進むことができれば、8月11日にオークランドで行なわれる準々決勝で、大注目の一戦を見ることができる。
イングランドやアメリカのようなチームが相手となると、フィジカル面で問題があると思う。日本の選手たちは技術的には遜色ないので、これらの国と対戦する試合では、自分たちのペースで試合を進めなければならない。
負傷者がいるとはいえ、イングランドは過去最高のチームかもしれない。昨年のユーロで優勝したことで、彼女たちは多くのものを得た。しかし、日本対アメリカの方が大きな歴史を持っている。
日本がノルウェーに勝利すれば、次戦は相手次第という試合になるだろう。ここ数試合の成績だけで、日本が有利だとは言い切れない。アメリカは、いいパフォーマンスができていなくても、経験があるし、結果を出すための小さな要素をすべて持っている。
それでも、宮澤と彼女の優秀なチームメイトたちが、これ以上ないほど絶好調であることは間違いないだろう。
翻訳:早坂卓真
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