クリスティアーノ・ロナウドが最後にユベントスの試合に出場したのは、2021年8月22日のことだ。その直後、古巣マンチェスター・ユナイテッドへと移籍した。
イタリア時代にポルトガルのスターはリーグ王者に2回輝いた。だが、最後はクラブとの関係が悪化。選手が契約延長を準備していないことが明らかになった時、ユベントスは彼を「赤い悪魔」（ユナイテッド）に売却することを選んだ。
しかし、ユベントスはこれからロナウドに小さくない額を支払わなければならなくなったようだ。2024年4月17日、両者の間での法的な争いでユベントスが敗れたのである。
なぜ、ユベントスは元選手に約1000万ユーロ（約16億5000万円／1ユーロ＝165円換算）を支払わなければならないのか。『スポーティングニュース』がまとめる。
クリスティアーノ・ロナウドとユベントスの訴訟問題：なぜ約16億円の支払いに
2024年4月17日、両者の間での法的な争いは選手側に有利なかたちで決着したと発表された。
その結果、ユベントスはロナウドに総額977万4166ユーロ（約16億1274万円）を支払うことを命じられている。
なぜか？
すべては、COVID-19（新型コロナウイルス）のパンデミック期間中に給与支払いが先送りされたことに始まる。世界的な健康危機のさなか、ユベントスのトップチームの選手たちは、4か月分の給与の支払い先送りに合意した。当時、欧州サッカー界は停止を余儀なくされ、スタジアムに観客を入れないかたちで再開されたのだ。これらの対策で世界中のクラブは多額の収入を失った。そのため、選手の給与支払いなど、一部支出を先送りにして埋め合わせることで合意したこともあった。
『Tuttosport』によると、ユベントスと選手たちは、支払いが先送りされる給与のうち、3か月分は以降のシーズンで支払われることで合意していた。だがユベントスは、ロナウドの場合はその必要がないと主張したのだ。2021年8月のユナイテッド移籍の際、ユベントスが以降の金銭的な義務を負わないという合意にロナウドがサインしたとし、これが先送りされた給与支払いの責任より優先されると考えた。一方、ロナウドの弁護士団は法的に正しくないと主張。これが公的に認められた。
Tuttosportによれば、ミラノの仲裁裁判所は、ユベントスにしかるべき金額と利息の支払いを命じた。ユベントスはコメントしておらず、控訴するかどうか明らかにしていない。
こういった給与の未払い分を巡るユベントスと選手の訴訟は、ロナウドのケースが初めてではない。パウロ・ディバラも昨年、370万ユーロ（約6億1050万円）を取り戻すためにクラブを相手取って訴訟している。
いつクリスティアーノ・ロナウドはユベントスと契約した？
ロナウドは2018年7月10日、移籍金1億1200万ユーロ（現在のレートで約184億8000万円）でレアル・マドリーからユベントスに加わった。4年契約だった。
30歳以上の選手の取引としては記録であり、イタリアのクラブによる補強としては史上最高額だ。
ユベントスでのクリスティアーノ・ロナウドのゴールやタイトル
ロナウドは2018-2019シーズンから2022年のユナイテッド復帰まで、ユベントスで公式戦134試合に出場し、101得点をあげた。
得点に関する個人的なパフォーマンスは、予想されたように見事だった。セリエAの年間最優秀選手や2020-2021シーズンの得点王に輝いている。だが、チームの成功という点では、契約時に期待されたレベルに達しなかった。
ロナウド在籍時、ユベントスはセリエA優勝2回、スーペルコッパ・イタリアーナ優勝2回、コッパ・イタリア優勝を達成している。だが、1996年以来となるUEFAチャンピオンズリーグ優勝には至らなかった。
ロナウドのアル・ナスルでの年俸や資産
『Forbes』によると、2023年時点でロナウドの純資産は1億3600万ドル（約210億8000万円／1ドル＝155円換算）となっている。
世界で最も有名なサッカー選手のひとりであるロナウドは、ナイキ社などとのコマーシャル契約で多額の報酬を得ている。また、自身のブランド「CR7」の衣料品・生活雑貨・ホテル・ジムもさらなる収入につながっている。
ロナウドはサウジアラビアのアル・ナスルに所属しており、年俸は約2億1300万ドル（約330億1500万円）と報じられている。
原文：Cristiano Ronaldo Juventus lawsuit explained: Why Serie A club must pay nearly €10 million to star after legal case（抄訳）
翻訳：坂東実藍
