6月8日開幕女子サッカーW杯2019:米国の2連覇を阻むのは? フランスからなでしこジャパンまで

Mike DeCourcy

6月8日開幕女子サッカーW杯2019:米国の2連覇を阻むのは? フランスからなでしこジャパンまで image

6月7日(日本時間8日)に開幕するFIFA女子ワールドカップ・サッカー(女子W杯)2019で、W杯史上初の2連覇を目指す今回の米国代表チームにとって、「最大の脅威はどこか」という問いに答えるにはサッカーの専門家である必要はないだろう。

大会はフランスで行われる。フランスチームはかなり強力だ。もし米国とフランスがともにそれぞれの1次リーグを順当にトップ通過するとしたら、両国は決勝トーナメントの順々決勝でぶつかることになる。

つまり、答えはフランスだ。

だが、それでも専門家の分析を聞いてみるのも悪くはない。

FOXスポーツのアナリストであるアリー・ワーグナーは、米スポーティングニュースにこう語っている。

「フランスチームの強みは爆発的な攻撃力だと思います。もし米国チーム側のディフェンスに問題が起きたとしたら、フランスの攻撃力は大きな脅威になるでしょう」

ワーグナーはこうも語っている。「フランスは観ていて楽しいチームです。彼女たちは爆発的であり、スピードがあり、身体的にも優れており、柔らかなボールタッチと集中力を兼ね備えています。本当に観ていて美しい。さらにディフェンスも素晴らしく、それを突破するのは大変に難しいでしょう」

もちろん、フランスだけが米国の脅威だというわけではない。以下は米スポーティングニュースが予想する、米国の脅威となり得るライバル国のランキングである。

 

1位:フランス

ワンディ・ルナール, フランス女子サッカー代表

世界ランキング:4位

過去最高成績:4位(2011年)

監督:コリーヌ・ディーコン

スター選手:ディフェンダーのワンディ・ルナールは身長約187センチで、オリンピック・リヨンに所属してUEFA女子チャンピオンズリーグで4回の優勝を経験している。2015年のワールドカップではオールスターに選出された。フランス代表チームにおいては2013年からキャプテンを務めている。

ランク入りの理由:フランスが米国にとって最も不気味な存在であるのは、開催国であることのホームアドバンテージに加え、他の有力チームより早い段階で米国と対戦する可能性が大きいことも理由として挙げられる。もし米国が予想通り1次リーグをトップ通過し、そしてフランスも予想通りに1次リーグをトップ通過し、さらに両国ともベスト16のトーナメント1回戦も問題なく突破するとしたら、フランスと米国はパリで行われる準々決勝で対戦することになる。

UEFA女子チャンピオンズリーグを制したオリンピック・リヨンは先発メンバーの6人がフランス人選手で占められている。その中にはキャリア74ゴールを誇るミッドフィルダーのユージーン・レ・ソマーやゴールキーパーのサラ・ブアディも含まれる。しかし、フランスはまだ大きな大会での優勝経験は未だない。オリンピックでの最高は4位であり、2017年のヨーロッパ選手権では準々決勝で姿を消している点はマイナス要素だ。

 

2位:イギリス

世界ランキング:3位

過去最高成績:3位(2015年)

監督:フィリップ・ネヴィル

スター選手:フォワードのエレン・ホワイトは2018年に自身2回目となるイギリス年間最優秀選手賞を受賞している。ホワイトのキャリアは28ゴール、80キャップを数え、ベテランのトニ・ミードや若いニキータ・パリスとベス・ミードらとバランスの取れた攻撃陣を構成している。

ランク入りの理由:ネヴィルの監督就任には賛否両論があったが、2018年1月以来のチーム成績は19試合で11勝4分けと成功を収めている。その中には2019年のシービリーブス・カップ優勝も含まれる。

ユーロ2017準決勝でオランダ相手に0-3で大敗した経験を糧に、イギリスチームはメジャーな大会で好成績を残してきた。2018年のシービリーブス・カップでは決勝戦に進出し、米国に0-1で敗れている。2019年の同大会ではタイトルがかかった試合で日本を圧倒し、優勝に輝いた。今ワールドカップの同じ1次リーググループDには日本も入っており、このグループを制した方が準決勝で米国と当たる可能性が高い。

 

3位:ドイツ

世界ランキング:2位

過去最高成績:優勝(2003, 2007年)

監督:マルティナ・フォス - テクレンブルク

スター選手:ドゥシニファー・マロザンは、昨年のFIFA年間最優秀選手賞の最終候補に選ばれている。所属するオリンピック・リヨンではリーグ3連覇に貢献している。攻撃的なミッドフィルダーあるいはフォワードであり、32ゴールと90キャップを数える。ドイツが2016年のオリンピックとユーロ2013で金メダルを獲得したときの主力選手でもあった。スウェーデンを2-1で破ったオリンピック決勝戦では、最初の得点となるゴールも決めている。

ランク入りの理由:ドイツがこのランキング上位に入らなかったのは、米国と反対側のブロックにいるということだけが唯一の理由だ。2015年の準決勝は素晴らしい試合だった。そのときは米国が69分目にペナルティ・キックから得点し、最終的には2-0でドイツを破っている。

ドイツに不安要素があるとしたら、監督が就任間もないことだろう。ユーロ2017、2018のシービリーブス・カップと続けて不本意な成績に終わった後、ドイツサッカー協会は監督・コーチ陣を刷新し、ワールドカップ予選からのかじ取りを任す決断を下した。フォス - テクレンブルクは元ドイツ代表選手であり、直前までスイスチームの監督を務めていた。

 

4位:日本(なでしこジャパン)

熊谷紗希, 女子サッカー日本代表, なでしこジャパン

世界ランキング:7位

過去最高成績:優勝(2011年)

監督:高倉麻子

スター選手:ディフェンダー/ミッドフィルダーの熊谷紗希は代表として103試合出場を誇るが、ゴール数は0。だが、熊谷は日本女子サッカー史上最大の得点を挙げている。2011年ワールドカップ決勝戦のPK戦で優勝を決めるキックを成功させているのだ。熊谷が蹴ったボールは米国のゴールキーパー、ホープ・ソロが守るネットを揺らし、日本が初めての世界タイトルを獲得した。熊谷はオリンピック・リヨンで4回のリーグ優勝を経験し、2016年のリーグ優勝を決めるPKも成功させている。

ランク入りの理由:代表キャップ数100を越える3人のディフェンダーを除くと、現在の日本代表チーム“なでしこジャパン”は比較的若く、経験の浅い選手で占められている。ここから読み取れるのは、今ワールドカップより、来年の夏に東京で開かれるオリンピックに照準を合わせているということだ。しかし、2月のシービリーブス・カップでは米国と2-2で引き分けるなど、最近の大きな試合で結果を残してきており、ドイツと並ぶ存在であると言えるだろう。

チームは再建状態にあるかもしれないが、それでも2011年ワールドカップ時からのメンバーが4人チームに残っている。

 

5位:オランダ

世界ランキング:8位

過去最高成績:ベスト16(2015年)

監督:サリーナ・ウィグマン

スター選手:フォワードのフィフィアネ・ミデマーは昨年のイギリス女子スーパーリーグでアーセナルに所属し、17試合で20ゴールを挙げている。さらにFA WSL カップ決勝までの8試合で9ゴールを挙げた。オランダ代表としては75試合に出場し、58ゴールを挙げ、その中にはユーロ2017でオランダが初の優勝を果たした試合も含まれる。

ランク入りの理由:オランダはかってワールドカップには1回しか出場していないことを考えると、米国の‘ライバルとするにはいささか苦しいかもしれない。だが、ユーロ2017での優勝は印象的で可能性を感じさせるものだった。同大会での得失点は13-3と群を抜いており、決勝ラウンドに限っても9-2だ。ワールドカップ予選でもデンマーク、スイス、ノルウェーといった競合国を相手に楽勝している点も理由だ。

 

6位:オーストラリア

世界ランキング:6位

過去最高成績:ベスト8(2007, 2011, 2015年)

監督:アンテ・ミリック

スター選手:フォワードのサム・カーは若干26歳ながら、米国のナショナル・ウーマンズ・サッカーリーグで歴代1位の26ゴールを挙げている。2位はクリスティン・シンクレアーの15ゴールと大差をつけている。15歳で代表入りして以来、国際試合でも31ゴールを挙げている。

ランク入りの理由:オーストラリア代表の23人中12人が米国のナショナル・ウーマンズ・サッカーリーグでプレイしている。従って、米国代表チームの選手をよく知っており、恐れもない。2017年のトーナメント・オブ・ネイションズでは初めて米国を破っており、さらに日本とブラジルにも勝っている。

オーストラリアの不安材料は、ドイツと同じように監督が入れ替わったばかりだということだ。オーストラリアのサッカー協会は、カーを含む何人かの選手の意向に反し、前監督のアレン・スタージシック氏を今年1月に解任し、ミリックを後任に充てた。これがどうチームに影響するかだ。

 

7位:カナダ

世界ランキング:5位

過去最高成績:4位(2003年)

監督:ケネス・ハイナー・モラー

スター選手:フォワードのクリスティン・シンクレアーは35歳だ。優勝を狙うチームの主力プレイヤーとして理想的な年齢とは言い難いが、彼女のパフォーマンスは依然として高いレベルにあり、彼女に代わる存在は見当たらない。カナダ代表として281試合に出場し、181ゴールを挙げているし、その中には直近2年間での12も含まれている。

ランク入りの理由:カナダは常に米国と言う強大な壁に阻まれてきた。米国との対戦成績は59試合で49敗だ。カナダが米国のライバルとして上位にランクされないのは、それが理由だ。カナダと米国はしばしば大きな大会で対戦しているが──2012年のロンドン五輪準決勝も含む──、つねに米国が勝利してきている。

そうであっても、カナダ代表が才能に溢れた好チームであることは間違いない。チームのうち9人が米国のナショナル・ウーマンズ・サッカーリーグでプレイしている。また非常に若いチームである。18歳のミッドフィルダー、ジュリア・グロッソ(テキサス・ロングホーン大)を含む4人が現在も米国大学サッカー(NCAA)でプレイしている。

 

8位:スウェーデン

世界ランキング:9位

過去最高成績:準優勝(2003年)

監督:ピーター・ガーハーズソン

スター選手:ミッドフィルダーのキャロライン・シーガーは34歳で、代表として193試合のキャリアを誇る。ディフェンスを固めることが主作戦のチームで、通算で32ゴール以上を挙げた選手が1人もいない。従って、攻守のテンポはシーガーのボール・コントロールと戦術に大きく依存する。

ランク入りの理由:米国の女子サッカーファンは、米国がスウェーデンに敗れた2016年のオリンピック準々決勝を忘れていないだろう。そのときのスウェーデン監督がピア・スンドハーゲで、彼女は北京とロンドンの両オリンピックで米国を金メダルに導いた監督でもあった。

今大会ではスウェーデンは米国と同じ1次リーググループ内にいる。2015年も同様で、そのときは0-0で引き分けている。米国チームはリベンジに燃えるだろうが、1次リーグでの勝敗はオリンピックのときのような重大な結果にはつながらない。スウェーデンはここに挙げた8チームの中で唯一、米国と対戦することが既に決まった国であるが、その理由(1次リーグでの対戦になるため)から米国の脅威としては最下位にランクされる。

 

原文:World Cup 2019: Ranking biggest threats to USWNT repeat, from France to Japan and back

翻訳:角谷剛

編集・校正:SNJ編集部

 

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※記事はIOC公式サイト『Olympic Channel』提供

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「※」は提携サイト『Goal』の記事です

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Mike DeCourcy has been the college basketball columnist at The Sporting News since 1995. Starting with newspapers in Pittsburgh, Memphis and Cincinnati, he has written about the game for 35 years and covered 32 Final Fours. He is a member of the United States Basketball Writers Hall of Fame and is a studio analyst at the Big Ten Network and NCAA Tournament Bracket analyst for Fox Sports. He also writes frequently for TSN about soccer and the NFL. Mike was born in Pittsburgh, raised there during the City of Champions decade and graduated from Point Park University.