カタールW杯のタイブレイク規定解説:勝ち点で並んだ場合にどうやって順位を決めるのか?

Kyle Bonn

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2022年FIFAワールドカップのグループステージの組み合わせは、いくつかの組で拮抗する展開となっている。決勝トーナメント進出の行方は最終節までもつれ込むと見られている。

これまでの大会と同じように、グループステージは勝利チームが勝ち点3を獲得する。ドロー(引き分け)は勝ち点1、負ければ勝ち点なしだ。総勝ち点で各チームのグループ内での順位が決まる。

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各組からノックアウトステージ(決勝トーナメント)に駒を進めるのは上位2チーム。どのチームも当然、2位よりも首位でグループを通過したいと望んでいる。首位通過チームはラウンド・オブ・16(決勝トーナメント1回戦)で別組の2位通過チームと対戦するため、より有利になると考えられるからだ。

グループステージは3試合しかないため、各チームが首位ないし2位での通過を競うなか、複数チームが勝ち点で並ぶ可能性は少なくない。

そこでタイブレイク規定の出番となる。公式の順位決定方法は以下のとおりだ。総得点(ゴール数)や総失点が勝ち上がりに大きく響くことは言うまでもない。

FIFAワールドカップ・カタール2022のあらゆるシナリオにおいて、どうやって順位を決めるのか、『スポーティングニュース』が詳しく解説する。

カタールW杯グループステージの順位決定方法

公式の大会規則(21ページ)で示されているように、複数のチームが勝ち点で並んだ場合の順位決定方法は以下となる。

  1. 得失点差:グループステージ全試合を踏まえての得失点差で上回るチーム
  2. 総得点:グループステージ全試合での得点数が最多のチーム
  3. 直接対決の成績:同勝ち点のチーム同士の対戦で勝ち点が最多のチーム
  4. 直接対決の得失点差:同勝ち点のチーム同士で得失点差で上回るチーム
  5. 直接対決の総得点:同勝ち点のチーム同士の対戦における得点数
  6. 懲罰点(フェアプレーポイント):イエローカードとレッドカードの枚数に基づくFIFA方式の懲罰点
  7. 抽選

懲罰点とは

「フェアプレーポイント」で知られる懲罰点は、チームが安全かつスポーツの精神に則ったプレーをしているかを決めるためにFIFAがイエローカードとレッドカードに付与するシンプルなポイントシステムだ。

この順位決定方法が用いられる場合は、グループステージの全試合を通じ、これらのポイントが最も少ないチームが上位となる。

ポイント カード
1 イエローカード
3 イエローカード2枚でレッドカード
4 一発レッドカード
5 イエローカードと一発レッドカード

注:1試合で2枚のイエローカードを出されて退場となった場合は3ポイント。1枚目のイエローカードの1ポイントを含めた合計4ポイントとはしない。

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W杯で抽選により順位が決まった過去の例

ワールドカップでは頻繁にタイブレイクが用いられるが、規定リストの最後、つまり抽選まで至ることは珍しい。

極めてまれなのが、ランダムな抽選で順位を決めるケースだ。競技に関する功績に基づいていないため、まさに最後の手段である。

過去のFIFAワールドカップで抽選により順位が決まった例はある。それも、比較的最近のことだ。直近では1990年大会。アイルランドとオランダが種々の条件で並んでしまった。

どちらのチームも決勝トーナメント進出を決めていたが、どちらが2位でどちらが3位での通過なのかが決まっていなかった(1990年ワールドカップは成績上位の3位チームが決勝トーナメントに駒を進めた)。この順位はラウンド・オブ・16の対戦相手の組み合わせに影響する。

ランダム抽選の結果、2位通過となったアイルランドが決勝トーナメント1回戦でルーマニアと対戦し、0-0の末にPK戦を制して勝ち上がった。一方、3位となったオランダは西ドイツと対戦し、1-2で敗退している。

抽選は1954年大会の予選でも行われたが、FIFAワールドカップ本大会で抽選まで至ったのは過去にこの時だけだ。

W杯で順位を決定する際の抽選の仕方

ワールドカップやUEFAチャンピオンズリーグの組み合わせ抽選と同じように行われるが、規模はもっと小さい。

ポットは2つだけで、ひとつに該当チームのそれぞれの名前が書かれたボールが入る。もうひとつには、該当する順位がそれぞれ書かれたボールだ。

抽選を担当するFIFA関係者は、まず国名が書かれたボールをひとつ引く。次に順位が書かれたボールをひとつ引き、その国の順位が決定するかたちだ。

直近のW杯でのタイブレイク例

過去のワールドカップではしばしば複数チームが同勝ち点で並び、タイブレイクが用いられてきた。

2018年ワールドカップ

最も直近では、2018年のロシア開催のFIFAワールドカップでタイブレイクが用いられた。

コロンビアが首位通過したグループHで、日本とセネガルが勝ち点4で並び、決勝トーナメント進出が懸かる2位の座を競うことになったのだ。

日本とセネガルは得失点差、総得点、直接対決の成績と、すべての条件で並んだ。そのため、フェアプレーポイントが用いられていた。

グループステージの3試合でセネガルがイエローカード6枚だったのに対し、日本は4枚だった。そのため、日本が決勝トーナメント進出を決め、セネガルは無情にもグループステージ敗退となった。

2014年ワールドカップ

2014年のワールドカップでも、同じくグループHで首位通過したドイツに続く2位チームを決めるのにタイブレイクが用いられた。

アメリカとポルトガルが勝ち点4で並んだが、ポルトガルは初戦でドイツに0-4と痛い黒星を喫していた。そのため、得失点差で大きく下回り、アメリカがタイブレイクを制して勝ち進んでいる。

2010年ワールドカップ

2010年の南アフリカ・ワールドカップでも、得失点差によってホスト国が敗退を余儀なくされた。メキシコと勝ち点4で並んだ南アフリカだったが、ウルグアイに0-3で敗れていた彼らは得失点差で下回り、3位となっている。

同大会ではグループDでも得失点差でガーナが上回り、オーストラリアが敗退している。

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Kyle Bonn, is a Syracuse University broadcast journalism graduate with over a decade of experience covering soccer globally. Kyle specializes in soccer tactics and betting, with a degree in data analytics. Kyle also does TV broadcasts for Wake Forest soccer, and has had previous stops with NBC Soccer and IMG College. When not covering the game, he has long enjoyed loyalty to the New York Giants, Yankees, and Fulham. Kyle enjoys playing racquetball and video games when not watching or covering sports.