【独占コラム】Jリーグ第4節で見えた問題点解決の手助けができる香川真司(ジェイ・ボスロイド)

Jay Bothroyd

【独占コラム】Jリーグ第4節で見えた問題点解決の手助けができる香川真司(ジェイ・ボスロイド) image

サッカー元イングランド代表のフォワード(FW)で、Jリーグのジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌でもプレーしたジェイ・ボスロイド氏が、2023年シーズン第5節を控えるJリーグについて『スポーティングニュース』に独占コラムを寄稿した。

前回のコラムでも言及した古巣・札幌の第4節の戦いぶりや、セレッソ大阪に復帰した香川真司のこと、日本サッカーの問題点、ヴィッセル神戸のイニエスタ、川崎フロンターレの現状などについて舌鋒鋭く語り尽くす。

▶豪華景品付き! 「スポーツ番付勝利予想」に挑戦しよう


札幌は強豪に勝てる力があることを証明した

先週の北海道コンサドーレ札幌は、私がいた頃のチームのようだった。横浜F・マリノス戦での素晴らしい勝利を起点に、今季のJリーグで軌道に乗らなくてはいけない。

これまで作ることができていなかった、ペナルティエリア内でのチャンスが増えた。小柏剛が序盤に決めた先制点は素晴らしかったし、王者相手のホームゲームでは特に重要な1点だった。

小柏は優秀な選手だ。俊敏で、小柄ながら身体も強いが、判断力は磨く必要がある。ただ、それは経験と共に身につくだろうから、彼にはJリーグでの明るい未来が待っているだろう。

小林祐希が得点を挙げたことも嬉しかった。少し幸運なゴールだったが、それを引き起こしたのは小林だ。ゴールキーパーを上手に追い込んでゴールを決め、試合を決定づけた。得点した選手たちが称賛されるのは当たり前だが、私は福森晃斗と荒野拓馬に賛辞を送りたい。ほとんど横浜FMがボールを保持していたので、彼らが守備のキーマンだった。

私は先日のコラムで福森に厳しいことを書いたが、この試合でのプレーは良かった。堅実なプレーでポジショニングのミスもなく、いくつか重要なタックルも決めた。

荒野は本来のポジションである中盤でプレーした。その方が彼に合っている。ユーティリティプレーヤーとして使われすぎていたのだ。(横浜FM戦では)タックルを繰り出し、勤勉に動いてボールをキープしていた。彼はボックス・トゥ・ボックスの選手なのだ。多くの得点を決める選手ではないが、エネルギーに溢れ、球際にとても強い。サッカーをよく知っている選手だ。

私が札幌にいた頃は、このような試合運びで、川崎フロンターレ、横浜FM、浦和レッズといった強敵を下した。だが、こういった気合いの入る試合よりも、私が注目したいのはシーズン中の他の試合だ。

札幌は強豪に勝てる力があることを証明したのだから、中堅チームから勝ち星を奪わなければならない。試合を支配し、横浜FM戦で見せたように、たくさんのチャンスを作り出してほしい。

簡単なアンケートに答えて世界のサッカーユニフォームを当てよう!

香川真司は若い選手たちに知識を授けられる

香川真司がセレッソ大阪に復帰後初ゴールを決め、サガン鳥栖戦の2-1での勝利に貢献できたことは良かった。一方で、このゴールは、(リーグを通した)第4節の課題を強調させるものだった。ボールを持ちすぎ、自陣で奪われて失点するチームが多かったのだ。

鳥栖だけではない。サンフレッチェ広島、横浜FM、川崎、そして横浜FCが同じ形で失点した。1試合だけならまだしも、これが5試合で起こったことを考えると、私には選手たちにフットボールのインテリジェンスが足りていないように見える。

これが日本サッカーの問題点だ。指示を文字通りに受け取りすぎる選手がいて、どのような状況においてもボールをつなごうとしてしまう。もちろん、それは監督からの指示だし、チームの哲学であってプレースタイルなのだろうが、危険な状況ではロングボールを蹴って余計なリスクを避けるべきだ。先週は、これが敗因となったチームがいくつかあった。

だからこそ、私は香川のJリーグ復帰は素晴らしいことだと思う。彼は若い選手たちに知識を授けられる。ヨーロッパでプレーする可能性のある選手たちが日本人のメンタリティーで挑むと、しっぺ返しを食らう。

香川はヨーロッパのビッグクラブでプレーしていたので、若手に限らず、少し経験のある選手たちにも、遠慮のないプレーができるように手助けするだろう。

ヴィッセル神戸にはイニエスタの復帰が必要

ヴィッセル神戸が0-1で浦和に敗れたことで、今季のJリーグで全勝記録を保つチームがなくなった。浦和の方がパフォーマンスで上回っていたので、神戸の負けは当然の結果だった。ここ数試合、浦和は守備が不安定だったが、神戸戦では決定的なチャンスを作らせなかった。

アンドレス・イニエスタは、この試合も家庭の事情で欠場となり、神戸にとって彼の存在がどれほど重要なのかが明らかになった。彼は38歳だが、いまでも中盤で魔術を見せる。

いまのイニエスタは、相手を追い込むような守備的なプレーはあまりしない。しかし、彼がボールを持ったときにチャンスを作り出せることは知っての通りだ。早くピッチに戻ってきてほしい。

神戸は素晴らしいパフォーマンスを見せているが、シーズン終了時に上位にいるためには、それを継続する必要がある。先週のようなプレーをしていては上位にいられなくなる。神戸の優勝は難しそうだと思う。

怖いもの知らずの新潟が川崎の衰退を浮き彫りにする

昇格組のアルビレックス新潟が川崎を下し、再び力を証明した。川崎は、私の記憶にある素晴らしいチームとは違って見えた。

私は、新潟が持つエネルギーとプレースタイルが好きだ。チームも統制されている。ポゼッションを保ちながらも、4-2-3-1のフォーメーションを完璧に使って素早く攻撃する。現時点において、今季のJリーグで見ていて一番楽しいチームだ。

伊藤涼太郎は素晴らしいゴールを決めた。彼は新潟で最も優秀な選手の一人だし、個人的にも気に入っている。伊藤と三戸舜介らが新潟のチャンスを演出した。川崎は為す術がなく、若くて血気盛んなチームに試合を支配された。

川崎はチームを見直さなければならない。活気に欠けており、レアンドロ・ダミアンとチャナティップ・ソングラシンが不在だ。スピードがなく、突破口を見いだせず、目新しいこともない。守備力に乏しく、年老いたチームに見える。

先日のコラムでは、札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督が作戦を一つしか持っていないことを非難したが、川崎にも同じことが言える。これまでずっと、同じスタイルで戦ってきている。哲学を持って戦うのはいいことだが、一番重要なのは勝ち点だ。試合に勝てていないのであれば、その哲学を変えるべきなのだ。

翻訳:早坂卓真

▶サッカーを観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう


【動画】ジェイ・ボスロイド氏が語る古巣・札幌の問題点

 

関連記事


■試合結果を予想して豪華景品をゲットしよう!

遊雅堂(ゆうがどう)無料版では「スポーツ番付勝利予想」を実施中。やり方は、対象の試合結果を予想するだけ。当たれば豪華景品がゲットできるかも!?

▶無料エントリーはこちらから

Jay Bothroyd

Jay Bothroyd Photo

Jay Bothroyd is a columnist for The Sporting News, offering his expert take on the world of football. Jay enjoyed an illustrious career in England as a striker with the likes of Wolves, Cardiff City and QPR, and spent time with Perugia in Italy. He moved to Asia in 2014, where he enjoyed a goal-filled spell in the J. League with Jubilo Iwata and Hokkaido Consadole Sapporo. He has played for his country at both junior and senior level, making his full international debut for the Three Lions against France in 2010. As well as writing for TSN, Jay is an established TV pundit in the U.K.