【カタールW杯 大展望】優勝国、ダークホース、得点王、最優秀選手を本誌記者陣が徹底予想

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ついに開幕を迎えたFIFAワールドカップ・カタール2022。1か月に及ぶ熱戦の舞台となるカタールには全世界の注目が集まっている。

アメリカやイギリス、オーストラリア、スペイン、そして日本とワールドワイドなネットワークを誇る『スポーティングニュース』では、サッカー担当の記者陣が今大会の優勝国や得点王、最優秀選手などを大胆に予想した。

各支部のエキスパートたちがグローバルな観点から選んだチームと選手は以下の通りだ。強豪国やスター選手はもちろん、意外な名前もいくつか入っているかもしれない。

※予想及び寸評はすべて大会開幕前の時点のもの。その後の故障者情報等が予想に反映されていない場合があります。

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ワールドカップ2022優勝候補は?

Simon Borg – アルゼンチン

メッシが最後のワールドカップで栄冠を手にすればストーリーとして完璧だが、今大会のアルゼンチンは実際にとても強力なチームだ。キャプテンを務めるこの世界的スーパースター以外にも、実力と実績で引けを取らない名手ばかりがそろっている。ワールドカップ本大会まで35戦無敗という事実は、アルゼンチンの強さを示す証拠のひとつといっていいだろう。層の厚いタレント軍団は「メッシのために優勝を」という合言葉で団結しており、この一体感も決勝進出への大きな原動力になるはずだ。

Juan Estévez – ブラジル

ここ数大会で期待外れの成績に終わっていたブラジルだが、チッチ監督率いるチームは通算6回目の戴冠をカタールで成し遂げる準備が整ったと感じている。いつものように破壊力抜群の攻撃陣だけでなく、ディフェンダーと守備的ミッドフィルダーにも世界最高クラスの戦力がそろった点は心強い。

Mike DeCourcy – ブラジル

ネイマールを擁するチームにすべてを賭けることは、危険な選択肢という思いもなくはない。このスーパースターは2014年、地元ブラジルの期待を一身に背負ってワールドカップに臨んだが、準決勝でドイツに1-7の歴史的大敗。さらに2018年大会でも、ブラジルは準々決勝で一度もリードを奪えないまま1-2と競り負けた。だが勘違いしてはならない。ブラジルの強力な攻撃陣をけん引しているのは、いまだに結局ネイマールなのだ。しかも、才能豊かなタレントは他にも枚挙にいとまがない。守備陣の顔ぶれは一見すると地味かもしれないが、南米予選では17試合で5失点と盤石だった。ブラジルが最後に栄冠を掲げたのは20年前のこと。ネイマールにとって今大会は、ロナウドやロマーリオ、ペレなどのレジェントたちと肩を並べる絶好のチャンスだ。

Mauricio Codocea – アルゼンチン

アルゼンチンはヨーロッパの強豪国と定期的に対戦していないものの、イタリアを下したフィナリッシマ2022で改めて強さを見せつけた。チームがメッシに頼るのではなく、みんなでメッシを支えようという意識が高い点もこれまでとは違う。世界で最も偉大なフットボーラー、メッシもいまだに健在だ。ハングリーさにかけても、出場32チームで最も成功に飢えているのがアルゼンチンかもしれない。

Nobuto Tanji – セルビア

ドゥシャン・ヴラホヴィッチやセルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチなどワールドクラスのタレントを擁しているだけでなく、セルゲイの弟ヴァンヤも今シーズンはトリノで活躍中。セルビアは最近のノルウェー戦でアーリング・ハーランドにゴールを許しておらず、すべてが噛み合えば非常に強力なチームになる。

Pete Marshall – アルゼンチン

これが最後のワールドカップになることを示唆しているリオネル・メッシにとって、有終の美を飾るために完璧な舞台が整った。ラ・アルビセレステ(アルゼンチン代表の愛称)はこのところ負け知らずだ。“GOAT”(史上最高の選手)ことメッシとその仲間たちは、最大の名誉を手にすべく追い風に乗っている。

Kyle Bonn – ブラジル

本命の名前を挙げてもつまらないことはわかっているが、ブラジルは頭ひとつどころか肩まで抜け出ている。このチームは世界で最も層が厚く、才能に恵まれているばかりか負傷者も少ないなど、もう不公平と言っていいレベルだ。どんなチームにも弱点はあるものだが、このチームに限ってはそれも見当たらない。今大会のメンバー入りを逃した選手を集めてもそうそうたる顔ぶれになるはずだが、そのチームでカタールに乗り込んでもかなりの好成績を収めただろう。

(C)Getty Images

カタールで旋風を巻き起こすチームは?

Juan Estévez – オランダ

今大会のオランダはあまり注目されていないようだが、攻撃陣のクオリティーはどんなチームにも負けないレベル。強力なストライカーが不在だとしても(メンフィス・デパイの確変に期待しよう)、ルイス・ファン・ハール監督の下、近年は世界の名だたる強豪国と互角に渡り合える(しかもそのほとんどを倒せる)実力を証明し続けている。

Mike DeCourcy – 日本

日本は9月のテストマッチでアメリカを圧倒し、2-0と快勝。ワールドカップの最高成績はベスト16、しかもサウジアラビアに次ぐグループ2位でアジア予選を通過した日本にいいところなく敗れたとあって、アメリカのファンはこの敗北に大きなショックを受けていた。果たして日本の本当の実力とは? その答えは今大会で明らかになるはずだ。私は日本が難敵ぞろいのグループEをどうにか勝ち上がり、ラウンド16でジャイアントキリングを起こす可能性が高いと見ている。

Mauricio Codocea – アメリカ

2018年大会出場を逃したものの、世代交代に成功したアメリカは最高の状態でカタールに乗り込んでいる。控えめに考えても、このチームはここ数年で最も調子がいいと言っていいだろう。今大会はグループステージの組み合わせに恵まれた感があり、ベスト16進出の可能性は十分にあるはずだ。

Nobuto Tanji – セルビア

セルビアが栄冠を掲げることになれば、ワールドカップ史上最大のサプライズとして記憶されるに違いない。ノーマークの存在として大会を迎えるものの、強豪国をなぎ倒して勝ち進んでもおかしくないクオリティーを備えている。

Pete Marshall – アメリカ

アメリカにとって、カタール大会が最高のワールドカップになるかどうかはファンの間でも意見が分かれるようだが、私は今大会が新たな冒険の序章になると確信している。これだけポテンシャルの高いチームは他になく、アーロンソンやマッケニー、デスト、レイナらが大きく羽ばたく大会になりそうだ。グループステージ突破は当然として、決勝トーナメントも勝ち上がっていくと考えている。

Kyle Bonn – カナダ

北米勢ではアメリカとメキシコに注目が集まるかもしれないが、過去最高のワールドカップに期待できるカナダの存在も忘れてはならない。グループステージでは非常に難しい相手と戦うことになるが、ジョン・ハードマン監督率いるチームが怖気づくことはないだろう。ハードマン監督にはプレミアリーグからのオファーも届いているようだが、すべてはカタールで旋風を巻き起こしてからのこと。人心掌握に長けた指揮官は先日、選手たちがこの大舞台にどんな心境で臨むべきかについて語っていた。準備に抜かりはないはずだ。

Brenden Aaronson, Timothy Weah, and Yunus Musah of the USMNT vs Morocco
Getty Images

ワールドカップ2022で期待外れに終わるチームは?

Simon Borg – メキシコ

エル・トリ(メキシコ代表の愛称)はコンディション面で問題を抱えており、ポーランドにアルゼンチン、危険なサウジアラビアと同じグループを戦い抜けるような勢いに乗れないと見ている。課題の決定力不足も解決策が見当たらないまま。これまで毎回のようにグループステージを突破してきたが、その流れも今大会で途切れると予想している。

Mike DeCourcy – フランス

2006年大会のブラジル以降、前回大会の王者はグループステージで姿を消しており、タレントぞろいのブラジルでさえも準々決勝で敗退に追い込まれた。優勝した次の大会で、ディフェンディングチャンピオンがその肩書きに押しつぶされ続けている理由はわからない。いずれも世代交代の過渡期を迎えていただけかもしれないが、2010年のイタリア、2014年のスペイン、2018年のドイツには才能豊かな選手がそろっていた。連覇を狙う今大会のフランスも例外ではなく、世界トップクラスの若きタレントを多く抱える一方で、大黒柱と言うべきポール・ポグバとエンゴロ・カンテを負傷で失った。実力的に見劣りしない代役がいないわけではないが、フランスが早期敗退の憂き目に遭う可能性は十分にある。

Mauricio Codocea – フランス

前世界王者はネーションズリーグで低迷し、6試合を戦って1勝どまり。最終的に勝ち点1差で辛うじて降格を免れる体たらくだった。カタールではグループステージこそ突破すると見ているが、その道のりは険しいものになるだろう。ラウンド16ではいきなりアルゼンチンと戦う可能性があり、相手がポーランドかメキシコになっても苦戦が予想される。

Nobuto Tanji – ブラジル

今大会で本命視されているチームがブラジルであり、栄冠を手にできなければ大失態とみなされるはずだ。ブラジルにかかる期待はそれほどまでに高い。

Pete Marshall – フランス

ワールドカップ優勝国は次回大会で苦戦する ―― 統計にはっきり示されている事実だ。グループFの最下位でロシア大会から姿を消したドイツを筆頭に、これまで前回大会の王者は何度となく屈辱を味わってきた。フランスは2022年に入ってから成績が安定せず、ポール・ポグバなどの主力を故障で欠くことも考えると、今大会で同じ運命をたどる可能性は十分にある。

Kyle Bonn – フランス

フランスがいまだに高く評価されていること自体、個人的には驚きを禁じ得ない。主軸のポール・ポグバとエンゴロ・カンテが負傷で離脱しただけでなく、他にも故障者が続出。キリアン・エンバペは自分が主役になることだけを考えているようだ。グループステージの組み合わせには恵まれた感があるものの、レ・ブルー(フランス代表の愛称)が準々決勝を突破できるとは思えない。

Kylian Mbappe of France
Getty Images

ワールドカップ2022の得点王は誰に?

Juan Estévez – クリスティアーノ・ロナウド

ここ数カ月間、所属クラブのマンチェスター・ユナイテッドで本領を発揮できていないロナウドだが、私はポルトガルがゴールを量産し、かなりのところまで勝ち上がると見ている。その予想が的中すれば、ロナウドも最終的に5、6ゴールは決めているはずだ。

Mike DeCourcy – ハリー・ケイン

ノルウェーは本大会に出場しないが、アーリング・ハーランドの名前を挙げたくなってくる。ハーランドは現在、世界で最も得点に期待できる選手と言っていいだろう。しかし、このノルウェー代表がマンチェスター・シティで18ゴールという驚異的な数字をたたき出していなければ、わずか14試合で11ゴールというケインの決定力もさらに際立っていたに違いない。これは年間30ゴールのペースで、過去30シーズンを振り返っても一握りの選手しか達成していないレベルだ。さらにケインは大舞台に強く、2018年のワールドカップでは得点王のタイトルを獲得(6ゴール)。EURO 2020でもトップに1点差の4ゴールを挙げた。

Mauricio Codocea – ハリー・ケイン

イングランドはそれほど危険な相手と戦うこともなく、最悪でも準々決勝まで順調に勝ち進む可能性が高い。組み合わせに恵まれたこの状況は、ケインにとっても追い風となるだろう。仮に準決勝で敗れても今大会7試合目となる3位決定戦に回れるため、イングランドの得点源が輝きを放つチャンスは十分にある。

Nobuto Tanji – ドゥシャン・ヴラホヴィッチ

ワールドクラスのアシスト能力を誇るミリンコヴィッチ=サヴィッチのサポートがあれば、ヴラホヴィッチのゴールラッシュに期待できるはず。セルビア代表では2試合に1ゴールのペースでネットを揺らしている。

Pete Marshall – ヴィニシウス・ジュニオール

セレソン(ブラジル代表の愛称)の話題はネイマールが中心になりがちだが、チームメートのヴィニシウス・ジュニオールも忘れてはならない。今シーズンはUEFAチャンピオンズリーグの6試合で4ゴールと絶好調だ。グループGの各試合は点の取り合いになることが予想され、大会序盤で勢いに乗ったヴィニシウス・ジュニオールが決勝トーナメントで主役に躍り出る可能性もある。

Kyle Bonn – ネイマール

強力なメンバーが並ぶブラジルの攻撃陣だが、ネイマールのように注目を集める選手は他にいない。今大会を通じてコンディションさえキープできれば(多少の不安もなくはないが)、ネイマールは再び至高の輝きを放ち、ブラジルに栄冠をもたらすに違いない。所属クラブのPSGでもまさに絶好調で、その勢いをうまくワールドカップに持ち込むはずだ。

Lars Baron / FIFA / Getty Images

今大会の最優秀選手(ゴールデンボール賞)は誰に?

Simon Borg – リオネル・メッシ

優勝予想の本命がアルゼンチンなら、大会MVPはリオネル・メッシ以外に考えられない。ラ・アルビセレステのベストプレーヤーはワールドカップに合わせて調子を上げており、ついに代表チームでも気持ちよくプレーできる環境を手に入れた。ゴールでもパスでも、あるいは正確無比なフリーキックでも、ここぞというタイミングで試合の流れを決定づけられる選手だ。

Juan Estévez – ヴィニシウス・ジュニオール

ワールドカップ優勝国から最優秀選手が選ばれたのは、1994年大会のロマーリオが最後。この流れにはカタール大会でピリオドが打たれ、レアル・マドリードの若きエースがネイマールや他の有力候補を抑えて受賞すると予想している。

Mike DeCourcy – ヴィニシウス・ジュニオール

ブラジルの大黒柱と言えばもちろんネイマールだ。しかしブラジルの優勝を予想するのであれば、最高の選手に最高のプレーを披露してもらう必要がある。ヴィニシウス・ジュニオールは今シーズンのレアル・マドリードで公式戦通算10ゴールを記録。リヴァプールに1-0で競り勝った6月のチャンピオンズリーグ決勝でも試合唯一のゴールを挙げており、その得点シーンではフランスのキリアン・ムバッペに匹敵するスピードとスキルが際立っていた。攻撃陣の層が厚いチーム事情もあり、ワールドカップ予選では1ゴールにとどまったが、この22歳が存在感でも数字の面でも主役級の活躍を見せない限り、ブラジルの優勝は考えられない。

Mauricio Codocea – リオネル・メッシ

アルゼンチンがメッシだけのチームでないことは前述の通りだが、このスーパースターがスーパースターである事実はどうすることもできない。アルゼンチンが通算3回目の優勝を成し遂げる可能性は高く、そうなればメッシは悲願のトロフィーを手にするだけでなく、自身2度目の大会MVPに選ばれているだろう。

Nobuto Tanji – セルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ

この27歳は今シーズンもラツィオで素晴らしい活躍を披露。セルビアがワールドカップを勝ち進むようなら、代表レベルでも大きな注目を集める選手になるはずだ。

Pete Marshall – リオネル・メッシ

片手にワールドカップ優勝杯、もう一方に大会MVPのトロフィーを手にする姿を想像してみよう。史上最高のサッカー選手は誰かという議論にも、リオネル・メッシという最終結論が出るはずだ。

Kyle Bonn – リオネル・メッシ

アルゼンチンとブラジルが今大会の決勝に勝ち進んだとしよう。ブラジルが優勝した場合、大会MVPに最も近いのは得点ランキングトップの選手かもしれない。しかし、これがメッシにとって最後のワールドカップになる可能性を加味すれば、この「小さなヒーロー」に投票したいという気持ちが芽生えてもおかしくはないだろう。メッシは絶えずファンを魅了し続けており、アルゼンチンを最低でも準決勝に導くことができれば、たとえ栄冠に手が届かなかったとしても、最優秀選手という個人タイトルを与えることに異論はないはずだ。

Lionel Messi
Getty Images

カタールW杯 大会展望&注目国の戦力分析

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日本を拠点に国内外の様々なスポーツの最新ニュースや役に立つ情報を発信しているスポーティングニュース日本版のスタッフアカウント。本家であるスポーティングニュース米国版の姉妹版のひとつとして2017年8月に創刊された日本版の編集部員が取材・執筆しています。