阪神・オリックスが独走Vの2023年プロ野球、CS開催に意義はある?

Hitoshi Sugaya

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13.0に14.5。阪神とオリックスがリーグ優勝を決めたときの2位とのゲーム差である。
これでクライマックスシリーズ(CS)とは…と疑問の声が上がっているのは当然だろう。CSは“曲がり角”にきた-。

阪神、オリックスがCSで負けたら…

2023年のペナントレースはセ・パ両リーグとも「ぶっちぎりの優勝」だった。9月14日に岡田監督を胴上げした阪神は80勝44敗4分け、勝率6割4分5厘。それから1週間後の20日に中嶋監督を3年続けて胴上げしたオリックスは79勝47敗4分け、勝率6割2分7厘だった。ともに堂々たる優勝である。

次は3位チームまで出場できるCSの戦いに入るのだが、両リーグの3位を見ると、優勝決定時の首位とのゲーム差は、セがDeNAと16.0、パがソフトバンク16.5。こんな差がついたチームで日本シリーズに向かって戦うCSになんの意味があるのか、という声が球界OBから出ている。

かつて巨人V9の川上監督は「7試合シリーズの日本シリーズ優勝よりも、半年も戦う長いペナントレース130試合(当時)の優勝を高く評価してほしい」と語っていた。いかにレギュラーシーズン優勝のペナントの価値があるかを語ったものである。

もし、阪神とオリックスが日本シリーズに出場できなかったら、騒ぎは間違いなく起きるだろう。

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下剋上のヒーローはロッテ

2004年からCS制度を取り入れたパは、2022年までの19シーズンで5度もリーグ優勝チームが日本シリーズ出場を逃している(セは3度)。そのうちロッテは2位、3位ながら2度も日本一になった。「下剋上のロッテ」と呼ばれた。

2005年:レギュラーシーズン2位のロッテが日本シリーズへ

  • CS第1ステージ:2勝0敗(西武)
  • CS第2ステージ:3勝2敗(ソフトバンク)
  • 日本シリーズ:4勝0敗(阪神)

ロッテの監督はバレンタイン、阪神は岡田。ロッテは第1戦に10-1で勝つと続く第2、3戦も10-0、10-1と猛打をふるい、第4戦は3-2で振り切った。計9本塁打を浴びせた。

2010年:レギュラーシーズン3位のロッテが日本シリーズへ

  • CS第1ステージ:2勝1敗(西武)
  • CSファイナルステージ:4勝3敗(ソフトバンク)
  • 日本シリーズ:4勝2敗1分け(中日)

ロッテ監督は西村、中日は落合。ロッテは〇5-2、●1-12、〇7-1、●3-4、〇10-1、△2-2、〇8-7。

セではCS導入と同時に中日がやってのけた。

2007年:レギュラーシーズン2位の中日が日本シリーズへ

  • CS第1ステージ2勝0敗(阪神)
  • CS第2ステージ3勝0敗(巨人)
  • 日本シリーズ=4勝1敗(日本ハム)

監督は中日落合、日本ハムはヒルマン。中日は第1戦を1-3で落としたものの、第2戦から8-1、9-1、4-2、1-0と4連勝した。最終第5戦は山井が8回まで無走者に抑え、9回は岩瀬が抑えて日本シリーズ史上初の完全試合(2投手)となった。

勝率5割以下のチームが日本一になったら…

CSには公式戦の上位3チームが出場する。勝率5割に届かなかったとしても3位に食い込めば出場できるわけで、勝てば日本一も夢ではないのだ。

過去、勝率5割以下でも出場したケースがある。パは1度だけだったが、セはなんと7度を数え、そのうち4度がファイナルステージに進んだ。いずれも日本一にはなれなかったものの、勝っていたら大きな問題提起となっていただろう。

パのオリックスが優勝した時点では3位ソフトバンクが5割を切っていた。24日は2、3位が5割ちょうど。翌日には3位が5割を割った。

逆に4チームが5割以上というケースもあった。パは8度と多く、2008年から2015年まで6年連続を含む7度。セは3度だった。こういうシーズンはCSも悪くないけれども、やはりロングランを勝ち抜いたチームは自動的に日本シリーズで戦わせたいと思う。

今年のような独走優勝チームの価値と面子をどう保つか。成績によるルールを設けるときだろう。たとえば①優勝決定時点で1位と3位のゲーム差5まで②全日程終了時点で1位と3位の勝利数10以内-など。そうすると1位チームは優勝を決めても手抜きはしないし、2,3位チームはゲーム差や勝利数で力を抜くことはないだろう。

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Hitoshi Sugaya