東京ヤクルトスワローズは、10月26日(木)のドラフト会議で1位指名西舘昂汰(専大)をはじめ、支配下で5名、育成で2名の合計7名を指名した。ヤクルトの現戦力と照らし合わせ、今年のドラフトを評価する。
ヤクルトの指名選手一覧
× | 武内夏暉 | 投手 | 國學院大 |
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1位 | 西舘 昂汰 | 投手 | 専修大 |
2位 | 松本 健吾 | 投手 | トヨタ自動車 |
3位 | 石原 勇輝 | 投手 | 明治大 |
4位 | 鈴木 叶 | 捕手 | 常葉大菊川高 |
5位 | 伊藤 琉偉 | 内野手 | BC新潟 |
育成1位 | 高橋 翔聖 | 投手 | 鴬歌工商高※台湾 |
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育成2位 | 高野 颯太 | 内野手 | 三刀屋高 |
ヤクルトのドラフト指名総評:B
ヤクルトの1位指名は西舘昂汰(専修大/投手)。1度目の入札で武内夏暉(國學院大/西武1位)の抽選を外したものの、2度目の入札では重複なく西館の交渉権を獲得した。
西舘は筑陽学園高時代に進藤勇也(上武大/日本ハム2位)とバッテリーを組み3年春、夏と2度の甲子園に出場。合計3試合で18回3分の1を投げて防御率4.42の成績を残した。その後、プロ志望届は出さずに専修大へと進学。3年秋には3勝0敗、防御率1.72の成績で東都二部リーグの最優秀投手に輝いた。最速152キロのストレートが武器でコントロールも持ち合わせており、先発ローテーション候補としての期待が高い。
2位では松本健吾(トヨタ自動車/投手)、3位で石原勇輝(明治大/投手)と1位の西舘から3人連続で1年目から一軍の戦力として期待される投手を指名した。松本は7月に行われた都市対抗野球で中継ぎとして2試合(6回)を無失点の好成績で優秀選手賞を受賞している。
4位では支配下で唯一の高校生となる鈴木叶(常葉大菊川高/捕手)、5位では伊藤琉偉(BC新潟/内野手)と立て続けに野手を指名。育成では1位で台湾の高橋翔聖(鴬歌工商高/投手)、2位でスラッガー候補の高野颯太(三刀屋高/内野手)と高校生を指名した。
1位から3位まで大学生、社会人出身の投手を次々に指名しており、チームの課題でもある投手を補強するドラフトとなった。過去10年間(2014年〜2023年)で規定投球回に到達した日本人投手は、小川泰弘(2012年2位)と石川雅規(2001年自由枠)の2人しかいない。ドラフト上位の3人は、シーズンを通して先発ローテーションに入ることが当面の目標となる。
一方で石山泰稚(2012年1位)、星知弥(2016年2位)、清水昇(2018年1位)、木澤尚文(2020年1位)をはじめドラフト1位を含む上位指名の投手でも躊躇なく中継ぎへ配置転換し成果を上げてきた。特に松本と石原はアマチュア時代に短いイニングでも結果を出してきている。先発として結果を残せなくても、早い段階で中継ぎへの配置転換ができる思い切りの良さはプラスに働きそうだ。
4位の鈴木は高卒捕手。中村悠平、古賀優大、内山壮真と高卒捕手は着実に育っており、鈴木も数年後の一軍定着へ向け数年間は二軍で鍛えられそうだ。また伊藤は攻守揃ったショートだが、外野を含め複数のポジションを守ってきた経験がある。状況に応じた起用をされるだろう。
育成ドラフトの指名は2人。台湾の高校に在学中の高橋は6月に卒業予定で入団はそれ以降となる。高野は176センチ、90キロとガタイのいいスラッガータイプ。長距離砲として支配下登録を目指す。
一昨年、昨年とセ・リーグ2連覇を果たしたものの、今年は5位と低迷した。そのため即戦力の投手を重視しつつ、次世代の捕手とスラッガー候補を指名とバランスが取れた印象だ。ただ、ドラフト1位で武内の抽選を外したことで少し割り引いた。