FA加入の西勇輝の強みは計算できる「量」。阪神先発陣の成績低下を補えるか

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FA移籍で今季から阪神でプレーすることになった西勇輝。オリックス時代は金子弌大、ブランドン・ディクソンらとともに先発投手陣の柱として活躍した。彼の加入は阪神に何をもたらすのだろうか。

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投球の「質」よりも「量」が魅力の西

NPB, プロ野球, 阪神タイガース, キャンプ中の西勇輝

まず投手・西勇輝にはどのような特徴があり、失点を防ぐのに役立っているかを確認しておきたい。西の大きな強みの一つは、“与四球”が非常に少ないことである。リーグ平均が8%台で推移する打席あたりの与四球割合で、西は2011年にはじめて先発ローテーションに定着して以降、どの年も4~7%の間で値を推移させている。一度もリーグ平均を上回ったことがないのだ。この与四球の少なさが失点を防ぐにあたって非常に効果的にはたらいている。

だが、西にはこの与四球の少なさ以上に評価すべきポイントがある。それは安定して多くのイニングを投げることができる点だ。西がはじめて先発ローテーションに定着したのは3年目の2011年。この年、西は130回2/3を投げる活躍を見せた。以降は単なる先発の一人ではなく柱となり、8年連続で100イニング以上をクリアしている。この8シーズンにおける合計投球イニングは1183 2/3。この数字は同期間にNPBに在籍した全投手の中で5位に位置している。その安定性がゆえに、イニングを計算できるという点においては現在の日本球界でトップクラスの投手と言っていい。

 

2011-18年合計投球イニング

投手 投球イニング
R・メッセンジャー 1447
岸孝之 1238 1/3
能見篤史 1224
涌井秀章 1184 1/3
西勇輝 1183 2/3
金子弌大 1172 2/3
石川雅規 1161 2/3
則本昂大 1128 1/3
菅野智之 1086 1/3
J・スタンリッジ 1017 1/3

投手を評価する際は「球が速い」、「変化球が良い」など失点を防ぐための投球の「質」を対象とする場合が多い。しかし、いくら投球の質が高くとも、例えば年間で10イニングしか投げられなければ、チームに対する貢献としては大きなものにはならないはずだ。西のように質だけでなく、長期間にわたって「量」の面で貢献しつづけられる投手は球界に多くは見当たらない。

また多くのイニングを投げ続けているということは、これまでの故障歴が非常に少ないことも意味している。投手はある年に好成績を残しても、翌年は勤続疲労や故障でまともに稼働できないというケースも多い。だが、西はキャリアを通して安定したコンディションを維持しているようだ。阪神からすると、失敗のリスクが比較的小さい投手を獲得できたと言えるのではないだろうか。

 

年々減少する阪神先発陣の投球イニング。チーム事情とも西の特性はマッチ

一定のイニングを計算できるという西の特性は、阪神にとって特に貴重なものになりそうだ。2014年には先発陣がチームを引っ張り、日本シリーズにまで進出した阪神だが、ここ数年でその陣容は大きく入れ替わっている。ベテランの能見篤史と岩田稔が先発ローテーションから外れ、エース候補と期待された藤浪晋太郎も不振により以前ほどのイニングを消化できていない。長期間にわたり活躍している先発はランディ・メッセンジャーのみである。

 

阪神の先発投球イニング

2014 872 2/3
2015 889
2016 872
2017 820 2/3
2018 803 2/3

その結果、先発投手の投球イニングは年々減少し続けている。2015年には先発陣が889回を投げたが、昨季はその数字が803回2/3にまで落ち込んだ。ちなみにこれはリーグ4位の数字である。秋山拓巳、岩貞祐太、小野泰己など、近年新たに台頭した先発も、かつての能見や岩田ほどの投球イニングはこなせていない。先発陣はやや弱体化していると言える。

またエースのメッセンジャーは今季中に38歳と、いつ大きな衰えがきてもおかしくない年齢を迎えている。エースとして長期的に計算するのは難しいため、チームとしては代わりに中長期的にローテーションの柱として計算できる先発を求めていた。

これらの状況を鑑みると、西のように多くのイニングを何シーズンもまたいで計算できる先発の獲得は、阪神投手陣のニーズにマッチしていたと言えよう。今季も当然先発の柱としての活躍が期待されるが、数年後にメッセンジャーが先発として稼働できなくなったとき、より西加入の効果を大きく実感することができるのではないだろうか。

 


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※記事はIOC公式サイト『 Olympic Channel 』提供

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