DeNAの東と濵口。2人の左腕を支えるチェンジアップを解剖する

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ルーキー・東を支えたチェンジアップという球種

DeNAの新人、東克樹はルーキーながら11勝5敗、防御率2.45という好成績を記録。三振もリーグトップレベルのペースで奪ってみせた。この好成績を支えた武器の1つが、チェンジアップという変化球だ。

チェンジアップは、カーブやスライダーのようにボールの動きそのままの名前ではないため、イメージにばらつきがある球種かもしれないが、打者のタイミングを外すことを狙ったボールである。

ストレートなどと近い腕の振りで投げながら、全ての力がボールに伝わらないよう握りなどを工夫し、打者のイメージよりも遅れて手元に届かせる。フォークのように落ちる軌道を描くことが多いが、それも投手によってかなり違いがある。

東は、規定投球回到達投手の中で、最も高い割合でこのチェンジアップを投げていた。NPB全体の球種別の割合を算出すると5-6%に過ぎないチェンジアップが、東の場合は23.3%に達していた。

<チェンジアップ投球割合(規定投球回到達投手)>

  1 東 克樹(DeNA) 23.3%
  2 D・ブキャナン(ヤクルト) 21.2%
  3 N・マルティネス(日本ハム) 18.7%
  4 岸 孝之(楽天) 16.8%
  5 西 勇輝(オリックス) 16.4%
  6 K・ジョンソン(広島) 13.4%
  7 山岡 泰輔(オリックス) 12.9%
  8 O・ガルシア(中日) 12.8%
  9 則本 昂大(楽天) 6.0%
  10 菊池 雄星(西武) 5.3%

 

空振りを奪う力は十分に示していた濵口

質の高いチェンジアップを投げていたのは東だけではない。同じくDeNAに所属し、昨シーズンの新人王を決める記者投票で3位に入り、新人特別賞としてセントラル・リーグから表彰を受けた濵口遥大もこの球種をよく投げている。

濵口は規定投球回には達しなかったものの、チェンジアップの割合は東とほぼ同じレベル(23.7%)に及んでいた。今シーズンは4勝5敗、防御率3.90と、2桁勝利を挙げた昨季ほどは振るわなかったが、チェンジアップについては非常に効果的なボールだった様子が見て取れる。

濵口のチェンジアップは空振りを獲るケースが多く、チェンジアップを300球以上投じた投手18名の中で、最も高い空振り率(空振り/投球数)を記録していた。

なお、東もそれに近い割合を記録している。多投していただけあって、しっかりと打者を翻弄できていたようだ。

<チェンジアップの空振り率(300球以上)>

  1 濵口 遥大(DeNA) 23.5%
  2 東 克樹(DeNA) 22.3%
  3 小笠原 慎之介(中日) 20.2%
  4 辛島 航(楽天) 19.0%
  5 山岡 泰輔(オリックス) 17.4%

 

東と濵口は、共に質の高いチェンジアップを投じていたが、データをさらに細かく見ていくと、両者のチェンジアップの間にはいくつかの違いが見つかった。まず、打者が手を出すか、出さないか、という点である。

<東と濵口のチェンジアップに対するスイング率>

  投手 スイング率 空振り/スイング
  東 克樹 62.6% 35.7%
  濵口 遥大 53.2% 44.2%
  NPB平均 52.0% 31.1%

 

チェンジアップを投げた際、打者がバットを振った割合(スイング率)は、東のほうが濵口よりも9ポイント以上高かった。東のチェンジアップは濵口と比べ、打者にバットを振らせていた(これについては「打者が打ちにきていた」という見方もできる)。

そして、スイングさせたあとの結果でも違いが見られた。濵口のチェンジアップは東に比べるとバットを振らせていないが、打者に手を出させた場合は、東より9ポイント近く高い割合で空振りを奪っていることがわかる。

しかし、これらのデータは両者のチェンジアップの個性を表しているものの、それだけでどちらのチェンジアップが優れているかを判断するのは難しい。さらに視野を広げて全体像を見ていく必要がある。以下のデータは2人がチェンジアップを投げたあと何が起きたかをまとめたものだ。

<東と濵口のチェンジアップの打席結果(S=ストライク)>

  投手 空振りS 見送りS ファウル ボール ゴロ ライナー フライ 本塁打
  東 克樹 22.3% 13.4% 16.3% 24.1% 12.5% 3.9% 6.9% 0.7%
  濵口 遥大 23.5% 11.0% 11.8% 35.8% 8.1% 3.2% 6.1% 0.5%
  NPB全体 16.2% 10.4% 15.5% 37.6% 10.7% 2.8% 6.3% 0.6%

 

目につくのは、濵口のチェンジアップのほうが東よりも打者に見送られ、ボールと判定された割合が高い点だ。東に比べ、打者にスイングさせる割合が低かったが、それに加えて見送られた際にはボールになる割合が高いこともわかる。

一方、東のチェンジアップはボールになることが少なく、ファウルになったり、ゴロになったりする割合が高いことが見えてくる。

 

総合力では、ストライクを獲得する力で上回る東が一歩リードか?

濵口のチェンジアップは、バットを振らせさえすれば高い割合で空振りを奪える優れた変化球であることは間違いない。だが、ストライクゾーンに制球されることは少ない様子もうかがえる。打者としては無理に手を出さず、見送ってほかの球種を狙うこともできるため、まだ対応の余地があるといえる。

一方、東のチェンジアップは、バットに当てること自体は濵口よりも易しいようだ。ただ、バットに当てたとしてもファウルやゴロになりがちで、また見送ってもストライクになるケースが多い。打者にとっての“厄介さ”では、現状は東のほうに軍配が上がりそうだ。


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