42年ぶりの最下位に沈んだ西武、投手陣の立て直しは復活への至上命題|プロ野球2021振り返り・2022展望

Sporting News Japan Staff

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最下位は球団として42年ぶり

[順位]6位
[勝敗]55勝70敗18分
[勝率].440

2021年の西武は辻発彦監督体制で初めてBクラスに沈み、所沢に移転した初年度にあたる1979年以来42年ぶりに最下に沈んだ。勝率.440も1979年の勝率.381に次ぐ、移転後ワースト2位と振るわないシーズンだった。

開幕直後は好調だった。オリックスとの開幕カードを勝ち越すと、2カード目、3カード目は無敗。開幕3カードが終わった時点で6勝1敗1分とスタートダッシュを見せた。しかし直後に3連敗、4月下旬には引き分けを挟んで5連敗。結局4月を終えた時点で勝率5割の4位となった。

流れが悪い方へ変わってしまったのは7月。月初に5連敗を喫すると、その後にも2連敗。前半戦終了時点では33勝38敗14分の借金5で5位。3位のロッテとは4ゲーム差がついてしまった。

後半戦に入ってからも調子は上がらない。8月、9月、10月と3ヶ月連続で負け越し。全試合を消化した10月26日時点では5位だったものの、その後、日本ハムに捲られ最下位でシーズンを終えている。

不振の大きな原因は離脱選手の多さだった。栗山巧が下肢の張り、山川穂高が肉離れ、外崎修汰が骨折、若林楽人が左膝前十字靭帯損傷、源田壮亮が新型コロナウイルスに罹患と主力選手が序盤に相次いで登録を抹消されたのは痛かった。

髙橋光成、今井達也、松本航の3人が規定投球回に到達

[失点]589(6位)
[防御率]3.96(6位)

失点、防御率ともにリーグワーストと投手陣は苦しんだ。先発ローテーションのなかでは高橋光成、今井達也、松本航の3人は健闘した。いずれも規定投球回に到達し、高橋(11勝9敗)と松本(10勝8敗)は貯金を2つ作った。今井(8勝8敗)は貯金こそなかったものの、防御率3.30は3人の中で最もよかった。

ただし、QS(6回以上自責点3以下)率は高橋が65.4%、今井は60%、松本は45.8%と全員が低く、安定して試合を作ることはできなかった。パ・リーグで規定投球回に到達した14人では高橋が5位、今井が10位、松本が最下位の14位に終わっている。

この3人以外の先発投手は苦戦した。ニールが11試合で1勝6敗、防御率5.85、平井克典も11試合の先発で3勝4敗、防御率4.99と振るわず。そのため平井は7月以降中継ぎに配置転換され、後半戦での先発登板は1試合のみにとどまった。2019年ドラフト3位の浜屋将太も8試合の登板で1勝6敗、防御率6.63。QSは1試合も達成できず先発投手としての役割を果たすことができなかった。

そのなかで健闘したのが2018年ドラフト2位の渡邉勇太朗だった。前半戦は中継ぎとして起用され、後半戦からは先発ローテーション入り。9試合の先発で4勝2敗、防御率3.21とまずまずだった。とくに10月は3試合の登板で2QS、1勝0敗、防御率1.20と結果を出した。

中継ぎ投手陣では平良海馬が球界を代表する投手へと飛躍した。開幕から39試合連続無失点のNPB記録を達成するなど62試合の登板で防御率0.90は圧巻の数字。シーズン半ばからは守護神に定着した。

その他の投手では育成から1年目にして支配下登録を勝ち取った水上由伸が、デビューから17試合連続無失点と好投。最終的に29試合の登板で防御率2.33と結果を出している。

シーズン途中に日本ハムからトレードで移籍してきた公文克彦も14試合の登板で防御率0.79と奮闘した。失点したのはわずか1試合だけで、左の中継ぎとして存在感を発揮した

開幕から守護神を務めた増田達至は苦しんだ。なかなか調子が上がらず、5月に登録を抹消された。後半戦に一軍へと復帰し8試合連続無失点と復調したが、シーズンを通して33試合で防御率4.99にとどまっている。

ギャレットは61試合で17ホールド、防御率3.77、森脇涼介は45試合で13ホールド、防御率4.02とセットアッパーとしては物足りない。平良以外の勝ちパターンに苦しんだ。

離脱者が多い中、呉念庭が初の規定打席到達

[得点]521(5位)
[打率].239(4位)
[本塁打]112(4位)
[盗塁]84(3位)

序盤から故障による主力選手の離脱が相次いだ中、森友哉が2年ぶりに打率3割を超えた。チームトップの打率.309(431打数133安打)でリーグ2位。OPS.889もチームトップ。24本塁打を放った山川穂高(OPS.791)や18本塁打の中村剛也(OPS.783)を上回った。

飛躍したのが呉念庭だ。2015年ドラフト7位で入団した6年目の呉はこれまで目立った成績は残しておらず、一軍では本塁打もなかった。今季は二塁(42試合)、一塁(36試合)、三塁(26試合)、左翼(18試合)と4つのポジションでスタメン起用され130試合に出場。規定打席にも到達し打率.238(425打数101安打)、10本塁打、48打点の成績を残した。48打点は中村(74打点)、山川(66打点)に次ぐチーム3位。ユーティリティー性を発揮しながら勝負強さをみせた。

新型コロナウイルスの影響で離脱のあった源田は119試合に出場。5年連続で打率2割7分台となる打率.272(464打数126安打)を記録し24盗塁で盗塁王を獲得した。中村と栗山のベテランふたりも規定打席には到達。栗山は節目となる2000安打も達成している。

ルーキーの若林楽人は4月に入ってからレギュラーに定着。1番で31試合に起用されていることからも期待されていたことがよくわかる。その期待にこたえ5月下旬までに44試合の出場で打率.278(144打数40安打)、2本塁打、20盗塁と打撃面、走塁面で存在感をみせていた。しかし試合中のアクシデントで左膝前十字靭帯を損傷し登録を抹消されるとシーズン中に復帰することはできなかった。

また開幕2カード目で死球を受けた外崎は3カ月の離脱を経て7月上旬に一軍へ復帰。調子は上がらず、打率.220(254打数56安打)、5本塁打と苦しい一年に終わっている。

ドラフトでは1位・2位で大卒左腕を獲得、外国人選手を総入れ替え

<主な新加入選手>

【外国人選手】

ディートリック・エンス(投手・前レイズ)

ブライアン・オグレディ(外野手・前パドレス)

ボー・タカハシ(投手・前KBO起亜)

ジャンセン・ウィティ(内野手・マリナーズ傘下3A)

バーチ・スミス(投手・アスレチックス)

【ドラフト指名】

<支配下>

1位:隅田知一郎(投手・西日本工業大)

2位:佐藤隼輔(投手・筑波大)

3位:古賀悠斗(捕手・中央大)

4位:羽田慎之介(投手・八王子学園八王子高)

5位:黒田将矢(投手・八戸工大第一高)

6位:中山誠吾(内野手・白鴎大)

<育成>

1位:古市尊(捕手・徳島インディゴソックス)

2位:滝澤夏央(内野手・関根学園高)

3位:菅井信也(投手・山本学園高)

4位:川村啓真(外野手・國學院大)

西武は外国人選手が総入れ替えとなった。新たに加入するのはディートリック・エンス(前レイズ)とボー・タカハシ(前KBO起亜)、バーチ・スミス(前アスレチックス)の投手3人とブライアン・オグレディ(前パドレス)とジャンセン・ウィティ(マリナーズ傘下3A)の野手2人の合計5人。

ドラフトでは1位で4球団競合の隅田知一郎(西日本工業大)、2位で佐藤隼輔(筑波大)と左腕を立て続けに獲得した。先発ローテーションに入る左腕が不足しているだけに1年目からチャンスは多そうだ。2021年に先発で白星を挙げた左腕は内海哲也(1勝)と浜屋(1勝)のふたりだけしかおらず、そこを重点的に補強した。

課題の投手陣を立て直し、最下位脱出を目論む。

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