30億円の大補強を成功させた巨人。「金満経営批判」が筋違いな理由

Hitoshi Sugaya

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“30億円補強”の効果が出た巨人のスタートといえるだろう。

セ・リーグの他の5球団と一通りの対戦が終わった14日時点の成績は、14試合8勝6敗(中日とは2試合)。上々の出来である。昨年はどうだったか。15試合5勝10敗だった。そのとき、連覇を狙う広島は9勝6敗、トップは9勝5敗のDeNAだった。巨人は最下位で、開幕して2週間ほどなのに暗雲が漂っていたことが思い出される。

1年前と違うのは、補強の成果、といっていい。いわゆる「巨人の30億円補強」である。2年連続セMVPのFA丸佳浩外野手(広島、5年25億円)、昨年パドレスで20本塁打を放ったクリスチャン・ビヤヌエバ内野手(2億円)FA炭谷銀仁朗捕手(西武、3年6億円)らを獲得し、守備も含め強固にした。むろん、思い切って資金を投入した結果となっている。

丸が抜けた広島は4勝11敗。「予想外」どころの話ではない。投げても打ってもダメ。守りのひどさは目を覆うばかりである。強い広島はどこへ行ってしまったのか。4連覇を予想した評論家たちは青ざめているのが実情だ。巨人の補強作戦は、自軍の強化だけでなく、広島の現状を見れば、効果倍加といえるのである。

開幕前、大金投入に対して巨人批判が相次いだ。簡単にいえば、財力にまかせて補強するのはけしからん、という意味不明の声である。野球を商売にしている球団が金を使うのは当たり前だと思う。

「巨人の(大型)補強がうらやましい」。こう本音を吐露した監督がいた。そのチームの補強姿勢に不満がある、ということなのだ。プロなら資金を投入してくれ、とどこの監督も思っている。口に出したらクビが飛ぶことが分かっているから言えないだけなのだ。

野球ファンに知ってもらいたいことがある。巨人ほどチーム強化、ファンの期待に報いるために努力してきた球団はないということを。日本のプロ野球は巨人から始まり、巨人によって隆盛をもたらした。これが歴史である。

球界の図式は、チーム強化のため優秀選手を獲得-勝利人気が出て観客が増加-相手チームは巨人戦で収入増となる。一時期は、人気薄のパ・リーグ球団は開幕前のオープン戦で巨人と1試合行うと、その収入でキャンプ費用をペイできる、といわれた。

金田正一

巨人は他球団の大物選手を獲得してきた実績を持つ。1リーグ時代最後(1949年)の優勝は、ライバル球団のエース別所毅彦を獲得したからだし、9連覇の始まり(65年)はのち400勝投手となる金田正一を入団させたことが大きい。球団史上初の最下位から一気に優勝したとき(76年)は、のちに3000安打を放つ張本勲を獲って勝った。これで監督の長嶋茂雄は男を取り戻した。

その後も大型補強は活発に行われている。

1990年代は落合博満(中日)清原和博(西武)工藤公康(ダイエー)ら、2000年代に入ってロベルト・ペタジーニ(ヤクルト)タフィ・ローズ(近鉄)小笠原道大(日本ハム)マーク・クルーン(横浜)アレックス・ラミレス(ヤクルト)セス・グライシンガー(ヤクルト)村田修一(DeNA)杉内俊哉(ソフトバンク)陽岱鋼(日本ハム)山口俊(DeNA)といった投打のスター選手を加入させた。落合、清原、小笠原らには4億円近い契約、外国人には5億円を使ったこともあった。

選手が高額契約の球団に行くのは当然であって、ほとんどの選手がそれを待ち望んでいる。大金をもらって移籍することを批判するのはやっかみの類で、千載一遇のチャンスを逃すことはない。

巨人の優勝はセ・リーグ36回で日本一22回、1リーグ9回。リーグ優勝で巨人に次ぐのは中日と広島の各9回、阪神は5回(パ最多は西武の17回)。巨人の補強は成績に見事に結びついている。

大リーグは日本とは比較にならないくらいすさまじい。たとえばヤンキース。低迷から盟主に返り咲いたのはFA制度の導入(1976年)直後で、資金力を使って優れた選手を手中に収めたからだった。「10年1000万ドル」という契約をやってのけたこともある。松井秀喜、田中将大の株が高く評価されるのも名門ヤンキースの一員だからといえる。

原辰徳

プロ野球がスタートした36年(昭和11年)に参加したチームで現存しているのは巨人と中日、阪神の3球団のみ。2リーグが始まった(50年)ときのパ球団はすべて消え去っている。すべて経営難が理由だった。

「巨人が強くないと面白くない」。“球界の常識”といわれる言葉だ。かつて「うちは2位でいい」「巨人あっての球界」などと発言したオーナーもいたくらいで、だれもが弱い巨人は商売にならないと思っている。

今季から原辰徳が監督として戻った。3度目の奉公である。過去12シーズンの指揮で7回のリーグ優勝、日本一3回。“平成一の監督”といっていい。球団が三たび頼んだのも分かる。米国で育った資本主義の象徴のような野球はまさにビジネスであって、巨人はそれを行使しているにすぎない。

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※記事はIOC公式サイト『Olympic Channel』提供

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