貧打に泣き3年連続5位の日本ハム、新庄新体制で得点力アップに期待|プロ野球2021振り返り・2022展望

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序盤から波に乗れず、最終盤でようやく最下位脱出

[順位]5位
[勝敗]55勝68敗20分
[勝率].447

2021年の日本ハムは序盤から低迷し、クライマックス・シリーズ出場争いにも絡むことができず5位に終わった。3年連続の5位となり、2012年から指揮を執った栗山英樹監督は退任。新監督として新庄剛志氏が就任した。

序盤からチームは波に乗れなかった。4月末の時点で9勝16敗4分と早くも借金を7つ抱え、最下位に沈む。5月、6月も負け越し、前半戦を30勝42敗9分の借金12で折り返し、5位の西武とは3.5ゲーム差が開いていた。後半戦に入ってからもジリジリと借金は増えていく。それでも10月は12勝9敗3分と3つ貯金を作り、残り2試合で5位に浮上。最終戦も勝利してなんとか最下位は免れた。

思うような結果が出ない中、チーム内で問題も起きた。主砲の中田翔がチームメートへの暴力行為で謹慎。その後、巨人へとトレードされている。プレー以外でも暗い話題ばかりが先行してしまった印象だ。

上沢直之、伊藤大海、加藤貴之の3人が規定投球回に到達

[失点]515(4位)
[防御率]3.32(3位)

チームが苦戦する中、投手陣はなんとか踏ん張った。開幕投手を務めた上沢直之はチーム最多の160.1回を投げ12勝6敗、防御率2.81と結果を残した。勝ち星と防御率はともにキャリアハイを記録している。また、24先発のうち21試合はQS(6回以上自責点3以下)を達成しており、QS率は87.5%にものぼる。これは山本由伸(オリックス)の88.5%に次ぐリーグ2位の数字だった。規定投球回に到達したパ・リーグの投手で80%を超えているのは山本と上沢の2人だけであり、リーグを代表する先発投手に恥じない成績だったといえる。

左腕の加藤貴之も150回を投げ防御率3.42と健闘した。WHIP1.05は山本(0.85)、田中将大(楽天/1.03)、上沢(1.04)に次ぐリーグ4位と安定感があったが、6勝7敗と負け越してしまい、QS率は52%でリーグ13位。規定投球回到達者のなかでは下から2番目と試合作りの面では課題が残った。

ドラフト1位ルーキーの伊藤大海も規定投球回に到達し10勝9敗、防御率2.90と結果を残した。23先発で17QSはQS率73.9%。田中と並んでリーグ3位。1年目ながら試合を作ることがしっかりとできた。

その他に100回以上を投げた先発投手はひとりもいなかった。バーヘイゲンが96回を投げたのが最多。2020年の8勝6敗、防御率3.22から2021年は5勝8敗、防御率3.84と落ち込んだ。開幕前に楽天からトレードで加入の池田隆英は3勝10敗、防御率3.94と数字はついてこなかった。

先発4番手以降が振るわない中、立野和明が9月に入ってから先発ローテーションに定着。シーズンを通じて11試合(10先発)の登板で4勝3敗、防御率2.45と好投。10月は4試合の登板で1勝2敗と負け越したものの、全4試合でQSを達成し防御率1.50と安定した内容を見せている。

中継ぎでは堀瑞輝が42HPを挙げ最優秀中継ぎのタイトルを獲得した。2019年から3年連続で45試合以上に登板、防御率も5.22→4.19→2.36と毎年向上。キャリアハイの成績でブルペンを支えた。守護神に抜擢された杉浦稔大は56試合の登板でリーグ3位の28セーブとチームトップの奪三振率11.36をマーク。飛躍の一年になった。

その他では宮西尚生(50試合/防御率3.65)、玉井大翔(50試合/防御率3.16)、B.ロドリゲス(47試合/防御率2.74)、井口和朋(43試合/防御率1.86)の4人が中継ぎとして40試合以上に登板した。

また、2019年ドラフト1位の河野竜生は先発11試合、中継ぎ29試合の合計40試合に登板。先発としては1勝6敗、防御率4.42と結果が出なかったが、中継ぎとしては2勝0敗9ホールド、防御率0.29と様変わりして好成績を残した。後半戦ではほぼ先発として登板しており、今後の起用法に注目が集まる。2018年ドラフト1位の吉田輝星は1試合のみの登板に終わっている。

上沢、伊藤、加藤と規定投球回に3人が到達し、堀が最優秀中継ぎのタイトルを獲得。全体的に投手陣は悪くなかった。

チーム最多本塁打が近藤健介の11本と貧打に泣く

[得点]454(6位)
[打率].231(6位)
[本塁打]78(6位)
[盗塁]77(4位)

問題だったのは野手陣。広い札幌ドームが本拠地であるとはいえ、それでもチーム最多本塁打が近藤健介の11本は少し物足りない。それまでチームの主軸として本塁打を量産してきた中田は39試合の出場で4本塁打にとどまり、シーズン途中で巨人へと移籍している。2桁本塁打は近藤ひとりだけ。大田泰示も不振にあえぎ、76試合の出場でわずか3本塁打。チームの顔のひとりであった西川遥輝は盗塁王を獲得したが、打率.233(447打数104安打)と打撃面では振るわなかった。

そんな中、若い選手は飛躍のきっかけを掴んだ。高卒7年目の淺間大基は初めて規定打席に到達し打率.251(411打数103安打)と最低限の成績を残している。中堅でチーム最多の84試合にスタメン出場。両翼もそれぞれ7試合でスタメン起用されており外野3ポジションを守れる点も心強い。

淺間と同学年にあたる髙濱祐仁もブレイクした。規定未到達ながら107試合の出場で打率.262(367打数96安打)、8本塁打を記録。これまでの最多出場である2020年の10試合を大きく更新。レギュラーの座を勝ち取った。

高卒3年目の野村佑希は序盤で膝を痛めたことで登録を抹消され、およそ2ヶ月間の離脱があった。それでもキャリアハイの99試合に出場し、打率.267(371打数99安打)、7本塁打とまずまずの成績を残している。

主力が苦しむなか、淺間、髙濱、野村が開花の兆しをみせたのは数少ない明るい材料だった。

4人の新外国人選手を獲得

<主な新加入選手>

【外国人選手】

レナート・ヌニエス(内野手・前タイガース)

コディ・ポンセ(投手・前パイレーツ)

ジョン・ガント(投手・前ツインズ)

アリスメンディ・アルカンタラ(内野手・前ジャイアンツ傘下3A)

【自由契約】

古川侑利(投手・前楽天)※育成契約

【ドラフト指名】

<支配下>

1位:達孝太(投手・天理高)

2位:有薗直輝(内野手・千葉学芸高)

3位:水野達稀(内野手・JR四国)

4位:阪口樂(投手・岐阜第一高)

5位:畔柳亨丞(投手・中京大中京高)

6位:長谷川威展(投手・金沢学院大)

7位:松浦慶斗(投手・大阪桐蔭高)

8位:北山亘基(投手・京都産業大)

9位:上川畑大悟(内野手・NTT東日本)

<育成>

1位:福島蓮(投手・八戸西高)

2位:速水隆成(捕手・群馬ダイヤモンドペガサス)

3位:柳川大晟(投手・九州国際大付高)

4位:阿部和広(外野手・平塚学園高)

新庄新監督体制がスタートした日本ハムではこのオフに大きな動きがあった。大田、西川、秋吉亮と実績のある選手3人を放出し、代わりに積極的な外国人選手の補強を行っている。ここまで投手2人、内野手2人の合計4人の外国人選手を獲得。王柏融とB.ロドリゲスが残留したことで野手3人、投手3人の合計6人体制となった。

アルカンタラは昨年3Aで71試合に出場し17本塁打、ヌニエスは2019年にメジャーで31本塁打とともに長打力がある。貧打に泣いた打線のテコ入れとなりそうだ。投手陣はポンセとガントのふたり。ガントは先発、ポンセは先発と中継ぎどちらでも投げることができるタイプ。春季キャンプを見て配置を決めることになりそうだ。

ドラフトでは支配下で9名の選手を獲得。上位5人のうち4人は高校生だが、3位の水野達稀(内野手・JR四国)と9位の上川畑大悟(内野手・NTT東日本)の社会人内野手2人は早い段階で一軍での起用が期待されている。内野手は固定できなかっただけにレギュラー争いに加わる可能性もありそうだ。新庄新監督の1年目の船出に注目だ。

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日本を拠点に国内外の様々なスポーツの最新ニュースや役に立つ情報を発信しているスポーティングニュース日本版のスタッフアカウント。本家であるスポーティングニュース米国版の姉妹版のひとつとして2017年8月に創刊された日本版の編集部員が取材・執筆しています。