楽天は2018年の最下位から3位に浮上した。しかし、平石洋介監督は退任し、新たに三木肇監督が指揮を執るになった。新体制で2013年以来の日本一を目指す。
★鈴木大地、牧田和久、ロメロと今年も大型補強
今年も楽天は大きな補強を行った。国内FA権を行使した鈴木大地を獲得。MLBからNPB復帰を目指していた牧田和久、さらには金銭とトレードでは涌井秀章と主力になりうるメンバーを様々な方法で迎え入れている。
外国人選手は中継ぎ候補のJT.シャギワ、そしてキャンプイン直前になってから、昨シーズンまでオリックスでプレーしていたステフェン・ロメロも補強した。外国人選手はゼラス・ウィーラー、ジャバリ・ブラッシュ、アラン・ブセニッツ、宋家豪と支配下では4人が残留しており、6人で4枠を争うことになる。
昨シーズン、シャギワは前田健太の所属するドジャースでプレー。すべて中継ぎとして21試合に登板した。防御率は6.33と苦しんだが、21.1回で28奪三振、与四球は5個とその他の数値は悪くなかった。楽天でも中継ぎとして起用されることが既定路線であり、場合によっては守護神の可能性もありそうだ。
その他にもドラフトでは1位で社会人出身の即戦力候補となる小深田大翔を獲得。FA、トレード、外国人選手、ドラフトで戦力を厚くすることに成功した。
先発ローテーションの一角を担っていた美馬学がFAでロッテへと移籍したが、それを上回る補強を行ったといっていいだろう。
【新加入】
<新外国人>
J.T.シャギワ(投手)
ステフェン・ロメロ(外野手)
<ドラフト>
1位:小深田大翔 (内野手)
2位:黒川史陽 (内野手)
3位:津留崎大成 (投手)
4位:武藤敦貴 (投手)
5位:福森耀真 (投手)
6位:滝中瞭太 (投手)
7位:水上桂 (捕手)
育1位:江川侑斗 (捕手)
育2位:小峯新陸 (投手)
育3位:山崎真彰 (内野手)
育4位:沢野聖悠 (内野手)
<その他>
鈴木大地(内野手)※ロッテからFA
牧田和久(投手)※パドレスから帰還
酒居知史(投手)※ロッテから人的補償で移籍
涌井秀章(投手)※ロッテから金銭トレードで移籍
★内・外野ともにレギュラークラスに厚み
野手陣を見ると、内・外野ともにレギュラー争いが激しくなった。内野は昨シーズンのレギュラーである銀次(一塁)、浅村栄斗(二塁)、茂木栄五郎(遊撃)、ウィーラー(三塁)と揃っているところに、鈴木と小深田が加入。守備位置、そしてウィーラーは外国人枠の兼ね合いはあるが、選手層が厚くなったことは間違いない。
外野も同様だ。島内宏明、ブラッシュ、辰己涼介、田中和基とレギュラークラスが4人。さらにはオコエ瑠偉も控えている。そこにロメロが加わったわけだ。こちらも3枠に対しては明らかに過剰である。しかし、余剰戦力はペナントレースを戦う上で非常に重要となってくる。
指名打者があるとはいえ、これだけレギュラークラスの選手が揃ってくれば、毎試合のスタメンを固定せずに戦うことも考えられる。相手先発投手との相性、その他にも調子や疲労のたまり具合を見て、指名打者を使いながらシーズンを乗り切りことは珍しいことではない。選手層が厚ければこういった起用法を取ることもできるのである。
また、けが人が出た際に大きな戦力ダウンとならない点も強みとなる。プロ野球のシーズンは長い。1年を通じて全選手が怪我なく、好調を維持することはほとんどない。そういったときの備えにもなるわけだ。近年のソフトバンクがその好例だろう。
★先発ローテーションは4枠が確定、守護神は森原ら3人の争いか?
野手だけでなく投手も厚みが増した。先発投手の顔ぶれを見ると、よくわかる。今年も則本昂大と岸孝之のエース格ふたりは健在。そこに涌井が加わった。また、昨シーズンまで守護神を務めていた松井裕樹も先発へと転向する。通常6人の先発ローテーションのうち4人は。ほぼ決まっているといっていい。
その他にも塩見貴洋、辛島航、弓削隼人と3人の左腕がおり、昨シーズン飛躍を遂げた石橋良太に若手の藤平尚真が控えている。最後の2枠を彼らで争うことになる。
一方、中継ぎ陣は守護神の座が争いとなる。現時点では、森原康平、ブセニッツそしてシャギワの3人が候補となりそうだ。この3人で勝ちパターンを形成し、宋、高梨雄平、人的補償で加わった酒居知史、そして牧田が中盤を任されるだろう。その他にもベテランの久保裕也や青山浩二も控えており、こちらも層は厚い。
このように投手陣も選手が揃ってきたことで、先発ローテーションそして守護神争いが激しくなったのである。
投打ともに選手層が厚くなったのは間違いない。外国人枠を含め、三木監督がどのような起用法をとるかがポイントとなりそうだ。
石井一久GMはつねに優勝争いができるチームを目指すと公言しており、その骨格が出来あがってきたといえそうだ。