セ・リーグ4連覇を目指した2019年シーズンの広島は、クライマックスシリーズ出場も逃し4位に終わってしまった。その責任を取る形で緒方孝市監督が辞任。佐々岡真司新監督を迎えてのシーズンとなる。
★佐々岡真司監督が就任、外国人選手は3人獲得
このオフシーズンの広島は監督の変更があった。5年間に渡ってチームを率いてきた緒方孝市監督から佐々岡真司監督へバトンタッチしたのである。
戦力面では、まず新外国人選手を3人獲得した。投手はDJ.ジョンソンとテイラー・スコットの2人である。ジョンソンはヒゲがトレードマークの中継ぎ右腕。MLBでは2年間プレーし、35試合で防御率4.88の成績を残している。昨シーズンはすべて中継ぎで28試合に登板。25回を投げ、24三振を奪った一方で与四球は16個。BB/9(1試合あたりの与四球の数)は6.8と制球面で不安が残る。
一方のスコットは南アフリカ出身の中継ぎ右腕。MLBでは昨シーズン13試合に登板し、防御率14.33と結果を残せていない。マイナーでは9年間で248試合に登板し、防御率3.86とまずまずの成績。昨シーズンは51回を投げ68奪三振、与四球26と安定した内容を見せている。
野手ではホセ・ピレラを獲得した。内・外野を守ることができる万能野手。昨シーズンはMLBで14試合の出場に留まったものの、2018年は146試合に出場し打率.249、5本塁打、32打点の成績を残している。
ドラフトでは即戦力となりうる森下暢仁(1位)、宇草孔基(2位)を上位で獲得。両選手とも一軍キャンプスタートとなっており、開幕一軍の期待がかかる。なお、石原貴規(5位)も一軍スタートを勝ち取っている。
【新加入】
<新外国人>
DJ.ジョンソン(投手)
テイラー・スコット(投手)
ホセ・ピレラ(外野手)
<ドラフト>
1位:森下暢仁(投手)
2位:宇草孔基(外野手)
3位:鈴木寛人(投手)
4位:韮沢雄也(内野手)
5位:石原貴規(捕手)
6位:玉村昇吾(投手)
育1位:持丸泰輝(捕手)
育2位:木下元秀(外野手)
育3位:畝章真(投手)
★遊撃手は小園海斗と田中広輔の一騎打ち
野手陣で注目となるのは正遊撃手争いだ。昨シーズンは開幕スタメンを田中広輔が務めたものの不振、そして膝の故障もあり、シーズン半ばからはルーキーの小園海斗が起用されるようになった。その田中は8月下旬に右膝の手術を受け、現在は通常の練習も行えるまでに回復している。
春季キャンプではふたりの一騎打ちとなることが確実な状況だ。すでに佐々岡新監督も「競争させる」とコメントしており、春季キャンプ、オープン戦の状況でレギュラーが決まることになる。
また、同じ内野では三塁もレギュラーが決まっていない。昨シーズンは安部友裕がチーム最多の68試合でスタメンを務めており、アレハンドロ・メヒアが35試合、小窪哲也が26試合と続いている。このなかでは安部がレギュラーに最も近い。
しかし、新外国人選手のピレラが加わった。ピレラは外野手登録であるものの、MLBでは二塁での出場試合数が最多であり、三塁もこなせるという。メヒア含めたその他の選手との外国人枠争いを勝ち抜けば、レギュラーという可能性も大いにある。
また、遊撃手争いに敗れた一方が三塁に回ってくる可能性もあるだろう。とくに田中は今年31歳になる。年齢的にも遊撃手としてではなく、三塁を含めた他のポジションへとコンバートしてもおかしくはない。
三遊間のレギュラー争いがこの春季キャンプのみどころとなる。
★山口翔、遠藤淳志はローテーションに入れるか
投手陣を見ると、エースの大瀬良大地にクリス・ジョンソン、野村祐輔、床田寛樹と先発は充実している。この4人の後には九里亜蓮、そしてアドゥワ誠、山口翔、遠藤淳志そしてドラフト1位の森下が続く。
なかでも佐々岡監督は遠藤と山口の両右腕に期待している。秋季キャンプでも「山口と遠藤が先発ローテーション争いに入ってくると刺激になる。そのなかで勝ち取って欲しい」と檄を飛ばしたほど。遠藤と山口はともに2017年ドラフト入団の高卒3年目となる。高卒投手の規定投球回到達は前田健太(現・ドジャース)以降、誕生していない。高卒投手2人の躍進が期待される。
中継ぎ投手陣では中崎将太、今村猛、一岡竜司といった3連覇の立役者たちが復調するかが大きな鍵。昨シーズンは、いずれも1年間を通じて一軍で投げることができず、当初の構想からズレが生じてしまった。菊池保則、中村恭平といった嬉しい誤算があったのは事実だが、主力として計算されていた投手達の不振が順位に大きく影響たことは間違いない。
今年はスコットとDJ.ジョンソンと中継ぎで起用されるであろう外国人選手も加わった。実績者たちとの争いは注目だ。