原辰徳監督の復帰初年度となった2019年シーズン、巨人は5年ぶりにセ・リーグ制覇を果たした。しかし、日本シリーズではソフトバンクの前に4連敗と完敗。今年は2012年以来8年ぶりとなる日本一を目指すシーズンとなる。
★左打ちの外野手・パーラを獲得
リーグ優勝を果たした巨人はさらなる上積みを目指し、このオフシーズンも積極的に動いた。しかし、鈴木大地(ロッテ→楽天)、美馬学(楽天→ロッテ)と2人のFA宣言選手の獲得はできず、補強の中心は外国人選手となった。
投手ではエンジェル・サンチェスとチアゴ・ビエイラの2人。サンチェスはMLBでの実績はないが、昨シーズンは韓国プロ野球で17勝をマークした。山口俊が抜けた先発ローテーションを埋めることに期待がかかっている。
一方のビエイラは、最速160キロを超えるとも言われるストレートが武器の右腕。昨シーズンはホワイトソックスで6試合に登板し、1勝0敗、防御率9.00の成績を残している。7回で与四球は5個と制球力にやや不安がありそうだ。昨シーズン限りで現役を引退したスコット・マシソンのように中継ぎで起用される見込みとなっている。
野手では左打ちの外野手ヘラルド・パーラを獲得した。MLB通算1312安打、ゴールドグラブ賞を2度受賞と攻守に渡ってチームの助けになることだろう。すでに原監督は5番で起用する方針を語っており、3番・丸佳浩、4番・岡本和真、5番・パーラの青写真を描いている。
また、登場曲である「ベイビーシャーク」がかかると、球場全体がパフォーマンスで盛り上がる。こちらも話題となりそうだ。
その他には育成契約選手としてナディーノ・ディプラン投手、エスタミー・ウレーニャ内野手を獲得。C.C.メルセデスのように這い上がってくることを望まれている。
【新加入】
<新外国人>
エンジェル・サンチェス(投手)
チアゴ・ビエイラ(投手)
ヘラルド・パーラ(外野手)
ナディーノ・ディプラン(投手)※育成契約
エスタミー・ウレーニャ(内野手)※育成契約
<ドラフト>
1位:堀田賢慎(投手)
2位:太田龍(投手)
3位:菊田拡和(内野手)
4位:井上温大(投手)
5位:山瀬慎之介(捕手)
6位:伊藤海斗(外野手)
育1位:平間隼人(内野手)
育2位:加藤壮太(外野手)
<その他>
田中豊樹(投手)※日本ハムを戦力外、育成契約
八百板卓丸(外野手)※楽天を戦力外、育成契約
★中島宏之、山下航汰らで争う一塁手は誰の手に?
このオフシーズンに主だった内野手の補強はなかった。しかし、ポジションが埋まっているわけではない。原監督は岡本を三塁で起用する方針を示しており、一塁のポジションが空席となったのである。
そこをベテランの中島宏之、大卒3年目となる北村拓己、高卒2年目の山下航汰、そして捕手との兼ね合いもあるが大城卓三を含めた4人で争うことになる。すでに原監督も4人の名前を挙げており、キャンプ序盤の紅白戦からサバイバルレースとなりそうだ。
また、長年の悩みでもある二塁は今年も空席だ。吉川尚輝、山本泰寛、田中俊太、若林晃弘の競争となる。昨シーズンの開幕スタメン二塁でもある吉川尚が一歩抜けているものの、故障がちでありシーズンを通して戦ったことがない。一塁同様にアピール合戦となりそうである。
遊撃はS班調整が認められている坂本勇人で決まりだろう。とはいえ、坂本も今年32歳となるため、後釜の準備はそろそろ必要になる。坂本が一軍に不在の間にアピールできる選手が出てくるかは注目だ。
外野はパーラとS班の丸佳浩と亀井善行の3人が実力的に抜けている。しかし、この3人はいずれも左打ち。相手先発投手によっては、「第4の外野手」として右の陽岱鋼、石川慎吾らを併用しながらスタメンを組んでいくことも考えられる。
捕手は小林誠司と大城、そしてS班調整の炭谷銀仁朗の争い。大城が打撃面で抜けているものの、肩などの守備面では小林がリード。大城の一塁出場を含め、起用法には注目したい。
★求められる菅野智之に続く存在
投手陣ではエースの菅野智之に続く存在が不在。韓国で17勝をマークしたサンチェス、その後にはメルセデスと2年目の高橋優貴がつづいている。サンチェスに山口の穴を埋める期待がかかるものの、日本でのプレーは今年が初めて。実戦登板を果たすまでは計算が立ちにくい。その他の投手の台頭もほしいところ。
若手では桜井俊貴と戸郷翔征のふたりが開幕ローテーション入りを期待される。とくに戸郷は高卒2年目とまだ若い。ルーキーイヤーだった昨シーズンは終盤戦で一軍にデビューを果たすと、ポストシーズンでも登板機会を与えられた。今年のブレイク候補筆頭だ。その他では古川侑利、畠世周らがつづく。
このように先発ローテーション候補の名前は挙がるが、菅野以降は確約されているわけではない。だれしもにチャンスがある状態といえるだろう。
中継ぎ陣は残留したルビー・デラロサ、日本代表入りを果たした中川皓太、ベテランの大竹寛が中心となるが、勝ちパターンが確立されているわけではない。その他の中継ぎであるビエイラ、左の高木京介、澤村拓一、宮國椋丞らを含めて再編成することになる。