外野手の高齢化が進むヤクルト。若手の塩見泰隆はレギュラー争いに加わることができるか

Sporting News Japan Staff

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侍ジャパンに選出された若手有望株、ヤクルトの村上宗隆が国際舞台でもその打棒を発揮した。村上の守る一塁・三塁は、近年ヤクルトでは川端慎吾や畠山和洋が務めていたポジションだ。今季はこのポジションで世代交代が起こりそうだ。だがヤクルトで世代交代が求められているのは内野だけではない。

 

 

 

高齢化が進むヤクルト外野手。期待の塩見は二軍では別格の成績

2017年を迎えた時点で、ヤクルトの外野はウラディミール・バレンティン、坂口智隆、雄平とレギュラー全員が30代前半の選手で占められていた。更に昨季のキャンプ直前に36歳の青木宣親が加入。高齢化していた外野陣にさらに年上の選手が加わることになった。これにより、現在のヤクルト外野陣は、4人の主力外野手が全員ベテランという異常事態が発生している。このような状況は中長期的に見た場合、あまり好ましくはない。現状を打開できる若手外野手は現れるだろうか。

 

現時点でその最有力候補といえるのが、2年目の塩見泰隆である。塩見は大学、社会人を経てプロ入りを果たした25歳だ。ルーキーイヤーの昨季は即戦力としての活躍が期待されたが、一軍での出場はわずか16試合26打席。安打もわずか1本とプロの壁に阻まれた形となった。

 

2018年新人打者の二軍打撃成績(150打席以上を対象)

打者 打席 OPS
塩見泰隆(ヤクルト) 166 1.011
清宮幸太郎(日本ハム) 182 .930
村上宗隆(ヤクルト) 427 .879
若林晃弘(巨人) 284 .852
西村凌(オリックス) 243 .841
二軍平均   .693

 

ただし、塩見は二軍で別格のはたらきを見せていたようだ。昨季二軍で150打席以上に立った新人打者をOPS(On-base Plus Slugging/出塁率と長打率を足して算出した打撃による総合的な貢献状況を示す数字)順に並べると、塩見の値は1.011でトップ。打席数こそ少ないものの、清宮幸太郎(日本ハム)や村上など、大きな注目を浴びた新人以上の値を残していたのである。清宮や村上が高卒の選手であるため、経験や完成度において塩見に分があるのは当然だが、それでもこれだけの数字を残すのは難しい。

 

また、塩見はスピードの面でも二軍で傑出した才能を見せている。昨季、塩見は二軍での試合出場はわずか48試合ながら22個の盗塁を決めている。高い出塁率に助けられたとはいえ、並のペースではない。さらに、22の盗塁を決める間に失敗も2つしかしておらず、ただやみくもに走っているわけでもなさそうだ。打撃だけでなく、走塁面でも一軍の戦力となりそうである。

 

 

 

レギュラー獲得には高い壁。左投手対策での起用が有効な作戦に?

高い能力を見せている塩見だが、レギュラーに完全に定着するのはなかなか難しそうだ。坂口は一塁にコンバートされているものの、青木、バレンティン、雄平には長年にわたっての実績がある。塩見が彼らを退けて優先的起用されるためにはかなり説得力のある結果を残す必要がありそうだ。オープン戦で2位の打率を記録するなど猛アピールを見せているものの、順当に行けば、試合終盤、バレンティンのポジションに守備固めや代走から入る第4外野手としての役割に落ち着きそうだ。

 

ただ4番手外野手という立場のままでも多くの出場機会を得られる起用法はある。表は雄平の対左右投手別OPSを年度別に示したものだ。

 

 

雄平の対左右投手別OPS

年度 打席 対右OPS 対左OPS
2014 597 . 959 .720
2015 585 .738 .608
2016 436 .828 .488
2017 300 .804 .564
2018 482 .880 .563
2018セ平均   .724 .742

 

昨季、雄平は右投手に対して.880という好成績を残した一方、左投手に対しては.563。左投手を打つことができていなかったようだ。このように左投手に対しての成績が右投手に比べ低迷する雄平の傾向はどの年度を見ても共通しており、左投手を苦手にしている様子がうかがえる。一方の右打者の塩見は左投手に対しての苦手意識は雄平よりも少ないはずだ。相手先発が右投手のときは雄平、左投手のときは塩見という使い分けができれば、左投手に弱いという雄平の弱点を隠しながら、塩見も出場機会を得られるのではないだろうか。

 

MLBではこうした起用を「プラトーン・システム」と呼び、多くの球団が採用している。現状、塩見が左投手に強い打者であるかは不明だが、雄平の左投手との対戦を減らすだけでも出場する価値はある。ヤクルトは右翼のポジションでプラトーン・システムの採用を検討してもいいのではないだろうか。そしてこの起用法の実現は、外野手のスムーズな世代交代にもつながるはずである。

 


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※記事はIOC公式サイト『 Olympic Channel 』提供

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