中田翔のスピードボールへの対応力アップが、日ハム優勝へのカギか?データで分析

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日本ハムには近藤健介や西川遥輝など、出塁能力に長けた打者が多い。この打線に今季からは台湾の4割打者・王柏融も加わることになった。上位打線はかなりの高出塁率を記録しそうだ。となると今度はそれを還す長打力のある打者が重要になってくる。

 

 

 

走者を置いての打席が最も多い中田翔

このように上位打線に出塁率の高い打者が揃う状況において、ポイントゲッターとして大きな期待がかかるのが4番に座る中田翔だ。中田はここ5年で4度の100打点以上をクリアするなど、日本ハム打線の中で走者を還す役割を担い続けている。

 

 

 

走者なしの状況での打席がどれだけあったか(2018年/パ・リーグ)

打者 走者なし割合
中田翔 45.2%
近藤健介 49.4%
浅村栄斗 49.5%
角中勝也 49.8%
山川穂高 50.1%
NPB平均 55.7%

※300打席以上の打者を対象

 

 

 

昨季パ・リーグで300打席以上に立った打者の、走者なしで打席に立った割合を比べてみる。中田が走者なしで打席に立った割合は45.2%。NPB平均の55.7%に比べても10%以上低い。2位の近藤は49.4%であることから、他の上位選手と比べてもかなり多くの走者を置いて打席に立っていたことがわかる。

だが日本ハムの昨季の1試合平均得点は4.12点。主軸の前にそれだけの走者を出しているにもかかわらず、西武の5.54点やソフトバンクの4.79点と比べるとかなり低い。もちろんこれは下位打線の得点力不足もあるが、塁に走者を置いても得点につながらなかったという問題がありそうだ。 

実際、ここ数年の中田は100打点や本塁打25本前後は記録するものの、タイトルに絡むほどの活躍は見せられておらず、侍ジャパンの選考からもやや遠のいてしまっている。中田がさらに優れた打者へレベルアップすれば日本ハムの得点力はより向上しそうだ。

 

 

 

中田最大の課題は速いストレートへの対応力

中田がより優れた打者に成長するためにはどういった課題をクリアする必要があるだろうか。おそらく最大の課題はストレートへの対応力を磨くことだろう。ストレートは投球全体の45%ほどを占める球種だ。当然この球種にうまく対応できれば成績は残しやすくなる。 

昨季の中田のストレートに対するOPS(On-base Plus Slugging/出塁率と長打率を足して算出し打撃による総合的な貢献状況を示す数字)を球速別に見てみたい。昨季のパ・リーグのストレート平均球速は143.8km/hであった。そこから考えると遅い部類に入る140キロ以下のストレートに限定すると、中田のOPSは1.184。強打者らしくNPBの平均.847を大きく上回る値を記録している。

 

 

 

ストレートに対する球速別OPS

打者 140キロ以下 141-145キロ 146キロ以上
中田翔 1.184 .747 .699
NPB平均 .847 .803 .759

当然多くの打者はここから球速が上がるごとに成績を落としていく。スイングするかどうか判断する時間や、スイング自体を行う時間が短縮されることが打者にとって不利になるからだ。例えばNPBの平均的な打者であれば、140キロ以下のストレートに対して.847だったOPSは、141-145キロになると.803、146キロ以上になると.759と、なだらかに成績が低下している。

一方の中田は球速の変化に対して一般的な打者以上に苦戦しているようだ。140キロ以下の投球に対しては1.184と素晴らしい成績を残していたが、この値が141-145キロになると.747まで低下する。NPB平均が.847から.803への低下だったため、中田の成績はより球速の変化に敏感になっていることがわかる。146キロ以上に対しても.699とやはり低迷している。スピードボールへの対応力が上がれば、より素晴らしい打者になるだろう。

日本ハムは前回の優勝の翌シーズンである2017年、多くの主力選手をシーズン中に他球団に放出した。チームを建て直す時期と優勝を狙う時期をはっきり分ける球団といえるだろう。そこから考えると、今季の日本ハムは間違いなく後者にあたる。若手選手の育成で戦力を整えてきた球団が、実績十分でやや高額な金子弌大や秋吉亮の獲得を行ったのだ。これは優勝を狙うサインと考えるべきである。その優勝を狙うためには得点力のアップは欠かせない。ポイントゲッターの中田がスピードボールへの対応力をどれだけ上げられるかは優勝を狙う日本ハムの運命を左右するほどの要素になりうる。

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※記事はIOC公式サイト『Olympic Channel』提供

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日本を拠点に国内外の様々なスポーツの最新ニュースや役に立つ情報を発信しているスポーティングニュース日本版のスタッフアカウント。本家であるスポーティングニュース米国版の姉妹版のひとつとして2017年8月に創刊された日本版の編集部員が取材・執筆しています。