わずかにオリに及ばずV逸のロッテ、課題は先発陣再建|プロ野球2021振り返り・2022展望

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オリックスと激しい首位攻防戦を繰り広げるも、一歩及ばず2位フィニッシュ

[順位]2位(CSファイナル・ステージ敗退)
[勝敗]67勝57敗19分
[勝率].540

ロッテは2年連続2位に終わった。クライマックス・シリーズではファイナルステージでオリックスに挑むも敗戦。2010年以来となる日本シリーズ出場は叶わなかった。

開幕直後は苦しい流れが続いた。開幕戦で敗れると2試合連続サヨナラ負けを含む5連敗。初勝利は6試合目のことだった。それでも4月末時点で14勝13敗4分とほぼ5割まで星を戻すと、その後は3試合以上の連敗はなく、前半戦終了時点でオリックスと2.5ゲーム差となる37勝34敗12分の3位で折り返した。

後半戦が始まった8月は9勝4敗2分と好スタートを切り、9月からオリックスとの激しい首位攻防が始まる。9月は序盤からしばらく首位を守り、月末のオリックスとの3連戦で3連敗。この連敗は4に伸び2位に転落してしまう。

その後も激しい争いを繰り広げながら10月15日には2位ながらもマジックが点灯。最後の最後まで食い下がったが、首位のオリックスが全日程を終え、ロッテのマジック3で残り3試合となった10月27日の楽天戦で敗戦。惜しくも優勝を逃した。

クライマックス・シリーズのファーストステージでは楽天と対戦。初戦でサヨナラ勝ちを収め、2戦目は引き分けて1勝1分で勝ち抜けた。そして、ファイナルステージではオリックス相手に2試合連続完封負け。3戦目は9回土壇場で引き分けに追いつかれ、敗退となった。

先発投手陣は不安定な結果に。そのなかで佐々木朗希が4勝

[失点]570(5位)
[防御率]3.67(5位)

最後まで優勝を争い2位に入ったものの、570失点・防御率3.67はともにリーグ5位と投手陣は苦しんだ。そのなかで奮闘したのは大卒3年目の小島和哉。前半戦終了時点では5勝3敗、防御率4.69だったが、9月からは見違えるように活躍。9月11日の楽天戦から4試合で3完投、そのうち2試合は完封勝利とエース格の働きを見せた。最終的に自身初となる規定投球回にも到達し10勝4敗、防御率3.76と結果を残した。規定投球回、2桁勝利を達成したのはチームで小島だけだった。

2020年にリーグ最多の133.1回を投げ7勝を挙げた石川歩はキャンプで出遅れた。初登板となった4月13日の楽天戦で7回1失点と好投し、初勝利をマーク。しかし、5月下旬に登録を抹消され6月には右肘のクリーニング手術を受ける。9月に入ってから一軍に戻ると6試合の登板で6QS(6回以上自責点3以下)、4勝1敗、防御率1.76と結果を出している。シーズンを通じて投げることができなかったのは大きな痛手だったものの意地は見せた。また、前半戦では中継ぎと起用されていたルーキーの河村説人が7月から先発に転向し4連勝。先発で4勝1敗と3つの貯金を作った。

開幕投手を任された二木康太は安定感を欠いた。開幕戦で5回5失点と打ち込まれ黒星を喫するも、次回登板から3試合連続で7回を投げ自責点1以下と復調したかに思われた。しかし、それ以降は一進一退。前半戦終了時点で4勝4敗、防御率3.97と物足りない数字に終わる。後半戦では8試合で1勝3敗、防御率5.18と力になれず、シーズン通算で5勝7敗、防御率4.38と借金を抱えた。

移籍2年目の美馬学も6勝7敗、防御率4.92と苦しんだ。6月には2試合連続10失点以上を喫する大乱調。優勝を争う10月にも自責点は0ながら2回途中7失点と踏ん張れない試合があった。岩下大輝は前半戦で8勝4敗、防御率3.39とチームを引っ張ったが、後半戦は1試合も勝てず4連敗。最終盤は中継ぎに回っている。

大注目だった高卒2年目の佐々木朗希は5月に一軍初登板。登板間隔を空けながら11試合に登板し3勝2敗、防御率2.27の成績を残した。後半戦は6試合の登板で2勝0敗、防御率1.22と抜群の成績。10月に至っては3試合の登板で防御率0.47とまさにエースクラスの投球を見せた。

救援投手陣は安定感が高かった。守護神の益田直也は初登板から2試合連続黒星の悪い流れを引きずらず、前半戦終了時点で22セーブを挙げ、防御率を2.23まで戻した。後半戦も守護神の座を守り抜き、リーグ最多の67試合に登板し、38セーブで最多セーブのタイトルを獲得した。

大ブレイクしたのが佐々木千隼だ。2016年ドラフト1位の佐々木千はシーズン途中からセットアッパーに抜擢されると、54試合で8勝1敗、1セーブ、26ホールド、防御率1.26と圧巻の成績。シーズンを通して一軍に帯同し結果を残した。

唐川侑己は6月半ばからオリンピックの中断を含む約3ヶ月の離脱があったため、38試合の登板にとどまった。そのなかで4勝2敗、22ホールド、防御率2.72と役割を果たした。シーズン途中にDeNAから加入した国吉佑樹がセットアッパーに定着。25試合で2勝0敗、17ホールド、防御率1.44と結果を残している。

先発投手陣が不安定な中、益田、佐々木千、国吉、唐川らのやりくりでシーズンを乗り切った。

荻野貴司がリーグトップの得点を叩き出した打線を牽引

[得点]584(1位)
[打率].239(5位)
[本塁打]126(3位)
[盗塁]107(1位)

野手陣はリーグトップの584得点を叩き出した。3割打者は不在だったもののリードオフマンの荻野貴司が打率.296(570打数169安打)、24盗塁でチームを牽引。最多安打と盗塁王のタイトルを獲得した。また2番でチーム最多の64試合に起用されたマーティンも光った。打率.233(416打数97安打)ながら27本塁打中15本塁打を2番で記録。攻撃的な2番打者として他チームに脅威を与えた。

主に3番で起用された中村奨吾は打率.283(506打数143安打)の結果を残した。36二塁打、出塁率.382、OPS.797はキャリアハイ。後ろにつなぐバッティングで貢献した。4番と5番で起用されたレアードも29本塁打、95打点はともにリーグ2位。主軸としての結果を残している。

その他の選手を見るとブレイクしたのが高卒3年目の山口航輝だった。開幕スタメンを勝ち取ると78試合で9本塁打を記録している。9本塁打は中村と並んでチーム4位タイでもあった。代走として和田康士朗も機能した。96試合の出場で打席数はわずか24。そのなかで24盗塁を決め、荻野らとともに盗塁王を獲得している。

一方で、期待に応えられなかったのが井上晴哉だ。3年連続で15本塁打以上を記録していた井上は、わずか23試合の出場で1本塁打と精彩を欠いた。また、安田尚憲と藤原恭大の若手二人も開幕スタメンに名を連ねたものの、ともに規定打席には届いていない。

即戦力候補の投手をドラフトで2名獲得

<主な新加入選手>

【外国人選手】

タイロン・ゲレーロ(投手・前ホワイトソックス3A)

【ドラフト指名】

<支配下>

1位:松川虎生(捕手・市立和歌山高)

2位:池田来翔(内野手・国士舘大)

3位:廣畑敦也(投手・三菱自動車倉敷オーシャンズ)

4位:秋山正雲(投手・二松学舎大学附属高)

5位:八木彬(投手・三菱重工West)

<育成>

1位:田中楓基(投手・旭川実業高)

2位:速水将太(内野手・富山GRNサンダーバーズ)

3位:永島田輝斗(投手・立花学園高)

4位:村山亮介(捕手・幕張総合高)

このオフにロッテはレアード、マーティン、エチェバリアの野手3人と投手のロメロが残留した。そこに新たに速球派のタイロン・ゲレーロ(投手)が加わった。中継ぎとしての起用が想定されており、セットアッパーに定着させたいところだろう。

その他ではイースタン・リーグで最多勝に輝いた森遼大朗が育成契約から支配下契約へと昇格した。二軍では2年連続で規定投球回に到達しており、先発として一軍入りを目指すことになりそうだ。

ドラフトでは3位で廣畑敦也(投手)、5位で八木彬(投手)と社会人の投手を2人獲得した。即戦力として課題だった投手陣を修復できるかどうかが2位以上を目指す上で大きなポイントとなりそうだ。

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日本を拠点に国内外の様々なスポーツの最新ニュースや役に立つ情報を発信しているスポーティングニュース日本版のスタッフアカウント。本家であるスポーティングニュース米国版の姉妹版のひとつとして2017年8月に創刊された日本版の編集部員が取材・執筆しています。