2022年シーズンは大勢（巨人）、水上由伸（西武）のリリーフ投手が新人王を受賞。その2人と新人王を争った湯浅京己（阪神）や阿部翔太（オリックス）、宮森智志（楽天）、木澤尚文（ヤクルト）らも飛躍を遂げた。野手では長岡秀樹（ヤクルト）や上川畑大悟（日本ハム）、野村勇（ソフトバンク）など、多くの選手が台頭を見せた。
そこで今回は、2023年シーズンにブレイクを期待したい若手選手をセ・リーグ、パ・リーグから3人ずつピックアップ。第3回は阪神タイガースの内野手・小幡竜平（おばた・りゅうへい）だ。
延岡学園高では3年春の選抜に出場
中学時代は大分明野ボーイズに所属に所属した小幡。高校は宮崎県の強豪・延岡学園高に進学し、1年秋から遊撃レギュラーを掴む。1番・遊撃で出場した2年夏の宮崎大会は3回戦で敗退。4番・遊撃で出場した2年秋は宮崎大会優勝、九州大会ベスト4に進出した。
迎えた3年春の選抜では初戦の國學院栃木高に敗れたものの、自身は初回にタイムリーを放ち、軽快な守備も披露した。同夏の宮崎大会は第1シードとして臨み、宮崎工高に延長12回の末に敗れて初戦敗退。それまで無安打で迎えた第6打席に2ランを放ったが、わずかに及ばなかった。
高校通算24本塁打の遊撃手として、2018年プロ野球ドラフト会議で阪神から2位指名を受けプロ入りを果たした。
阪神では8年ぶりの10代野手スタメン出場
プロ1年目はファームで主に遊撃手として出場機会を掴んだ小幡。ウエスタン・リーグで99試合に出場し、打率.225（316打数71安打）、1本塁打、13打点、OPS.542とまずまずの成績を残した。一軍出場こそなかったものの、ファームの規定打席に到達するなど、多くの出場機会を与えられたシーズンだった。
2年目はコロナ禍に見舞われながらも、開幕からファームのレギュラーとして出場。32試合で打率.288（104打数30安打）、2打点、OPS.659と成績を上げ、夏場に一軍昇格。すると54試合で打率.220（127打数28安打）、7打点、OPS.515の成績を残し、阪神の10代の野手としては8年ぶりのスタメン出場も果たした。
飛躍を期して迎えた3年目の開幕はファームで迎えた。5月に一軍昇格するも、43試合で打率.261（23打数6安打）、OPS.711と出場数を減らした。さらに、ルーキー・中野拓夢の台頭により二塁、三塁での出場がメインとなってしまった。
遊撃レギュラー確保のチャンス
小幡は4年目の2022年シーズン、オープン戦で好成績を残して開幕一軍を掴み取るも、遊撃レギュラーは中野だった。一軍で49試合に出場し、うち二塁で36試合、三塁で8試合、遊撃はわずか1試合に止まった。
打撃は打率.188（69打数13安打）と苦戦。それでも、4月24日の東京ヤクルトスワローズ戦（神宮球場）ではプロ初本塁打を記録。ファームでは46試合で打率.331（175打数58安打）、1本塁打、22打点、OPS.806と成績を大きく向上させた。
さらにシーズン終了後に行われたみやざきフェニックス・リーグでは、サイクル安打を記録するなど好成績をマーク。小幡を高評価する岡田彰布新監督が遊撃起用を指示し、同リーグでは遊撃で出場し続けた。
加えて、入団以来遊撃レギュラーの座を守ってきた中野の二塁コンバートが決まった。木浪聖也ら、実績のあるライバルもいるが、小幡にとっては追い風となりそうだ。
打撃も守備も向上、5年目の飛躍へ準備万端
小幡のセールスポイントは強肩と広い守備範囲を活かした内野守備だ。2年目に一軍昇格を果たした際には9失策を喫し、平田勝男二軍監督から「鍛え直し」を迫られたが、3年目は1失策、4年目は2失策と改善し、プロの打球に適応してきている。
また、ケガに強いところも魅力の一つだ。2年目にウエスタン・リーグの試合で自打球を受け鼻骨を骨折したが、フェイスガードをつけながら出場を続けた。そんな強いガッツは一軍で活躍するための大切な資質ともなる。
課題の打撃もファーム、フェニックス・リーグで改善を見せており、2023年シーズンに一軍で活躍するための準備はできている。あとは定位置を掴み、不動の遊撃手へと駆け上がるのみ。
高卒野手のレギュラー定着が少なくなった阪神。小幡を始め、2023年に4年目を迎える井上広大や、同2年目の前川右京ら楽しみな若手が多い。彼らが主力へと成長したとき、2005年以来の優勝に大きく近づくだろう。
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