【米国記事翻訳】完全試合達成の日本人・佐々木朗希とは何者か…MLBにやって来る可能性は?

Edward Sutelan

【米国記事翻訳】完全試合達成の日本人・佐々木朗希とは何者か…MLBにやって来る可能性は? image

プロ野球の歴史上、多くの完全試合が生まれた。しかし、佐々木朗希が4月10日に達成した完全試合より完全な記録はどこにも存在しないだろう。

日本プロ野球(NPB)の千葉ロッテマリーンズに在籍する20歳の剛腕投手が、対戦相手のオリックス・バファローズの打者27人を全員アウトに打ち取ったのだ。それには日本タイ記録となる19奪三振も含まれていた。

▶豪華景品付き! 「スポーツ番付勝利予想」に挑戦しよう

佐々木は以前からアメリカの野球界からも海外のトップ投手のひとりとして認識されてはいた。しかし、今回の完全試合は大谷翔平以来の衝撃として、各メディアの見出しを大々的に飾った。

佐々木は瞬く間にこのスポーツ全体で最も重要な名前のひとつになりつつある。スポーティングニュースはこの日本が生んだスター選手に関する5つの事実を紹介する。

佐々木朗希の完全試合

それは野球史上最高の投球であっただろうか。その称号に相応しいものであったことは確かだ。 佐々木の完全試合は日本プロ野球の歴史では16番目にあたる。直近では1994年に槙原寛己が達成して以来のことだった。NPBと MLBを合わせても、佐々木が奪った三振数は完全試合の中で最多である。MLBではマット・ケイン(2012年)とサンディー・コーファックス(1965年)が完全試合で14奪三振の最多記録を持っている。過去の日本記録は広島カープの外木場義郎が1968年に達成した16奪三振だった。

19奪三振はNPBの1試合最多記録でもあり、トム・チェニーが1962年に達成したMLB記録の21個にはわずかに及ばなかった。佐々木はこの試合で13者連続三振も達成しており、これはNPB・ MLBを含めて前例はない。

驚くべきことに、佐々木は27人の打者を退けるためにたったの105球しか必要としなかった。19個の三振を奪ったにもかかわらず、である。1打者に対する平均投球数は3.9だった。

ビル・ジェームズ氏が構築した投手のパフォーマンスを評価する指数では、佐々木の完全試合のスコアは106点となる。これはケリー・ウッドがヒューストン・アストロズを相手に9回1被安打20奪三振を記録した試合のスコアである105点を上回る。

佐々木朗希の投球パフォーマンス

佐々木は絶対的な決め球を2つ持っている。速球とフォークだ。

高校を卒業したとき、佐々木は既に時速160キロ超の速球を投げることで有名だった。『 CBSスポーツ』によると、バファローズ戦での佐々木は速球の平均速度は時速160.1キロだった。この速球はさらに縦に50.2センチ、横に39.1センチ、動くと言うことだ。

参考までに、『Baseball Savant』では2021年の投手の中で時速152.9キロ以上の速度と48.3センチ以上の縦の動きを持つ投手はひとりだけとしている。それはディロン・メイプルズ(153キロ、51.1センチ)である。速球が時速144.8キロ以上で、縦と横の動きが38.1センチを越える投手はハーリン・ガルシアとアンドリュー・ヒーニーの2人だけだ。

投手 横の動き(センチ) 縦の動き(センチ) 球速(時速キロ)
佐々木朗希 39.1 50.3 160.1
ハーリン・ガルシア 39.6 47.2 149.8
アンドリュー・ヒーニー 38.9 44.2 148.1

対戦打者たちが速球に目が慣れてきたところで、鋭いフォークで完全にバランスを崩すことができる。『CBSスポーツ』によると、佐々木のフォークは平均時速146.8キロであり、縦の落差は5.8センチ、横の変化は19.8センチである。これはMLBでも2番目に速いフォークだ。

佐々木朗希の高校時代のニックネーム

こんな球を打つのは不可能であるように感じはしないだろうか。しかも高校時代にこの投手と対戦することを想像してほしい。

佐々木は高校時代から既に160キロ超の速球を投げ、全国的に最も有名な投手のひとりだった。『朝日新聞(英語版)』によると、大船渡高校3年生だった2019年に時速163キロを計測したことがある。その恐るべき速球が佐々木に「令和の怪物」というニックネームを与えた。

高校時代に挙げた実績により、佐々木はNPBドラフトでマリーンズから1巡目指名を受けた。

佐々木朗希の成績

日本プロ野球に入ってすぐ、佐々木は圧倒的な成績を挙げ始めた。最初のシーズンとなった2021年、83回1/3を投げ、防御率は1.84だった。87個の三振を奪い、四球は19個しか与えなかった。打たれた安打は61本(うち本塁打6本)だけである。

2022年は早くも前年の数字を上回る勢いだ。完全試合を含め、ここまで3試合に先発登板し、23回を投げて、防御率1.57、奪三振は42個、与死球は2個、被安打は7本のみである。

大谷翔平と比較してみよう。大谷はNPBで投手としてフルシーズンを送った最後の年に、140回を投げて、防御率1.86、奪三振は174個、与死球は45個、被安打は89本(うち本塁打4本)だった。大谷は2017年には5試合しか先発登板せず、26回1/3を投げて、防御率3.42の成績だった。

佐々木朗希がMLBに来られるのはいつか

MLBファンは佐々木が投げるところを早く見たいと願っているだろう。残念なことに、それはすぐには実現しない。

佐々木が国際フリーエージェントの資格を取得するためにはマリーンズで少なくとも9年以上プレイしなくてはならない。もっと早くMLBに来る方法はあるが、それは複雑なプロセスになる。

具体的にはこうだ。佐々木は25歳になる前に自身のポスティングを球団に依頼することはできる。MLBルールでは、その場合に海外選手と契約する際の上限が475万ドル(約5億9488万円)から575万ドル(約7億1998万円)の間に設定される。マリーンズが佐々木をポスティングにかけ、契約が成立すると、球団は保証額の20%を受け取ることになる。

佐々木が25歳になるまで待つか、あるいはプロ野球に6年以上在籍してからポスティングを依頼すれば、大きな契約を結ぶことが可能になる。MLBルールでは、もし佐々木の契約が2500万ドル(約31億3045万円)以下だった場合、千葉ロッテマリーンズはその20%を受け取る。もし契約額が2500万ドル(約31億3045万円)から5000万ドル(約62億6090万円)までの間だった場合、球団が受け取る額は最初の2500万ドル(約31億3045万円)の25%に加えて、契約額の残りの17.5%になる。契約額が5000万ドル(約62億6090万円)より高額になった場合は、球団が受け取る金額は、最初の2500万ドル(約31億3045万円)の25%、次の2500万ドル(約31億3045万円)の17.5%、そして契約額の残りの15%になる。

ポスティングシステムはこのように複雑であるが、佐々木が早くに日本を去る決断をしない限り、少なくとも2027年まで行使されることはない。

MLBファンには悪いが、佐々木がアメリカにやってくるまで、しばらく待たなくてはいけないようだ。

原文:Roki Sasaki's perfect game: Five things to know about Japanese pitcher, including 20-year-old could move to MLB
翻訳:角谷剛

▶プロ野球を観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう

Edward Sutelan

Edward Sutelan Photo

Edward Sutelan joined The Sporting News in 2021 after covering high school sports for PennLive. Edward graduated from The Ohio State University in 2019, where he gained experience covering the baseball, football and basketball teams. Edward also spent time working for The Columbus Dispatch and Cape Cod Times.