NFLパワーランキング2022−23:気の早過ぎる予想で贈る来季戦況…先頭を走るチーフス、ビルズ、ベンガルズの3強。セインツとバッカニアーズは苦戦か


Vinnie Iyer

NFLパワーランキング2022−23:気の早過ぎる予想で贈る来季戦況…先頭を走るチーフス、ビルズ、ベンガルズの3強。セインツとバッカニアーズは苦戦か image

今年もNFLシーズンが終了し、アメリカンフットボールの頂点に立つ最高峰チームがスーパーボウル王者を戴冠した。そうなると、毎年この時期に我々が考えるべきことは1つしかない。来年はどのチームが優勝するのか、である。

オフシーズン中もNFLの活動が止むことはない。フリーエージェント市場や新人ドラフトを通して、戦力補強に成功するか、あるいは弱体化してしまうか、いずれにしても各チームはロースターを組み替えることになる。早くも様々な予想が飛び交う中、全32チームは良くも悪くも2022-23年シーズンへと足を踏み出している。

スポーティングニュースが現時点で9月を予想する、新シーズン初のNFLパワーランキングは以下の通りである。

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パワーランキング

1. カンザスシティ・チーフス

チーフスは守備陣、特に第2列を大幅に入れ替えるかもしれない。そしてパトリック・マホームズ(クォーターバック)のパスを受けるレシーバーたちへも変更を加える可能性がある。2021年は残念ながらスーパーボウル3年連続出場を逃したものの、マホームズとアンディ・リード(ヘッドコーチ)がいる限りは、チーフスがその王座にもっとも近い場所にいることは間違いない。

2. バッファロー・ビルズ

ジョシュ・アレン(クォーターバック)は最優秀選手賞(MVP)に選出されてもおかしくないほどの活躍を見せた。ビルズの攻撃陣と守備陣は強力さを保っており、その戦力は直近2年のAFCチャンピオン、チーフスとシンシナティ・ベンガルズと比べても遜色はない。

3. シンシナティ・ベンガルズ

マホームズ、アレン、そしてジョー・バロウ(クォーターバック)の若い3人のライバル関係は今後AFCを引っ張っていき、毎年のプレーオフで大きな話題を作ってくれるだろう。そして、ジャスティン・ハーバート(ロサンゼルス・チャージャーズのクォーターバック)もそこに加わる。戦力を総合的に見ると、ベンガルズはチャージャーズより上を行っている。

4. グリーンベイ・パッカーズ

フリーエージェントの問題を抱えるアーロン・ロジャース(クォーターバック)がこのチームに戻ってくるかどうかで、今後の展開は大いに変化する。マット・ラフルアーがヘッドコーチに就任して以来、パッカーズは3年連続でシーズン13勝を挙げている。この驚嘆するべき記録を続けられるかどうかはMVPクォーターバックをチームに繋ぎ止めることができるかにかかっている。

5. ロサンゼルス・ラムズ

ラムズは今勝利の美酒に酔っている。しかし、それはしばらくしか続かない。オデル・ベッカム・ジュニア(ワイドレシーバー)、ボン・ミラー(ラインバッカ―)、攻撃ライン陣から数人をフリーエージェントで失うかもしれない。しかし、マシュー・スタッフォード(クォーターバック)とクーパー・カップ(ワイドレシーバー)のコンビは攻撃陣を牽引し、さらに強化するであろうし、アーロン・ドナルド(ディフェンシブタックル)とジャレン・ラムジー(コーナーバック)は守備陣を強固に保つだろう。

6. サンフランシスコ・49ers

49ersはクォーターバックのポジションをジミー・ガロポロからトレイ・ランスに移していくだろう。ランスはプロ入り2年目のシーズンになる。それによってチームの攻撃力は増し、強力な守備陣と嚙み合って、良い結果に繋がるのではないだろうか。

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7. ダラス・カウボーイズ

ダック・プレスコット(クォーターバック)とケレン・ムーア(攻撃コーディネーター)のコンビは健在で、カウボーイズの強力な攻撃力は保たれるだろう。ダン・クイン(守備コーディネーター)のチーム復帰によって、守備力も計算できる。マイク・マッカーシー(ヘッドコーチ)にはプレーオフで結果を出すことがより強く求められる。

8. ニューイングランド・ペイトリオッツ

ペイトリオッツは新人クォーターバックのマック・ジョーンズを良い形で起用し始めた。ジョーンズを支える守備力とラン攻撃は十分だ。2年目の今シーズンはチームをトップ10に押し上げられるかどうかでジョーンズの評価は分かれるだろう。

9. ボルティモア・レイブンズ

背中や足首など故障の多かったラマー・ジャクソン(クォーターバック)が健康な形で復帰し、そのパス能力に加えて、J.K. ドビンズとガス・エドワーズのランニングバックが戻ってくることで、レイブンズの攻撃力はさらに完璧になる。守備陣は全体的に何人かの戦力低下に直面するだろう。

10. テネシー・タイタンズ

タイタンズはデリック・ヘンリー(ランニングバック)、マイク・ブラベル(ヘッドコーチ)、そしてライアン・タネヒル(クォーターバック)が相変わらずチームの顔だ。攻撃陣にもう少し安定性と爆発力を必要としている。プレーオフで上を狙うためには、パス攻撃への守備力を高めることも必要だ。

11. ロサンゼルス・チャージャーズ

ジャスティン・ハーバート(クォーターバック)がAFCの若きビッグ3に肩を並べる存在であることに疑問の余地はない。チャージャーズはその攻撃陣の爆発力を高めることとラン攻撃に対する守備力の信頼性を高めるための補強が求められる。

12. フィラデルフィア・イーグルス

イーグルスは元インディアナ・コルツの攻撃コーディネーターだったニック・シリアニをヘッドコーチに据えることで、チームの方向性を定めるために少し時間がかかった。ジェイレン・ハーツ(クォーターバック)のパス能力にはまだ疑問が残るが、それよりも3人のドラフト1巡目指名選手を抱えた守備陣は全体的なテコ入れがなされるべきだ。

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13. インディアナポリス・コルツ

カーソン・ウェンツ(クォーターバック)はシーズン終盤まで良いプレイを続けた。そのこと以上に、コルツは 守備陣(守備コーディネーターのマット・エベルフラスを失ったにもかかわらず)とジョナサン・テイラー(ランニングバック)に率いられたラン攻撃によって好成績を挙げた。フランク・ライク(ヘッドコーチ)はそれ以上ウェンツに頼らない決断を早い時期に下したのだ。

14. ミネソタ・バイキングス

ヘッドコーチ就任が予想されているケビン・オコンネルは来季の最優秀コーチ賞の候補になるかもしれない。ジャスティン・ジェファーソン(ワイドレシーバー)、ダルヴィン・クック(ランニングバック)、アーヴ・スミス・ジュニア(タイトエンド)らの若い攻撃陣は高い潜在能力を秘めているからだ。何人かの衰えが目立つ守備陣には大掛かりなテコ入れが必要だが、その補強が上手く運べば、良い結果をもたらすだろう。

15. アリゾナ・カーディナルス

カイラー・マーレイ(クォーターバック)とクリフ・キングスベリー(ヘッドコーチ)の苦しい戦いは続くだろう。NFL最古のチームであるカーディナルスはフリーエージェントに関わる多くの問題を解決しなくてはならない。ワイルドカードを勝ち抜くことができるチームを建設するためには、多くの決断が必要とされている。

16. クリーブランド・ブラウンズ

プレーオフで残念な結果に終わったブラウンズだが、今シーズンは混戦の真ん中あたりから始めることになるだろう。チーム全体で故障者が相次いだこととベイカー・メイフィールド(クォーターバック)は機能不全に陥ったことが不振の原因だ。ケビン・ステファンスキー(ヘッドコーチ)はメイフィールドに賭けて、成功するか、心中するかの瀬戸際である。

17. シアトル・シーホークス

シーホークスもまたラッセル・ウィルソン(クォーターバック)に今後も頼り続けるかどうかの際どい選択を迫られている。右手中指を負傷したウィルソンが健康な形でプレイできるとして、その周りを固めるロースターもテコ入れが必要になる。

18. ピッツバーグ・スティーラーズ

スティーラーズはパスに対する守備力は安定している。マイク・トムリン(ヘッドコーチ)とキース・バトラー(守備コーディネーター)はランに対する守備力の補強が優先課題として取り組むだろう。さらに上を目指すためには、攻撃ラインの補強とベン・ロスリスバーガーに代わるクォーターバックを見つけることが急務でもある。

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19. タンパベイ・バッカニアーズ

誰もが認めるNFL史上最高選手のトム・ブレイディが引退した。その穴を埋めるための明白な計画が存在しないとすれば、チームが失ったものはあまりにも大きい。バッカニアーズはそれ以外にもフリーエージェントになる選手を多く抱えており、2021年の先発ロースターから大量の選手を失う可能性もある。

20. ワシントン・コマンダース

新チーム名での出発となるコマンダースはチェイス・ヤング(ディフェンシブエンド)が戻ってくる守備陣の立て直しが遅れている。さらに攻撃陣にも課題は多い。とりわけ、若く才能あるクォーターバックが求められている。それがドラフトの1巡目指名選手になるかもしれない。

21. シカゴ・ベアーズ

ベアーズは新ヘッドコーチに就任したマット・エベルフラスの手腕に期待している。課題は守備陣の立て直しに加えて、2年目を迎えるジャスティン・フィールズ(クォーターバック)をいかに活用して、パッカーズのような攻撃陣を作り上げることだ。

22. ニューオーリンズ・セインツ

セインツは守備コーディネーターだったデニス・アレンをヘッドコーチに昇格させた。ドリュー・ブリーズ(元クォーターバック)が引退した後、ショーン・ペイトン(前ヘッドコーチ)もチームを去り、課題は山積みになっている。極めて厳しい状況であるが、チームがこのまま転落していくことは避けたいところだ。

23. デンバー・ブロンコス

ブロンコスは新ヘッドコーチに就任したナサニエル・ハケットの下で、まずはクォーターバックをどうするかを示さなくてはいけない。アーロン・ロジャース(パッカーズ)、マリク・ウィリス(リバティ大学)、ケニー・ピケット(ピッツバーグ大学)らの名前が取り沙汰されている。ビック・ファンジオ(元ヘッドコーチ)時代の不振から立ち直るには、チーム全体のテコ入れが求められている。特に守備陣はこれから多くの選手が失われると見られている。

24. マイアミ・ドルフィンズ

ドルフィンズは新ヘッドコーチにマイク・マクダニエルを迎え、トゥア・タゴヴァイロア(クォーターバック)をマホームズ、アレン、バロウ、ハーバートのようなスターに育て上げることを期待している。まずはシーズンを故障なしで乗り切ること、そしてプロ入りしてからの3年間で毎年入れ替わってきた攻撃陣との連携が求められる。ブライアン・フローレス(前ヘッドコーチ)がいなくなり、さらにベテラン選手が何人かいなくなる守備陣にも懸念がある。

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25. ラスベガス・レイダース

レイダースはペイトリオッツの攻撃コーディネーターだったジョシュ・マクダニエルズを新ヘッドコーチに迎えた。ジョン・グルーデン(前ヘッドコーチ)がシーズン途中で退任した後、チームをプレーオフまで導き、選手たちからの信頼も大きかったリッチ・ビサッチア(元暫定ヘッドコーチ)に長期間のチャンスを与えなかったことを後悔するだろう。現在もっとも大きな疑問はマクダニエルズがデレック・カー(クォーターバック)を長くチームの中心に据える気持ちがあるかどうかである。

26. アトランタ・ファルコンズ

ファルコンズはアーサー・スミス(ヘッドコーチ)の下で、攻撃陣を強化した。しかし、チームの伝統とも言えるラン攻撃の精度はまだ十分ではなく、カルバン・リドリー(クォーターバック)がシーズン途中からメンタルヘルスを理由に欠場し、その穴を埋めたマット・ライアン(クォーターバック)も有効に機能しなかった。守備陣にも戦力不足が懸念されている。

27. ニューヨーク・ジャイアンツ

ジャイアンツはまずブライアン・デイボール(新ヘッドコーチ)にとって、ダニエル・ジョーンズ(クォーターバック)が戦略に合うかどうかを見極める必要がある。攻撃ラインも底上げが必要であるし、ワイドレシーバーをどのように固定するかを決めなくてはならない。守備陣は2022-23年シーズンも信頼できる。

28. ニューヨーク・ジェッツ

2年目を迎えるロバート・サラー(ヘッドコーチ)は正念場だ。ジェッツはドラフトで指名順が高く、守備陣を強化することができる。マイク・ラフルール(攻撃コーディネーター)とコンビを組んで2年目となるザック・ウィルソン(クォーターバック)がシーズンを通して万全な状態でプレイできるかどうかが大きなカギになる。

29. カロライナ・パンサーズ

パンサーズの攻撃陣にはいくつかの良い兆候が見られる。クリスチャン・マカフリー(ランニングバック)が故障から復帰すれば、その望みはさらに大きくなる。しかし、サム・ダーノルド(クォーターバック)に頼っている限り、チームが大きく躍進することはないだろう。マット・ルール(ヘッドコーチ)が長くその座に留まるかどうかは未知数である。

30. ジャクソンビル・ジャガーズ

ジャガーズはアーバン・マイヤー(前ヘッドコーチ)が行った1年間の実験による失敗を早急に拭い去ろうとしている。しかし、これから長期にわたってチームの顔になることを期待されているトレバー・ローレンス(クォーターバック)はまだその本領を発揮できていない。ダグ・ペダーソン(新ヘッドコーチ)にまず求められることは、まずはローレンスの力を引き出すことであり、そしてチームがまた機能するように立て直すことだ。

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31. デトロイト・ライオンズ

ライオンズはブラッド・ホームズ(GM)が大掛かりなチーム再建を進める中、ダン・キャンベル(ヘッドコーチ)にもっと時間を与えることにした。信頼できる守備選手とチームの顔になるクォーターバックをドラフトの1巡目と2巡目で指名することが重要になる。

32. ヒューストン・テキサンズ

テキサンズは守備コーディネーターだったラビー・スミスをヘッドコーチへ昇格させた。しかし、前任者のデビッド・カリーが抱えていた問題は未解決のままで、あまり多くを期待できない。それほどまでに、このチームは機能不全に陥っている。

(翻訳:角谷剛)

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Vinnie Iyer


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Vinnie Iyer, has been with TSN since 1999, not long after graduating from Northwestern University’s Medill School of Journalism. He has produced NFL content for more than 20 years, turning his attention to full-time writing in 2007. A native of St. Louis, Mo. but now a long-time resident of Charlotte, N.C. Vinnie’s top two professional sports teams are Cardinals and Blues, but he also carries purple pride for all things Northwestern Wildcats. He covers every aspect of the NFL for TSN including player evaluations, gambling and fantasy football, where he is a key contributor. Vinnie represents TSN as host of the “Locked On Fantasy Football” podcast on the Locked On network. Over his many years at TSN, he’s also written about MLB, NBA, NASCAR, college football, tennis, horse racing, film and television. His can’t-miss program remains “Jeopardy!”, where he was once a three-day champion and he is still avid about crossword puzzles and trivia games. When not watching sports or his favorite game show, Vinnie is probably watching a DC, Marvel or Star Wars-related TV or movie.