先週末、NFLのトップシード4チームのうち3チームがカンファレンス・チャンピオンシップ・ラウンドに進出を決め、多くの人々がシーズン中待ち望んでいた強力チーム同士の対戦が実現した。
AFCではカンザスシティ・チーフスが本拠地アローヘッド・スタジアムでバッファロー・ビルズを迎え撃つ。NFCではグリーンベイ・パッカーズが本拠地ランボー・フィールドでタンパベイ・バッカニアーズと対戦する。
4チームともトップクラスのクォーターバック(以下QB)を擁している。もっとも、チーフスのパトリック・マホームズはディビジョナル・ラウンドで脳しんとうを起こし、試合に復帰できるかどうかは現時点では不明だ。ディフェンス陣にもスター選手がひしめいている。しかし、全国的な注目を集め、このポストシーズンを特別なものとして盛り上げるのは、やはり彼らQBのパッサーたちだろう。
ディビジョナル・ラウンドでは、チーフスはクリーブランド・ブラウンズを下し、ビルズはボルティモア・レイブンズを撃破。パッカーズはロサンゼルス・ラムズを破り、そしてバッカニアーズはニューオーリンズ・セインツに勝利した。
AFC及びNFCチャンピオンシップ・ゲームについて知っておくべきすべては以下の通りだ。
2020-21 NFLプレーオフ・トーナメント組み合わせ
AFC
1. カンザスシティ・チーフス 対 2. バッファロー・ビルズ
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1. カンザスシティ・チーフス 対 6. クリーブランド・ブラウンズ
2. バッファロー・ビルズ 対 5. ボルティモア・レイブンズ
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1. カンザスシティ・チーフス (不戦勝)
2. バッファロー・ビルズ 対 7. インディアナポリス・コルツ
3. ピッツバーグ・スティーラーズ 対 6. クリーブランド・ブラウンズ
4. テネシー・タイタンズ 対 5. ボルティモア・レイブンズ
NFC
1. グリーンベイ・パッカーズ 対 5. タンパベイ・バッカニアーズ
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1. グリーンベイ・パッカーズ 対 6. ロサンゼルス・ラムズ
2. ニューオーリンズ・セインツ 対 5. タンパベイ・バッカニアーズ
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1. グリーンベイ・パッカーズ (不戦勝)
2. ニューオーリンズ・セインツ 対 7. シカゴ・ベアーズ
3. シアトル・シーホークス 対 6. ロサンゼルス・ラムズ
4. ワシントン・フットボール・チーム vs. 5. タンパベイ・バッカニアーズ
NFL プレーオフ日程
チャンピオンシップ・ラウンド(日本時間1月25日 月曜)
- バッカニアーズ対パッカーズ 開始時刻:05:05
- ビルズ対チーフス 開始時刻:08:40
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AFC及びNFCチャンピオンシップ・ゲームの見どころ
AFC
No. 1 チーフス 対. No. 2 ビルズ
チーフスのパトリック・マホームズがディビジョナル・ラウンドのブラウンズ戦の後半で脳しんとうを起こしたが、チーフスは辛くも勝利を収め、3年連続となるAFCチャンピオンシップ進出を果たした。ヘッドコーチのアンディ・リードを始め、チーフスのスタッフ陣はマホームズがビルズ戦までに復帰できるかどうかを不安な気持ちでこの1週間を過ごしている。もしこのスターQBが出場できないことになれば、チャド・ヘニーがアローヘッド・スタジアムで代役を務めることになる。控えQBのヘニーはブラウンズ戦後半でチーフスに勝利をもたらしたヒーローだった。だが、大一番となる試合全体を通して考えるならば、ヘニーの能力がマホームズより見劣りするのは明白だ。
ビルズはディビジョナル・ラウンドで強力なレイブンズの攻撃陣を3点で抑え、その高いディフェンス力を見せつけた。マホームズが持つ抜群のパス能力をもってしても、ビルズが相手ではそう簡単にはボールを運ぶわけにはいかないだろう。
ジョシュ・アレンにとっては、これが初のポストシーズンでの遠征である。そのことがヘッドコーチのショーン・マクダーモットら首脳陣にとっての気がかりになっている。アレンはディビジョナル・ラウンドではターンオーバーは許さなかったが、長いパスが不正確であったし、それはAFCのタイトルがかかる試合では致命傷になりかねない。優秀なレシーバーたちは揃っており、あとはアレンが正確なパスを投げられるかどうかにかかっている。
もしベストメンバーで臨めるなら、チーフスが圧倒的に有利だと言える。だがアレンの調子が上がり、ディフェンス陣もそれに続くことができれば、この試合はかなり面白い展開になるだろう。
NFC
No. 1 パッカーズ 対 No. 5 バッカニアーズ
ファンはアーロン・ロジャースとトム・ブレイディのプレーオフという舞台での対戦を見ることを長い間待ち望んでいた。それは2011年に実現する可能性があった。パッカーズはこの年に最後の優勝を果たしたが、ブレイディのニューイングランド・ペイトリオッツはディビジョナル・ラウンドでマーク・サンチェスのニューヨーク・ジェッツに番狂わせの敗戦を喫してしまった。2015年には対戦の実現可能性はさらに高まったが、パッカーズがNFCチャンピオンシップ・ゲームでシアトル・シーホークスに敗れ、スーパーボウルでペイトリオッツと対戦することはできなかった。
ロジャースとブレイディはついにこの1戦でNFCのタイトルをかけて激突する。
10月にバッカニアーズがパッカーズを38-10で下したとき、ロジャースはすべての面で極めて不調だった。だが、ロジャースらしからぬ2つのインターセプトは暖かいフロリダの地で起きたことだ。パッカーズはその大敗の後は10勝2敗と調子を上げているし、今回の試合でバッカニアーズを迎え撃つのは雪が降るかもしれない本拠地ランボー・フィールドだ。
ブレイディはペイトリオッツ時代から冬の厳しい天候での試合に強い。アウェイでのプレーオフ戦で逆転劇を演じることにかけてはNFC史上のどのQBにも劣らない。ブレイディが精神的に動揺することはないだろう。だが身体的にはどうだろうか。ディビジョナル・ラウンドのセインツ戦で見せた何本かの不安定なスローイングは、ブレイディをもってしても、この将来の殿堂入りが確実な選手同士の対戦では間違いを冒す方になる可能性がまったくないとは言えないことを示唆している。だが、大舞台になればなるほど強いブレイディが最高のパフォーマンスを見せることの方が我々には予想しやすい。そうなれば、ロジャースとの対戦は歴史的な1戦になるだろうし、この2人の伝説を語るうえで重要な1エピソードになるだろう。
(翻訳:角谷剛)