NFL パワーランキング:第14週目を前にチーフス、スティーラーズ、ドルフィンズが上昇。49ers、レイブンズ、バイキングスが失速

Wade Davis

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2021年NFLシーズンは今週になってさらに多くの驚きと波乱が巻き起こり、スポーティングニュースが毎週発表しているパワーランキングにも変動があった。幸運なチームもいくつかあったが、大きな不運に見舞われたチームもあった。

第14週目に入るということは、つまりこの拡張されたシーズンもあと5週しか残っていないことを意味する。各チームはシーズン終盤を力強く終えてプレーオフ進出を目指すか、あるいは来年に繋がる何かを生み出すか、そのどちらかを選ばないといけない。両カンファレンスの第1シードから第7シードにまで与えられるプレーオフの切符に望みを残しているチームは多数あるが、それよりも2022年ドラフトの上位指名権を考慮し始めるチームももっと出てくるだろう。

節目となる第14週目を迎える全32チームの、スポーティングニュースが見る状況は以下の通りである。

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NFL パワーランキング

1. アリゾナ・カーディナルス、10勝2敗 (前回の順位:1)

カーディナルスは第13週目にカイラー・マレー(クォーターバック)が復帰し、攻撃陣はシカゴ・ベアーズの強力な守備陣をまたもや撃破してみせた。カーディナルスの守備陣も最高のプレッシャーとボールを奪う集団に戻ってきた。マレーを擁するカーディナルスは間違いなくスーパーボウル制覇の最有力候補だ。

2. グリーンベイ・パッカーズ、9勝3敗 (2)

パッカーズはバイ・ウィークで試合がなかった。その間、NFCカンファレンス内でもNFL全体でも、上位チームが軒並み勝利を収めた。パッカーズは第8週目にカーディナルスから貴重な勝利を挙げており、その勝利がこのチームをトップシードに押し上げている。アーロン・ロジャース(クォーターバック)の調子は上々だ。守備陣とラン攻撃が今後さらに大きな要素になるだろう。

3. タンパベイ・バッカニアーズ、9勝3敗 (3)

バッカニアーズの攻撃陣はワイルドカード枠からスーパーボウル制覇へと突き進んだ昨シーズン終盤の絶好調さが戻ってきた。トム・ブレイディ(クォーターバック)はパスを多用している。大きなミスもあるが、レナード・フォーネット(ランニングバック)の大活躍もあって、チーム全体の勢いは止まらない。

4. ニューイングランド・ペイトリオッツ、9勝4敗 (4)

ペイトリオッツは激戦のAFCカンファレンスで最高の位置についた。その要因の多くを強固な守備陣の体を張ったプレイとリーグ最高のコーチであるビル・ベリチック(ヘッドコーチ)の指導力が支えた。月曜夜の試合でバッファロー・ビルズを破り、さらに勢いを増した。

5. カンザスシティ・チーフス、8勝4敗 (7)

チーフスは日曜夜の試合でデンバー・ブロンコスを破り、AFC西地区で一時期は頭をもたげたラスベガス・レイダースとブロンコスを引き離した。同地区2位のロサンゼルス・チャージャーズとの差も守った。アンディ・リード(ヘッドコーチ)はこれでバイ・ウィークから20勝3敗である。パトリック・マホームズ(クォーターバック)の調子は今一つではあるが、それでもチーフスはAFCカンファレンスを制したときの状態に戻ってきた。

6. テネシー・タイタンズ、8勝4敗 (6)

タイタンズはバイ・ウィークで試合がなく、デリック・ヘンリー(ランニングバック)を欠くことになった攻撃陣の立て直しをする時間を与えられた。マイク・ブラベル(ヘッドコーチ)はライアン・タネヒル(クォーターバック)
を中心に据え、チームを上手くまとめあげている。AFC南地区でインディアナポリス・コルツとの差を守っている。

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7. ボルティモア・レイブンズ、8勝4敗 (5)

レイブンズは敵地ピッツバーグでライバルのスティーラーズに手痛い敗北を喫した。攻撃陣も守備陣も最適の状態にはなっていない。懸念すべき課題はいくつかあるが、ジョン・ハーボー(ヘッドコーチ)はラマー・ジャクソン(クォーターバック)の力を上手く引き出しており、激戦のAFC北地区で依然として首位を守っている。

8. バッファロー・ビルズ、7勝5敗 (8)

ビルズは第12週目に敵地のニューオーリンズでセインツを大差で下した。ペイトリオッツを本拠地で迎え撃つ前に必要な勝利だったが、ここでは手痛い敗北を喫した。AFCプレーオフ進出を狙う有力候補ではあるが、できればワイルドカード枠より地区優勝でそれを成し遂げたいだろう。

9. ダラス・カウボーイズ、8勝4敗 (9)

カウボーイズはビルズに続いて、ニューオーリンズ・セインツを撃破した。攻撃陣はまだバランスと爆発力を取り戻そうとしているが、守備陣はシーズン終盤に向けてかなり改善された。ビッグプレイで試合の流れを引き寄せることができる。

10. ロサンゼルス・ラムズ、8勝4敗 (11)

ラムズは本拠地でジャクソンビル・ジャガーズという対戦相手に恵まれた。マシュー・スタッフォード(クォーターバック)はいつもよりリラックスした状態でプレイでき、チームはラン攻撃を多用した。そのおかげで守備陣も楽になった。今後は特にNFCカンファレンス内での強敵との対戦が控えている。

11. ロサンゼルス・チャージャーズ、7勝5敗 (13)

チャージャーズはプレーオフ進出を狙う位置にしぶとく留まり続けている。その原動力はジャスティン・ハーバート(クォーターバック)がキーナン・アレン(ワイドレシーバー)、マイク・ウィリアムズ(ワイドレシーバー)、そしてオースティン・エケラー(ランニングバック)らと作り上げている攻撃陣である。守備陣もシンシナティ・ベンガルズの2年目ジョー・バロウ(クォーターバック)を追い詰め、勝利を決定づけるビッグプレイを演出した。

12. シンシナティ・ベンガルズ、7勝4敗 (12)

ベンガルズはチャージャーズ戦で良いところがなく敗れた。AFC北地区でトップのレイブンズを追い抜くチャンスをものにできなかった。ジョー・バロウ(クォーターバック)の調子は悪くなく、依然としてプレーオフ進出を狙えるチームであるが、シーズン終盤の予定はかなり厳しい。

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13. ピッツバーグ・スティーラーズ、6勝5敗1分け (17)

スティーラーズはレイブンズを破り、今シーズンとAFC北地区優勝争いへの望みを繋ぎとめた。ベンガルズが敗れたことも大きい。もはや限界かと思われたベン・ロスリスバーガー(クォーターバック)の調子は戻ってきており、守備陣も良くなってきている。昨年の同地区優勝に続くプレーオフ進出も視野に入ってきた。

14. インディアナポリス・コルツ、7勝6敗 (18)

コルツは自らのゲームプランを忠実に守った。こぼれたボールを懸命に追い、相手のランを食止めた。カーソン・ウェンツ(クォーターバック)は大事な場面で大きなパスを成功させ、さらに試合を決定づけるいくつかのターンオーバーがあった。ジョナサン・テイラー(ランニングバック)はマレーやブレイディに次ぐ最優秀選手賞(MVP)の候補に挙げられるべきた。

15. ワシントン・フットボール・チーム、6勝6敗 (20)

ワシントンはテイラー・ハイニッケ(クォーターバック)に引っ張られ、直近4連勝でプレーオフ争いに戻ってきた。勝率5割を上回ってワイルドカード枠を狙うか、あるいはNFC東地区内のカウボーイズとフィラデルフィア・イーグルス戦を残しており、同地区優勝の可能性も残っている。ラスベガス・レイダース戦はそれほどまでに見事な総力戦での勝利だった。

16. サンフランシスコ・49ers、6勝6敗 (12)

49ersは今シーズン負け込んで後がないシアトル・シーホークスの必死さに屈した。49ersの攻撃力も守備力も以前として良い状態を保っているが、日曜日の試合ではフェイク・パントという奇策からのタッチダウンによって敗れた。次週は重要なカンファレンス交流試合であり、またスーパーボウルの再戦でもあるベンガルズ戦が控えている。

17. ラスベガス・レイダース、6勝6敗 (14)

レイダースはカウボーイズ戦で大きな勝利を挙げたが、ワシントン戦では試合終了間際での失敗がたたった。デレック・カー(クォーターバック)は故障者が相次ぐ攻撃陣をカバーするまでには至っていない。守備陣にも試合を守り切るほどの力はない。

18. クリーブランド・ブラウンズ、6勝6敗 (16)

ブラウンズはバイ・ウィークで試合がなかった。レイブンズ、ベンガルズ、そしてレイダースが敗れたことは好材料であっただろう。これによって、プレーオフ進出の望みが出てきたからだ。ベイカー・メイフィールド(クォーターバック)は12月に調子が良くなることが多い。故障者がどれだけ回復してくるかがカギとなるだろう。

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19. デンバー・ブロンコス、6勝6敗 (15)

ブロンコスは日曜夜の試合でマホームズ擁するチーフスに敗れた。敗因は単純に攻撃力不足によるものだ。テディ・ブリッジウォーター(クォーターバック)は健闘したが、それだけだった。このチームは週を追うごとに、攻撃陣と守備陣の連携がちぐはぐになってきている。

20. フィラデルフィア・イーグルス、6勝7敗 (20)

イーグルスはガードナー・ミンシュー(クォーターバック)を起用して、ニューヨーク・ジェッツ戦で大きな勝利を収めた。先週ニューヨーク・ジャイアンツに惨敗した同じスタジアムで、である。この勝利によって、プレーオフ進出への望みが戻ってきたことは大きい。攻撃陣に爆発力とバランスが備わっていることも見せつけた。

21. マイアミ・ドルフィンズ、6勝7敗 (26)

ドルフィンズは直近5連勝だ。シーズン中盤に対戦相手に恵まれたこともあるが、そのなかにはレイブンズ戦も含まれている。ブライアン・フローレス(ヘッドコーチ)の指揮の下で守備陣は好調であるし、トゥア・タゴヴァイロア(クォーターバック)の調子も上昇を続けている。

22. ミネソタ・バイキングス、5勝7敗 (19)

バイキングスは落としてはいけない試合でデトロイト・ライオンズに僅差での初勝利を献上してしまった。カーク・カズンズ(クォーターバック)とマイク・ジマー(ヘッドコーチ)にとっては、考えられないほど接戦での勝ち負けが多いシーズンではあるが、2022年はどうなるだろうか?

23. カロライナ・パンサーズ、5勝7敗 (24)

パンサーズはバイ・ウィークで試合がなかった。ドルフィンズ戦に敗れた後、チームは危機に瀕している。キャム・ニュートン(クォーターバック)については疑問も多い。クリスチャン・マカフリー(ランニングバック)とジョー・ブレディ(攻撃コーディネーター)を欠き、守備陣も調子を落としている。チームの状況は悪くなる一方である。

24. アトランタ・ファルコンズ、5勝7敗 (21)

ファルコンズはブレイディ擁するバッカニアーズを相手に健闘した。だが、アーサー・スミス(ヘッドコーチ)のパス防御とコルダレル・パターソン(ランニングバック)を起用しない一貫性に欠けたラン攻撃はチームを不完全な状態に留めてしまっている。

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25. ニューオーリンズ・セインツ、5勝7敗 (22)

セインツはテイサム・ヒル(クォーターバック)の爆発力を引き出そうとした。ヒルはカウボーイズ戦でランは効果的だったが、肝心のパスは精度が振るわず、ショーン・ペイトン(ヘッドコーチ)を悩ませているだろう。アルヴィン・カマラ(ランニングバック)の復帰こそがチームが必要としている起爆剤である。

26. シアトル・シーホークス、4勝8敗 (27)

シーホークスは攻撃陣、守備陣、そしてスペシャルチームの総力をあげて、49ersを下した。ピート・キャロル(へヘッドコーチ)とラッセル・ウィルソン(クォーターバック)はチームを現状で最高の状態に戻した。

27. ニューヨーク・ジャイアンツ、4勝8敗 (25)

ジャイアンツはドルフィンズ戦でダニエル・ジョーンズ(クォーターバック)を欠き、攻撃陣にはあまり良いところがなかった。例外はいくつかのラン攻撃だった。守備陣は悪くない。

28. シカゴ・ベアーズ、4勝8敗 (28)

ベアーズはカーディナルスには歯が立たなかった。、守備陣が足を引っ張り、アンディ・ダルトン(クォーターバック)のパス攻撃は効力を発揮できなかった。デビッド・モンゴメリー(ランニングバック)のラン攻撃のみが頼れる武器になってしまっている。

29. ニューヨーク・ジェッツ、3勝9敗 (29)

ジェッツはイーグルス戦でやや調子を上げてきた。ザック・ウィルソン(クォーターバック)も良くなった。だが周りの攻撃陣からのサポートが弱く、覇気がない守備陣はロバート・サラー(ヘッドコーチ)を悩ませている。

30. ヒューストン・テキサンズ、2勝10敗 (30)

何が起きたのだろう? テキサンズはデビッド・カリー(ヘッドコーチ)の指揮の下で全力を尽くしているが、もはや良いところがまったく見当たらないところまで来てしまった。

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31. ジャクソンビル・ジャガーズ、2勝10敗 (31)

ジャガーズはラムズ戦で予想通りでしかなかった。最初から最後まで、まったく良いところがなかった。アーバン・マイヤー(ヘッドコーチ)はもはや大学アメフトに戻りたがっているのではないだろうか。

32. デトロイト・ライオンズ、1勝10敗1分け (32)

ライオンズはこの1か月間、スティーラーズ戦での引き分けを含むロースコアの接戦で勝利を逃し続けてきた。ついにバイキングス戦で今シーズン初勝利を挙げた。ダン・キャンベル(ヘッドコーチ)がモチベーションを絶やさずにいたことは称賛に値する。

(翻訳:角谷剛)

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