NFL パワーランキング:第12週目を前にカーディナルスが首位返り咲き、チーフスとペイトリオッツが上昇、カウボーイズとビルズは順位を落とす


Vinnie Iyer

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第11週目のNFLは予想もできなかった結果が多く起きた。シーズンこれまでは全体的に試合経過は予想できるものであったが、ここに来てスリリングな展開になってきた。

波乱に満ちた混戦の2021年シーズンは週末の楽しみを別の次元にまで押し上げている。毎週のように番狂わせが起き、リーグの勢力図が様変わりした。強いチームと弱いチームに分けることも難しくなっている。

ランキング1位に返り咲いたチームを始めとして、スポーティングニュースのパワーランキングは今週も多くの浮き沈みと変動があった。

第12週目を迎える全32チームの、スポーティングニュースが見る状況は以下の通りである。

NFL パワーランキング

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1. アリゾナ・カーディナルス、9勝2敗 (前回の順位:3)

カーディナルスはまたしてもカイラー・マレー(クォーターバック)を欠きながら勝利した。シアトル・シーホークス戦でのコルト・マッコイ(クォーターバック)はスーパーサブと呼ぶに相応しい活躍を見せ、ラン攻撃と守備陣には大いに助けられた。クリフ・キングスベリー(ヘッドコーチ)が率いるこのチームはシーズン前の予想よりはるかに完成度が高いことを知らしめている。第12週目はバイ・ウィークで試合がなく、その後にはマーレイも復帰すると見られることは大きな好材料だ。

2. グリーンベイ・パッカーズ、8勝3敗 (2)

パッカーズはミネソタ・バイキングスに惜敗した。アーロン・ロジャース(クォーターバック)は故障しているつま先の痛みに耐えながら、懸命なプレイを見せた。アーロン・ジョーンズ(ランニングバック)の代役を務めたA.J. ディロンを始めとするラン攻撃は効果的であったが、守備陣はまだ安定して相手攻撃陣を抑えるまでには至っていない。

3. テネシー・タイタンズ、8勝3敗 (1)

何が起きたのだろうか? タイタンズは雨と風の悪天候下で行われたヒューストン・テキサンズ戦で、頼みとしたデリック・ヘンリー(ランニングバック)らのラン攻撃が功を奏さなかった。パス攻撃も多くのトラブルを起こし、手痛い敗北を喫した。ライアン・タネヒル(クォーターバック)はあのようなプレイに終始するべきではない。なぜなら、このチームの守備陣にはそれをカバーするほどの力はないからだ。

4. ロサンゼルス・ラムズ、7勝3敗 (6)

ラムズはバイ・ウィークで試合がなかった。タイタンズとサンフランシスコ・49ersに連敗した後で、チームを再構成するチャンスに恵まれた。ショーン・マクベイ(ヘッドコーチ)が率いるこのチームは昨シーズン同様にワイルドカード争いレベルのチームに留まっているようだ。ここ最近の結果を見ると、マシュー・スタッフォード(クォーターバック)にはチームをそれより高く引き上げるほどの力はないようである。

5. タンパベイ・バッカニアーズ、7勝3敗 (7)

バッカニアーズは月曜夜(日本時間11月23日)の試合に勝利し、ランキング浮上のチャンスをものにした。その前日にパッカーズとダラス・カウボーイズが敗れていたからだ。ニューオーリンズ・セインツとワシントン・フットボール・チームに連敗した後で、トム・ブレイディ(クォーターバック)を中心に、本拠地で見事な挽回を見せた。

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6. ボルティモア・レイブンズ、7勝3敗 (8)

レイブンズはシカゴ・ベアーズ戦で派手な得点シーンはまったくなかったものの、しぶとく勝利を収めた。試合終盤で交代起用されたタイラー・ハントリー(クォーターバック)はラマー・ジャクソン(クォーターバック)の代役を十分にこなせる実力があることを証明した。故障者が相次いでいるなか、チームをまとめあげているジョン・ハーボー(ヘッドコーチ)の手腕は称賛に値する。

7. カンザスシティ・チーフス、7勝4敗 (9)

チーフスはカウボーイズを破り、4連勝を飾った。11月に入って、チームの状態は非常に良くなった。チームは勢いづいているが、パトリック・マホームズ(クォーターバック)とアンディ・リード(ヘッドコーチ)にとっては残念なことに、第12週目はバイ・ウィークで試合がなく、一旦停止を余儀なくされる。

8. ダラス・カウボーイズ、7勝3敗 (4)

カウボーイズはチーフスに手痛い敗北を喫した。シーディー・ラム(ワイドレシーバー)が脳しんとうで戦列を離れた後、アマリ・クーパー(ワイドレシーバー)も欠いてしまった。そのため、ダック・プレスコット(クォーターバック)は普段とは異なる攻撃戦略を取るしかなかった。守備陣のパフォーマンスは良かったが、チームとしては失敗も多かった。次戦は木曜夜(同11月26日)のラスベガス・レイダース戦であるため、中3日の厳しい日程になる。

9. ニューイングランド・ペイトリオッツ、7勝4敗 (10)

ペイトリオッツは安定した作戦指導、基本の守備、そして力強いラッシングを上手く使い、混迷するAFCカンファレンスのなかで順位を上げてきている。ビル・ベリチック(ヘッドコーチ)の指揮の下で、以前のような勝利の方程式が確立されているようだ。その中心にいるのが、ブレイディに代わったマック・ジョーンズ(クォーターバック)である。

10. ロサンゼルス・チャージャーズ、6勝4敗 (11)

チャージャーズは日曜夜(同11月22日)のピッツバーグ・スティーラーズ戦で試合後半に激しく追い上げられたが、ジャスティン・ハーバート(クォーターバック)とオースティン・エケラー(ランニングバック)の活躍で劇的な勝利を収めた。ブランドン・ステイリー(ヘッドコーチ)は試合終盤を守り切ったことで、チーフスを追ってプレーオフ戦線に近づいてきた。

11. バッファロー・ビルズ、6勝4敗 (5)

ビルズはインディアナポリス・コルツ相手にまったく良いところがなかった。守備陣は急に元気がなくなったし、ジョシュ・アレン(クォーターバック)が率いる攻撃陣は根本から大崩れとなった。「ほぼAFCの優勝候補」から「ほぼAFCの真ん中あたり」へと急激に落下し、シーズン後半の岐路に立たされている。

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12. シンシナティ・ベンガルズ、6勝4敗 (15)

ベンガルズはバイ・ウィーク明けを力強い勝利で飾った。守備陣とラン攻撃が特に良かった。ジョー・バロウ(クォーターバック)は上手くチームをまとめ上げており、シーズン後半に向けてチーム状態は上々である。今ならプレーオフ進出のチャンスはある。

13. クリーブランド・ブラウンズ、6勝5敗 (16)

ブラウンズはまだ本調子ではない。ベイカー・メイフィールド(クォーターバック)のラン攻撃が使えず、攻撃陣はまだ厳しい状況だ。メイフィールドの故障による影響は長引いているが、それでも粘り強いリーダーとして、チームをプレーオフ戦線に留めている。

14. ミネソタ・バイキングス、5勝5敗 (17)

バイキングスは本来ならNFCカンファレンス内でもっと高い順位にいてもおかしくないチームだ。シーズン前半ではいくつかの接戦を制した。最近ではカロライナ・パンサーズ、チャージャーズ、そしてパッカーズに勝ったことで、そのことさえ忘れられてしまった。シーズン後半の2か月、毎試合の4クォーターを通して安定していられるかが、このチームがプレーオフ進出を果たすためのカギとなるだろう。

15. ピッツバーグ・スティーラーズ、5勝4敗1分け (13)

スティーラーズは敵地ロサンゼルスのチャージャーズ戦では守備陣に主力を欠き、パスを多用した攻撃陣はその穴を埋めることはできなかった。プレーオフ戦線に戻るには、昨年制したAFC北地区内で残りの試合をもう1つも落とすことはできない。

16. インディアナポリス・コルツ、6勝5敗 (19)

コルツはジョナサン・テイラー(ランニングバック)とラン攻撃を上手く使い、カーソン・ウェンツ(クォーターバック)と守備陣の負担を大いに軽くしている。フランク・ライク(ヘッドコーチ)が率いるこのチームはシーズン後半に調子を上げてきており、AFCワイルドカード争いに加わってきた。AFC南地区でタイタンズを脅かすことになるかもしれない。

17. ラスベガス・レイダース、5勝5敗 (12)

レイダースは元ヘッドコーチのジョン・グルーデンが解雇された後、懸命にチームの立て直しを図っているが、その逆境と他の問題はあまりにも深刻だ。特にデレック・カー(クォーターバック)の調子は悪く、ラン攻撃陣も大きな力を発揮できてはいない。

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18. サンフランシスコ・49ers、5勝5敗 (23)

49ersはカイル・シャナハン(ヘッドコーチ)が指導力を発揮し始めた。攻撃陣は故障者が少なくなってきたし、ジミー・ガロポロ(クォーターバック)の調子も上がってきた。ニック・ボサ(ディフェンシブエンド)に率いられた守備陣も機能し始めた。プレーオフ戦線に復帰したとまでは言えないが、その望みは見えてきた。

19. フィラデルフィア・イーグルス、5勝6敗 (22)

イーグルスはジェイレン・ハーツ(クォーターバック)と攻撃陣の調子が上がってきた。ニック・シリアニ(ヘッドコーチ)の忍耐が実を結んできたようだ。守備陣はシリアニの意図に応え、ランを多用している。ワイルドカード争いでは、このチームから目を離すことができない。

20. ニューオーリンズ・セインツ、5勝5敗 (14)

セインツの転落が止まらない。ショーン・ペイトン(ヘッドコーチ)は出来過ぎだったようだ。ジェイミス・ウィンストン(クォーターバック)の離脱による影響は思ったより大きかったようであるし、アルヴィン・カマラ(ランニングバック)とテイサム・ヒル(クォーターバック)の連携も思わしくない。ランに対する守備も課題の1つだ。

21. デンバー・ブロンコス、5勝5敗 (20)

ブロンコスは第11週目がバイ・ウィークで試合がなかった。AFCプレーオフ戦線に戻るためには、安定感に欠けるクォーターバックとバラバラの攻撃陣を立て直していなければならない。そうでなければ、ビック・ファンジオ(ヘッドコーチ)にとって、これが最後の2か月になってしまうだろう。

22. カロライナ・パンサーズ、5勝6敗 (18)

パンサーズはキャム・ニュートン(クォーターバック)がさらに爆発力を見せたが、それでも攻撃陣の中心は依然としてクリスチャン・マカフリー(ランニングバック)である。攻撃力については好材料があるが、残念なことに守備陣はマット・ルール(ヘッドコーチ)を失望させ続けている。

23. ワシントン・フットボール・チーム、4勝6敗 (25)

ワシントンはスコット・ターナー(攻撃コーディネーター)のシステム下でテイラー・ハイニッケ(クォーターバック)を用いるやり方を考え直すべき時期かもしれない。特にカーティス・サミュエル(ワイドレシーバー)とローガン・トーマス(タイトエンド)を活かしきれていない。ライアン・フィッツパトリック(クォーターバック)が復帰するかどうかにかかわらず、ハイニッケは先発クォーターバックとしてシーズンを終えるだろう。

24. アトランタ・ファルコンズ、4勝6敗 (21)

ファルコンズは第11週目に1点も挙げることができなかった。攻撃陣に主力を欠き、アーサー・スミス(ヘッドコーチ)とマット・ライアン(クォーターバック)が抱いていたかもしれない望みも消えてしまった。守備陣も大掛かりな立て直しが必要だ。

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25. シアトル・シーホークス、3勝7敗 (24)

シーホークスはラッセル・ウィルソン(クォーターバック)とピート・キャロル(ヘッドコーチ)が意図する形からますます離れ、このままでは勝利は遠のくばかりだ。攻撃陣と守備陣の足並みが揃っていない。シーズン残りの7試合で6勝を挙げない限り、勝率5割以上を果たし続けたウィルソン時代が9年で終わってしまうことになる。

26. ニューヨーク・ジャイアンツ、3勝7敗 (27)

ジャイアンツは昨年2位だったNFC東地区で最下位から抜け出すことができない。第11週目では先にカウボーイズが敗れたものの、ワシントンとイーグルスはともに勝ったからだ。バッカニアーズでの敗戦は大きな痛手となった。

27. マイアミ・ドルフィンズ、4勝7敗 (28)

ドルフィンズはプレーオフ争いから脱落した。ブライアン・フローレス(ヘッドコーチ)の指揮の下、後はどれだけマシなシーズンな終わり方をできるかどうかにかかっている。守備陣が機能し始めたのは良い兆候だ。

28. シカゴ・ベアーズ、3勝7敗 (26)

ベアーズはジャスティン・フィールズ(クォーターバック)を欠き、アンディ・ダルトンを起用したが、やはりラマー・ジャクソンを欠いたレイブンズを破ることはできなかった。アレン・ロビンソン(ワイドレシーバー)、カリル・マック(ラインバッカ―)、エディ・ジャクソン(セイフティ)といった選手も欠いて、単純に戦力不足だった。マット・ナギー(ヘッドコーチ)と首脳陣は何も出来なかった。

29. ヒューストン・テキサンズ、2勝8敗 (31)

テキサンズはバイ・ウィーク明けの満を持した試合でタイタンズを破った。デビッド・カリー(ヘッドコーチ)が指揮を執ってから最高のパフォーマンスだった。タイロッド・テイラー(クォーターバック)は戦略に長けたリーダーである。テイラーが出場した時のテキサンズはけっして弱いチームではない。

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30. ジャクソンビル・ジャガーズ、2勝8敗 (29)

ジャガーズは本拠地ジャクソンビルにもかかわらずファンの多い49ersの卓越した作戦にはまり、完敗した。新人のトレバー・ローレンス(クォーターバック)と攻撃陣の立て直しが2年目に躍進できるかどうかのカギになる。

31. ニューヨーク・ジェッツ、2勝8敗 (30)

ジェッツの守備陣はドルフィンズ戦でロバート・サラー(ヘッドコーチ)の期待に応えることはできず、戦力不足を克服することはできなかった。攻撃陣にはジョー・フラッコ(クォーターバック)とイライジャ・ムーア(ワイドレシーバー)に見るべきところがあったが、新人仲間のマイケル・カーター(ランニングバック)を欠いたのは大きな痛手だった。

32. デトロイト・ライオンズ、0勝9敗1分け (32)

ライオンズはまたしてもAFC北地区の強敵を相手に敵地で健闘した。だか、今回は延長戦にもつれ込むことはなかった。感謝祭の週(第12週目)の試合は本拠地で行われるうえ、対戦相手はベアーズであるから、初勝利のチャンスはきっとあるはずだ。

(翻訳:角谷剛)

Vinnie Iyer


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Vinnie Iyer, has been with TSN since 1999, not long after graduating from Northwestern University’s Medill School of Journalism. He has produced NFL content for more than 20 years, turning his attention to full-time writing in 2007. A native of St. Louis, Mo. but now a long-time resident of Charlotte, N.C. Vinnie’s top two professional sports teams are Cardinals and Blues, but he also carries purple pride for all things Northwestern Wildcats. He covers every aspect of the NFL for TSN including player evaluations, gambling and fantasy football, where he is a key contributor. Vinnie represents TSN as host of the “Locked On Fantasy Football” podcast on the Locked On network. Over his many years at TSN, he’s also written about MLB, NBA, NASCAR, college football, tennis, horse racing, film and television. His can’t-miss program remains “Jeopardy!”, where he was once a three-day champion and he is still avid about crossword puzzles and trivia games. When not watching sports or his favorite game show, Vinnie is probably watching a DC, Marvel or Star Wars-related TV or movie.