今季NFLも10週目が終わり、いよいよプレーオフ進出への具体的な見通しが立ち始めている。両カンファレンス各地区の順位を確認し、可能性の高いチームと望み薄のチームを、ビニー・アイヤー(Vinnie Iyer)記者が洗い出していく。
2022年のNFLシーズンは中間点を過ぎた。AFCとNFCのプレーオフ全体図は最終第18週目が完了するまでは正式には決定しないが、もし現時点でシーズンが終わったと仮定してみるのも今の時期の楽しみのひとつだ。どのチームがプレーオフの切符を手に入れ、またシード順はどうなるのか。
最新の成績に基づくNFLプレーオフ候補チームとシード順は以下の通りだ。まだポストシーズンへの望みが消えていない後続のチームも含めている。
第10週目終了時点でのNFL順位
AFCプレーオフ展望
1. カンザスシティ・チーフス(7勝2敗)、AFC西地区1位。チーフスはバッファロー・ビルズに敗れたが、第9週目にはAFC南地区首位のテネシー・タイタンズから延長タイムで貴重な勝利を挙げた。その勢いのまま、第10週目ではジャクソンビル・ジャガーズを下した。同週にビルズが敗れ、ボルティモア・レイブンズは試合がなかったため、両チームとの差を広げることができた。
2.マイアミ・ドルフィンズ(7勝3敗)、AFC東地区1位。ドルフィンズはビルズを破ったものの、ニューヨーク・ジェッツに敗れてしまった。最初の勝利は大きな意味をもつことになった。第10週目でのクリーブランド・ブラウンズ戦での勝利とビルズがジェッツとミネソタ・バイキングスに連敗したことによって、誰もが予想しなかった地区1位に躍り出たのだ。直近4連勝で、ジェッツとビルズに0.5ゲーム差をつけている。
3.テネシー・タイタンズ(6勝3敗)、AFC南地区1位。タイタンズは5連勝の後、第9週目でチーフスに敗れた。第2週目にはビルズにも敗れている。第9週目直後にはレイブンズに0.5ゲーム差をつけられていたが、第10週目でデンバー・ブロンコスに勝利したことで、カンファレンス内戦績が5勝2敗となり、再びシード順第3位に返り咲いた。
4.ボルティモア・レイブンズ(6勝3敗)、AFC北地区1位。レイブンズは本拠地でシンシナティ・ベンガルズに勝利したことで地区1位の座を手に入れた。しかしベンガルズがすぐ後ろに迫っており、予断は許されない。その前にはビルズにも敗れている。第10週目は試合がなかったため、同週に勝利したタイタンズにシード順で抜かれてしまった。
5.ニューヨーク・ジェッツ(6勝3敗)、AFC東地区2位。ジェッツは第9週目にビルズから大番狂わせの勝利をあげたことで、ワイルドカード枠トップの座を手に入れた。ビルズが連敗したことがジェッツの順位を押し上げた。ロバート・サラー(ヘッドコーチ)が率いるこのチームは第10週目には試合がなく、大躍進のシーズンを力強く終えるための貴重な休息を取ることができた。
6.バッファロー・ビルズ(6勝3敗)、AFC東地区3位。ビルズは第10週目の前までは第1位だった。しかし、チーフス、ドルフィンズ、そしてタイタンズがことごとく勝利し、自らは本拠地でバイキングスに不覚をとったことで、順位を5つも落とし、ワイルドカード枠2番目の位置にまで下がってしまった。本拠地アドバンテージとプレーオフ第1ラウンド不戦勝を得られる位置に戻るためには努力が必要となる。
7.ニューイングランド・ペイトリオッツ(5勝4敗)、AFC東地区最下位。ペイトリオッツは第10週目に試合がなかった。カンファレンス内戦績では4勝2敗で並ぶロサンゼルス・チャージャーズが敗れ、タイブレークで優るペイトリオッツがこの位置についた。つまり、もしシーズンが第11週目の前に終了すると、AFC東地区の4チームすべてがプレーオフに進出することになる。
後を追うチーム
8.ロサンゼルス・チャージャーズ(5勝4敗)、AFC西地区2位
9. シンシナティ・ベンガルズ(5勝4敗)、AFC北地区2位
10.インディアナポリス・コルツ(4勝5敗1分け)、AFC南地区2位
11.クリーブランド・ブラウンズ(3勝6敗)、AFC北地区3位
12.デンバー・ブロンコス(3勝6敗)、AFC西地区3位
前年度AFCチャンピオンのベンガルズは依然として最も注目するべきチームだ。しかし、カンファレンス内戦績が2勝3敗のベンガルズに対して、4勝2敗のチャージャーズがタイブレークで上位に立っている。コルツは新ヘッドコーチにジェフ・サタデーを迎え、敵地のラスベガスでレイダースに快勝した。ブラウンズとブロンコスは第10週目にそれぞれドルフィンズとタイタンズに敗れた。
望みが消えたかもしれないチーム
13.ピッツバーグ・スティーラーズ(3勝6敗)、AFC北地区最下位
14.ジャクソンビル・ジャガーズ(3勝7敗)、AFC南地区3位
15.ラスベガス・レイダース(2勝7敗)、AFC西地区最下位
16.ヒューストン・テキサンズ(1勝7敗1分け)、AFC南地区最下位
レイダースとジャガーズはシーズン序盤には望みがあるように見えたが、すぐに後退してしまった。両チームは第9週目に直接対戦し、レイダースがジャガーズを下している。スティーラーズは第10週目にはニューオーリンズ・セインツ戦に勝利したが、どうやらマイク・トムリン(ヘッドコーチ)にとってキャリア初の負け越しシーズンを受け入れざるをえないだろう。テキサンズはやはりドラフトでトップの指名順を得ることになりそうだ。
NFCプレーオフ展望
1.フィラデルフィア・イーグルス(8勝1敗)、NFC東地区1位。イーグルスはシーズン全勝のプレッシャーがなくなった。月曜夜に本拠地で行われた同地区内ライバルのワシントン・コマンダース戦で不覚をとったためだ。NFC東地区ではニューヨーク・ジャイアンツが勝利して、1ゲーム差でイーグルスを追っている。敗れたダラス・カウボーイズは2ゲーム差だ。
2.ミネソタ・バイキングス(8勝1敗)、NFC北地区1位。バイキングスの唯一の敗戦は仕方がない。第2週目に敵地フィラデルフィアでイーグルスに喫したものだからだ。第1週目には敵地ミネソタでパッカーズを破り、現在は5ゲーム差をつけている。第9週目にコマンダース、第10週目にはビルズを破り、シーズンの残りは同地区内の弱い対戦相手が続く。少なくともシード順第2位以上の位置はほぼ確定したと言えるだろう。
3.シアトル・シーホークス(6勝4敗)、NFC西地区1位。シーホークスが勝率5割を越え、地区1位であることには驚くしかない。アリゾナ・カーディナルスに2連勝したことが大きいが、第10週目はタンパベイ・バッカニアーズに敗れてしまった。最も警戒するべきチームはサンフランシスコ・49ersだろう。第2週目に敵地で敗れているうえ、ゲーム差1で追われている。
4.タンパベイ・バッカニアーズ(5勝5敗)、NFC南地区1位。バッカニアーズはようやく調子を取り戻した。アトランタ・ファルコンズとニューオーリンズ・セインツに勝利していたこともあって、本来そうあるべき地区1位の座に返り咲いた。第9週目には本拠地でロサンゼルス・ラムズから劇的な勝利をあげ、第10週目はシーホークスを破った。シーズン後半に向けて、シード順第3位を虎視眈々と狙っている。
5.ニューヨーク・ジャイアンツ(7勝2敗)、NFC東地区2位。ジャイアンツの2敗はシーホークスとダラス・カウボーイズに喫したものだ。第10週目にテキサンズを破り、カウボーイズは延長タイムでグリーンベイ・パッカーズに敗れた。その結果、ブライアン・ダボール(ヘッドコーチ)率いるこのチームが予想外のワイルドカード枠トップの位置にある。地区内順位も上げているが、イーグルスとの対戦が2つ残っている。
6.ダラス・カウボーイズ(6勝3敗)、NFC東地区3位。カウボーイズは敵地フィラデルフィアでイーグルス相手に健闘したが、力が及ばず僅差で敗れた。クリスマスイブには本拠地で再戦する。ジャイアンツを破り、ワイルドカード枠争いには良い兆しが見えてきた。しかし、第10週目にはパッカーズに逆転負けを喫し、ジャイアンツに1ゲーム差をつけられる結果となった。
7.サンフランシスコ・49ers(5勝4敗)、NFC西地区2位。49ersにはシーホークスに代わって地区1位となりシード順第3位を獲得するチャンスがある。第9週目で休息をとり、依然としてこの地区で最強と目されるチームである。日曜夜の試合ではチャージャーズをラッシュ攻撃と守備で撃破した。
後を追うチーム
8.ワシントン・コマンダース(5勝5敗)、NFC東地区4位
9.グリーンベイ・パッカーズ(4勝6敗)、NFC北地区2位
10.アトランタ・ファルコンズ(4勝6敗)、NFC南地区2位
11.アリゾナ・カーディナルス(4勝6敗)、NFC西地区3位
コマンダースはイーグルスから貴重な勝利をあげた。パッカーズにはすでに勝利していたことで上位についた。ファルコンズは第10週目の第1試合でカロライナ・パンサーズに敗れ、順位を大きく落とした。パッカーズとカーディナルスはともに番狂わせの勝利をものにした。
望みが消えたかもしれないチーム
12.デトロイト・ライオンズ(3勝6敗)、NFC北地区3位
13.ロサンゼルス・ラムズ(3勝6敗)、NFC西地区最下位
14.ニューオーリンズ・セインツ(3勝7敗)、NFC南地区3位
15.カロライナ・パンサーズ(3勝7敗)、NFC南地区最下位
16.シカゴ・ベアーズ(3勝7敗)、NFC北地区最下位
ライオンズは直近2連勝を挙げたが、順位を上げるまでには至っていない。ラムズはカーディナルスに敗れたことで、ライオンズの下位に立つことになった。セインツはシーズン序盤こそ好調だったが、その後は転落の一途だ。パンサーズはファルコンズを破ったが、2023年のドラフトではチームの顔となるクォーターバック(QB)を獲得したいところだ。ベアーズにはジャスティン・フィールドというQBがいるが、それよりも守備陣の立て直しが急務である。
原文: NFL standings: Updated AFC, NFC playoff picture after Week 10 of 2022 season
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部
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