NFL2022年レギュラーシーズンが開幕してからわずか3週間で新たなランキング1位が誕生した。誰もが予想しなかったチームである。新しく生まれ変わったとしか思えないドルフィンズがレイブンズとビルズを立て続けに破って、トップまで駆け上がったのである。
予想されたように、シーズン序盤に予想外の結果が生まれた。それでも順当に上位を維持している強豪チームもあるが、それよりも予想外に躍進したチームやファンを失望させてしまっているチームの方がむしろ多い。
上位に急浮上したチーム、まぐれ当たりを疑われるチーム、安定したチーム、そして絶望的なチームなど、シーズン第4週目を前にした、全32チームの状況は以下の通りである。
NFL パワーランキング2022年第4週目
ポジション略称:クォーターバック=QB、ランニングバック=RB、ワイドレシーバー=WR、タイトエンド=TE、ガード=G、オフェンシブタックル=OT、ディフェンシブタックル=DT、ディフェンシブエンド=DE、ラインバッカー=LB、コーナーバック=CB、セーフティ=S、オフェンシブガード=OG、プレースキッカー=PK
1. マイアミ・ドルフィンズ、3勝0敗、 (前回の順位:8)
新ヘッドコーチのマイク・マクダニエルは素晴らしいスタートを切った。ただ勝っているだけではない。大差での完勝、大逆転劇、そして接戦を制するなど、勝利の形もバラエティに富んでいる。効率の良い攻撃と積極的な守備が最大限の成果を発揮し、前週までのランキング1位チームを撃破してみせた。
2. バッファロー・ビルズ、 2勝1敗、(1)
ビルズはドルフィンズ戦で終始フィールドを支配していた。しかし、いくつかの重大なミスを挽回することができなかった。ジョシュ・アレン(QB)は依然として好調で、2列目に故障者が重なった守備陣も健闘したが、マイアミでの戦いに敗れてしまった。
3. フィラデルフィア・イーグルス、3勝0敗、 (4)
イーグルスはここまで絶好調だ。有利なスケジュールにも恵まれ、ダラス・カウボーイズをNFC東地区首位から引きずり下ろし、カンファレンス制覇の可能性さえも見えてきた。ジェイレン・ハーツ(QB)と攻撃陣が目立つが、守備陣の充実ぶりにも目を見張るものがある。
4. グリーンベイ・パッカーズ、2勝1敗、 (10)
パッカーズは第1週目の大敗から立ち直った。守備陣はその圧倒的な実力を取り戻し、攻撃陣もアーロン・ロジャース(QB)をよくサポートした。完璧なシステムを備えたチームであることを改めて証明し、NFCカンファレンス優勝候補に名乗りを上げた。
5. タンパベイ・バッカニアーズ、 2勝1敗、 (3)
バッカニアーズはパッカーズに惜敗した。トム・ブレイディ(QB)は周りの攻撃陣にやや信頼性を欠いている。新ヘッドコーチのトッド・ボウルズは守備面でも明確な方向性を見出せていない。
6. カンザスシティ・チーフス、 2勝1敗、(2)
何が起きたのだろうか。ゾーン守備を取るインディアナポリス・コルツを相手に、パトリック・マホームズ(QB)と攻撃陣はほとんど機能しなかった。ボールを散らすことにこだわるより、攻撃ラインを集中させる戦略変更が必要ではないだろうか。
7. ロサンゼルス・ラムズ、2勝1敗、 (5)
ラムズは敵地アリゾナでのカーディナルス戦で守備陣にやや混乱が見られたが、大崩れするまでには至らなかった。アーロン・ドナルド(DT)と第1列の働きは大きかった。マシュー・スタッフォード(QB)はややスランプに陥っているものの、周りの攻撃陣からのサポートを得ている。
8. ボルティモア・レイブンズ、2勝1敗、 (11)
ラマー・ジャクソン(QB)がパスとラン攻撃の両方で素晴らしいパフォーマンスを見せた。攻撃陣が抱える他の問題を覆い隠してしまったほどだ。守備陣は派手なプレイこそなかったが、それでも高い潜在能力を感じさせるようになった。
9. デンバー・ブロンコス、2勝1敗、 (12)
ブロンコスの攻撃陣は未だに新たな戦略を確立できないでいる。ラッセル・ウィルソン(QB)とナサニエル・ハケット(ヘッドコーチ)との間で明確な合意が得られていないようだ。しかし、守備陣は強力だ。AFC西地区でチーフスと首位に並び、プレーオフ進出へ向けて足取りは確かだ。
10. ミネソタ・バイキングス、2勝1敗、 (9)
バイキングスは新ヘッドコーチのケビン・オコンネルが志向する攻撃戦略が浸透するまで時間がかかった。第1週目の後で、カーク・カズンズ(QB)とジャスティン・ジェファーソン(WR)に頼った攻撃からラッシュを活用する方法へ舵を切った。3-4フォーメーションを採用した守備陣も不安定ではある。しかし、同地区内のチームにシーズン序盤で2勝を挙げたことはポジティブに捉えるべきだろう。
11. ダラス・カウボーイズ、2勝1敗、 (15)
カウボーイズが予想外の快進撃を続けている。ダック・プレスコット(QB)を故障で欠きながら、力強い守備力を発揮して、シンシナティ・ベンガルズとニューヨーク・ジャイアンツを連覇したのだ。クーパー・ラッシュ(QB)の的確なプレイはさらに称賛に値する。NFC東地区でイーグルスのすぐ後ろを追っている。
12. サンフランシスコ・49ers 、1勝2敗、 (6)
49ersの攻撃陣は再びジミー・ガロポロ(QB)を中心に据えることになったが、不安定な状況に陥った。トレント・ウィリアムズ(OT)も欠いた攻撃陣には新たな戦略を必要としている。守備陣も崩壊しつつある。
13. シンシナティ・ベンガルズ、1勝2敗、 (16)
ベンガルズは2021年の姿に立ち戻った。ジョー・バロウ(QB)はサックを受けることなく、長い距離のパスを連発した。守備陣も安定性を取り戻した。残りの課題はラッシング攻撃になるだろう。
14. ジャクソンビル・ジャガーズ、2勝1敗、 (25)
ジャガーズは180度の方向転換に成功した。組織だった攻撃に重きを置くダグ・ペダーソン(ヘッドコーチ)は前ヘッドコーチのアーバン・マイヤーが残した負の遺産を一掃してみせた。トレバー・ローレンス(QB)は超一流QBの仲間入りをする資格が十分にあるように見える。そして若手を中心とした守備陣の投資も成果を挙げている。
15. クリーブランド・ブラウンズ、2勝1敗、 (19)
ブラウンズは第2週目に試合終了間際の2分間で大崩れしなければ、3勝0敗になっていてもおかしくはなかった。デショーン・ワトソン(QB)を欠いた攻撃陣はニック・チャブ(RB)、ジャコビー・ブリセット(QB)、そしてアマリ・クーパー(WR)を中心に、十分に機能する方法を見つけ出した。マイルズ・ギャレット(DE)と守備陣はもっと力を発揮できるはずだ。
16. ニューヨーク・ジャイアンツ、2勝1敗、 (13)
ジャイアンツの攻撃陣はダニエル・ジョーンズ(QB)とセイクワン・バークリー(RB)をめぐって問題があったが、カウボーイズの守備陣には対抗してみせた。ただ安定性に欠けるため、接戦を制するのは難しい。
17. ロサンゼルス・チャージャーズ、1勝2敗、 (7)
何が起きたのだろうか。ジャスティン・ハーバート(QB)が肋骨を故障し、キーナン・アレン(WR)を欠き、そしてラン攻撃が影を潜め、さらにジョーイ・ボーサ(LB)が故障した守備陣はラン攻撃に対抗できなかった。期待の大きいチームだけに、ブランドン・ステイリー(ヘッドコーチ)は既にプレッシャーを感じているだろう。
18. インディアナポリス・コルツ、1勝1敗1分け、 (27)
コルツはフランク・ライク(ヘッドコーチ)の指揮の元、教科書のような試合運びを見せ、本拠地でチーフスを破る大金星を挙げた。それ以前のロードでの2試合が酷かっただけに、喜びもひとしおだろう。ジョナサン・テイラー (RB)という大きな戦力を欠いているが、ゲームプランを明確にさえすれば、どのチームにも勝てるという自信を持つべきだ。
19. シカゴ・ベアーズ、2勝1敗、 (23)
ベアーズには派手なプレイはなかった。ジャスティン・フィールズ(QB)のパス攻撃は不調だったが、ロカン・スミス(LB)ら守備陣がきちんと役割を果たした。デビッド・モンゴメリー(RB)を欠きながらもラン攻撃は強力だった。
20. テネシー・タイタンズ 、1勝2敗、 (22)
タイタンズはデリック・ヘンリー(RB)とライアン・タネヒル(QB)のコンビが上手く機能し、本拠地でようやく今シーズン1勝目を挙げた。守備陣も対戦相手ラスベガス・レイダースのデレック・カー(QB)を翻弄してみせた。コルツと同じように、タイタンズもAFC南地区の首位争いに戻ってきた。
21. ピッツバーグ・スティーラーズ、1勝2敗、 (14)
スティーラーズはミッチェル・トゥルビスキー(QB)ら攻撃陣の働きが不十分で、T・J・ワット(LB)を欠いた守備陣の戦力不足を補うことはできていない。マット・カナダ(攻撃コーディネーター)とマイク・トムリン(ヘッドコーチ)には一工夫が必要である。新人のケニー・ピケット(QB)を起用する荒療治もあり得るだろう。
22. アリゾナ・カーディナルス、1勝2敗、 (17)
カーディナルスのJ・J・ワット(DE)より後ろの守備陣がさらに悪くなった。ラン攻撃を止めることができず、カバーリングも効果的ではない。それよりも重要な問題は、カイラー・マレー(QB)がパス攻撃にこだわりすぎ、試合に勝つためのプレイができていないことだ。巨額の契約を勝ち取ったことが皮肉に思えてくる。
23. ニューイングランド・ペイトリオッツ、1勝2敗、 (18)
ペイトリオッツはマック・ジョーンズ(QB)と攻撃陣がラッシング攻撃を上手く使い、レイブンズを追い詰めた。残念なことにジョーンズが足首を故障し、大きなターンオーバーを喫してしまった。ビル・ベリチック(ヘッドコーチ)はここまで穴の多い守備陣を率いることには慣れていない。
24. ニューオーリンズ・セインツ、1勝2敗、 (20)
セインツは敵地でカロライナ・パンサーズに敗れた。不安定ではあったが、積極的でもあった攻撃陣はジェイミス・ウィンストン(QB)が故障した。QBの交代があるかもしれない。デニス・アレン(ヘッドコーチ)は守備力に重きを置くタイプだが、未だに前ヘッドコーチのショーン・ペイトンがチームを去った後の方針を確立できていない。
25. デトロイト・ライオンズ、1勝2敗、 (21)
ライオンズにはこれからもエキサイティングな接戦が待ち構えているだろう。攻撃陣も躍動しているが、エイダン・ハッチンソン(DE)ら守備陣はさらにそうである。もっとも、健闘することと安定した勝利の間には大きな差が存在する。
26. ワシントン・コマンダース、1勝2敗、 (24)
コマンダースはカーソン・ウェンツ(QB)のパス攻撃がイーグルス戦で振るわなかったにもかかわらず、QBの交代を急いではいないようだ。真の問題は、守備陣がまったく機能していないことだ。
27. ラスベガス・レイダース、0勝3敗、 (26)
レイダースの攻撃力は判断しにくい。デレック・カー(QB)がジョシュ・マクダニエルズ(ヘッドコーチ)の望む結果を出せていないことは確かだ。マックス・クロスビー(DE)ら守備陣が大きな貢献をできていない状況では、あれこれ迷っている時間はないはずだ。
28. ニューヨーク・ジェッツ、1勝2敗、 (28)
ジョー・フラッコ(QB)のパス攻撃は一定の成果を挙げ、新たな攻撃陣に力を与えた。しかし、やはりザック・ウィルソン(QB)に頼りたいところだ。守備陣は少し改善の兆しを見せたが、まだロバート・サレー(ヘッドコーチ)にとっては再建途上である。
29. アトランタ・ファルコンズ 、1勝2敗、 (31)
ファルコンズの攻撃陣はマーカス・マリオタ(QB)のリーダーシップで闘争心を引き出された。コーダレル・パターソン(RB)、カイル・ピッツ(TE)、ドレイク・ロンドン(WR)らが奮起している。守備陣も実力以上のパフォーマンスを見せ、NFC南地区におけるライオンズのような存在になりつつある。
30. カロライナ・パンサーズ、1勝2敗、 (32)
パンサーズはベイカー・メイフィールド(QB)に率いられた攻撃陣にまだ多くの問題を抱えているが、守備陣とスペシャルチームが健闘し、勝利を挙げることができた。マット・ルール(ヘッドコーチ)はほっと一息をつくことができたが、これからは厳しい相手との対戦が連続して待ち構えている。
31. シアトル・シーホークス、1勝2敗、 (29)
シーホークスはジーノ・スミス(QB)が予想以上の活躍を見せているが、守備陣は予想された通りに、すべてのレベルで戦力不足である。第1週目に気合の入ったパフォーマンスを見せたものの、それ以降はパスにもランにもまったく対応できていない。
32. ヒューストン・テキサンズ 、0勝2敗1分け、 (30)
テキサンズは新人のダメオン・ピアース(RB)が輝きを見せ、守備陣でも何人かの若い選手がラビー・スミス(ヘッドコーチ)の期待に応えている。しかし、攻撃陣はデービス・ミルズ(QB)に頼るには限界がありそうだ。
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