日本時間9月9日(金)、バッファロー・ビルズ vs ロサンゼルス・ラムズ戦で2022-23年シーズンのNFLが開幕する。スポーティングニュースのベテラン記者ビニー・アイヤー( Vinnie Iyer)が開幕直前の全32チームの状況を分析し、最新NFLパワーランキングを伝える。
今季開幕戦は日本時間9月9日
NFLの2022年トレーニングキャンプ及びプレシーズン・ゲームが終わりを遂げ、全32チームはレギュラーシーズン開幕に向けてのラストスパートを切った。いよいよ本番を迎え、リーグの勢力図はこれから刻々と変化していく。スポーティングニュースではその模様をパワーランキングとして定期的に発表していく予定だ。
ほとんどのチームには大きな故障はなく、いわば無傷でシーズンを迎えられそうだ。もちろん少数の不運な例外はあるだろう。評判の高かったチームは期待通りの成績をあげられそうだが、すでに絶望感が漂うチームもいくつかある。
シーズン第1週目を目前に控えた、現時点での全32チームの状況は以下の通りである。
NFL パワーランキング2022-23 開幕直前版
ポジション略称:クォーターバック=QB、ランニングバック=RB、ワイドレシーバー=WB、タイトエンド=TE、ガード=G、オフェンシブタックル=OT、ディフェンシブタックル=DT、ディフェンシブエンド=DE、ラインバッカー=LB、コーナーバック=CB、セイフティ=S
前回>NFLパワーランキング【2022/8/3版】:ビルズがスーパーボウル優勝候補筆頭へ、プレシーズン開始前に49ers、ブロンコス、イーグルスが浮上中
1. バッファロー・ビルズ (前回の順位:1)
ビルズは攻撃コーディネーターのブライアン・ダボールを失った。それでもガブリエル・デイビス(WR)、アイザイア・マッケンジー(WR)、そしてジェームズ・クック(RB)らを加えた攻撃陣はさらに破壊力を増し、コーチングに関する不安を感じさせない。ジョシュ・アレン(QB)とステフォン・ディグス(WR)はさらに強力な武器を手に入れた。ボン・ミラー(LB)がまとめ上げている守備陣もプレーオフを勝ち上がるに相応しい強力な布陣である。
2. カンザスシティ・チーフス(2)
チーフスはRBにいくつか問題を抱えている。WBからタイリーク・ヒルが抜けた穴は埋まりつつあり、守備陣にもいくつか補強があった。それでもパトリック・マホームズ(QB)を支える攻撃ライン陣は強力である。ヘッドコーチのアンディ・リードは気心が知れたコーディネーターたちを取り戻し、指導陣も万全だ。チーフスがAFC優勝を狙える数少ないチームのひとつであることは間違いない。
3. タンパベイ・バッカニアーズ (3)
バッカニアーズの攻撃ライン陣には不安があり、トム・ブレイディ(QB)のパスを受けるレシーバー陣には大きな変化が進行中である。それでも、ブレイディのパス能力があり、ラン攻撃のバランスも悪くない。守備陣も故障者はなく、ヘッドコーチに昇格したトッド・ボウルズには完全な戦力が与えられている。
4. ロサンゼルス・チャージャーズ (6)
チャージャーズはプレシーズン中に大きな注目を集めた。ジャスティン・ハーバート(QB)はデビューして最初の2シーズンを素晴らしい成績で終えたが、未だに成長途中のように見える。そして今年はさらに破壊力を上げた攻撃陣を率いることになる。カリル・マック(LB)、ジョーイ・ボサ(LB)、J.C.ジャクソン(CB)、そしてダーウィン・ジェームズ(S)ら守備陣にも死角はない。故障者を出さないことだけが課題だ。
5. サンフランシスコ・49ers (7)
49ersについての疑問はひとつしかない。先発QBとして初のシーズンを迎えるトレイ・ランスはどれだけの選手なのだろうか、である。カイル・シャナハン(ヘッドコーチ)が作り上げたシステムは充実したラン攻撃とパスへのサポートを備えている。ランスはその攻撃陣パズルを完成させる最後の1ピース以上の働きが期待されており、それこそがニック・ボサ(DE)と守備陣がふたたび圧倒的な力を発揮する前の前提条件となる。
6. ボルティモア・レイブンズ (8)
レイブンズは守備陣の再構築に取り組んだ。課題であったパスラッシュは平均水準にまで引き上げられ、NFLでも屈指の第2列を持つようになった。その成果はまもなく見ることができる。ラマー・ジャクソン(QB)らの攻撃陣も強化され、より上手く機能するだろう。レイブンズがふたたびAFC北地区の優勝争いに絡んでくるための戦力は十分だ。
7. グリーンベイ・パッカーズ (4)
パッカーズは過去3シーズン、アーロン・ロジャース(QB)とマット・ラフルアー(ヘッドコーチ)を中心に多くの勝利を積み上げてきた。ダバンテ・アダムス(WR)が抜けたことで、パス戦略の練り直しが課題になっている。キャリアが浅い選手や故障者が多いことも気がかりだ。それらを克服すれば、今シーズンはさらに勝ち星を挙げることができるはずだ。アーロン・ジョーンズとA.J. ディロンをRBに擁するラン攻撃力は強力無比であるし、ラシャン・ゲイリー(LB)からジャイレ・アレクサンダー(CB)まで、守備陣の戦力も充実している。
8. ロサンゼルス・ラムズ (5)
ラムズは昨季、スーパーボウル優勝の美酒に酔ったが、その二日酔いは避けたいところだ。NFCには強敵がひしめいており、西地区の連覇はけっして容易なことではない。マシュー・スタッフォード(QB)は故障を抱え、RB陣はやや低調である。ボン・ミラー(LB)を失った守備陣の立て直しは上手く行ったようだ。アーロン・ドナルド(DT)とジャレン・ラムジー(CB)がその中心になる。
9. シンシナティ・ベンガルズ (10)
ベンガルズはスーパーボウルで対決したラムズとの合同練習で文字通りの「戦い」に発展した。昨年に続いてAFCカンファレンスを制する可能性は依然として大きい。スター、ジョー・バロウ(QB)、ジャマール・チェイス(WR)、その他の攻撃陣には破壊力がある。それでも、レイブンズ、チーフス、そしてビルズといったチームの上をいくことは容易ではない。
10. デンバー・ブロンコス (11)
ラッセル・ウィルソン(QB)のパスを健康体のコートランド・サットン(WR)が受ける限り、ブロンコスのパス攻撃は機能するはずだ。しかし、このチームの強みは依然としてジャボンテ・ウィリアムズ(RB)とメルビン・ゴードン(RB)を中心とするラン攻撃である。守備陣はブラッドリー・チャブ(LB)の出来具合にかかってくるだろう。
11. ダラス・カウボーイズ (9)
カウボーイズはプレシーズン中にタイロン・スミス(OT)を失った。大きな痛手だ。アマリ・クーパー(WR)がチームを去ったことで、ダック・プレスコット(QB)は大きな武器を失っている。それでもケレン・ムーア(攻撃コーディネーター)の戦略によって機能する可能性はあるが、爆発力に欠けていることは明らかだ。守備陣は昨シーズンに派手なプレイが目立ったが、より安定した方向へ移行しない限り、NFC東地区でふたたびフィラデルフィア・イーグルスを抑えるのは難しい。
12. フィラデルフィア・イーグルス (13)
イーグルスはジェイレン・ハーツ(QB)が次のレベルに成長することを必要としている。A.J. ブラウン(WR)が加入し、デボンタ・スミス(WR)とダラス・ゴーダート(TE)らと組んで、パスを受ける側の戦力は格段に上がっているからだ。攻撃ライン陣と守備陣の状態も良い。もしNFC東地区でカウボーイズに上を行かれたとしても、イーグルスがプレーオフ戦線に戻ってくるための戦力は十分なはずだ。
13, インディアナポリス・コルツ (12)
マット・ライアン(QB)はここまで良くやっている。ジョナサン・テイラー (RB)を中心にしたラン攻撃は安定し、マイケル・ピットマン・ジュニア(WR)やナイハイム・ハインズ(RB)ら攻撃陣との連携も上手く行っている。 守備陣はコーディネーターだったマット・エバーフルスを失ったが、デフォレスト・バックナー(DT)、シャキール・レナード(LB)、そしてケニー・ムーア(CB)を擁しており、AFC南地区のタイトルを取り戻すための原動力になるはずだ。
14. ミネソタ・バイキングス (22)
バイキングスは新ヘッドコーチを迎えたチームの中では最高の状態だ。ケビン・オコンネルはチームの攻撃力を最大化するためには最適の選択だった。ジャスティン・ジェファーソン(WB)とダルビン・クック(RB)を中心に、攻撃陣は破壊力を増している。前ヘッドコーチのマイク・ジマーがチームを去って以来、守備陣の立て直しも上手く行っているようである。
15. ピッツバーグ・スティーラーズ (20)
スティーラーズはベン・ロスリスバーガーが引退したことを受け、新たなQBとしてドラフト1巡目新人のケニー・ピケットを選んだ。パス攻撃の戦力に加えて、ナジー・ハリス(RB)をより活かす戦略を模索中である。ヘッドコーチのマイク・トムリンはかつてシーズンを負け越したことがない。パスに対する守備力に重きを置くスタイルは、攻撃力にプラスアルファを与えることができるはずだ。
16. テネシー・タイタンズ (17)
タイタンズは昨シーズン後半、ライアン・タネヒル(QB)を中心としたパス攻撃が崩壊した。新人のマリク・ウィリス(QB)を獲得したことで、タネヒルの奮起を期待したいところだ。右足の骨折で昨季をふいにしたデリック・ヘンリー(RB)が健康を取り戻すことも、AFCで上位を狙うには不可欠な要素である。守備陣の強化にかけた投資が功を奏すかどうかにも注目するべきだろう。
17. アリゾナ・カーディナルス (16)
カーディナルスの昨シーズンは出来過ぎと呼べるものだった。NFC西地区で49ersとラムズに次ぐ3位に入った。巨額な契約を結んだカイラー・マレー(QB)には大きなプレッシャーがかかる。ディアンドレ・ホプキンス(WR)がしばらく戦列を離れることもそれに拍車をかけるだろう。だが、本当の課題は限られた守備力である。
18. クリーブランド・ブラウンズ (14)
ブラウンズの評価は低落した。性的不祥事問題を抱えるデショーン・ワトソン(QB)の出場停止期間が11試合に伸び、シーズンの大半でジャコビー・ブリセットに先発QBを託すことを余儀なくされたからだ。ブラウンズの攻撃ライン陣、ラン攻撃、そして守備力はAFC北地区で十分に戦えるだけのものがある。しかし、この地区にはレイブンズとベンガルズの2強がひしめいているのに加えて、スティーラーズもQBの変更に成功しており、楽観視はできない。
19. マイアミ・ドルフィンズ (15))
新ヘッドコーチのマイク・マクダニエルはトゥア・タゴバイロア(QB)を中心とした攻撃陣の立て直しに成功しつつある。ヒルとジェイレン・ワドルの両WRが攻撃の要となる。ドルフィンズはAFCのワイルドカード枠を西地区・北地区の強豪と争うことになるだろう。
20. ニューイングランド・ペイトリオッツ (18)
ジョシュ・マクダニエルズを失ったペイトリオッツは、攻撃コーディネーターを誰が務めるかがはっきりしておらず、マック・ジョーンズ(QB)を中心に据えた攻撃力にはあまりポジティブな要素がない。救いはRBくらいだ。パス攻撃はリーグでも最低レベルに留まっているうえ、ビル・ベリチック(ヘッドコーチ)は今年も守備陣とスペシャルチームの戦力不足に苦しむことになるだろう。
21. ラスベガス・レイダース (19)
ペイトリオッツはマクダニエルズの神通力を失った。しかして、レイダースの新ヘッドコーチに就任したマクダニエルズは、デレック・カー(QB)とダバンテ・アダムス(WR)のペアを中心として、さらにダレン・ウォーラー(TE)とハンター・レンフロー(WR)を加えた幅の広い攻撃陣を構築しつつあり、上向きムードを期待できるだろう。ジョシュ・ジェイコブス(RB)ら、後方からの攻撃力も増している。しかし、レイダースが抱える最大の弱点は守備力にあり、攻撃に優れたチームがひしめく地区内において厳しい戦いになるだろう。
22. ニューオーリンズ・セインツ (21)
セインツは前ヘッドコーチのショーン・ペイトン氏が去ってから、チームとしての確固たる方向性を未だに見出せていないようだ。ドリュー・ブリーズ時代以降の成功はラン攻撃と守備力がカギになる。後者に関しては、新ヘッドコーチに就任したデニス・アレンの責任範囲だ。ジェイミス・ウィンストン(QB)と新人のクリス・オレイブ(WR)を中心に、パス攻撃には向上の気配がある。バッカニアーズの後を追い、セインツはその下の混戦グループから抜け出そうとしている。
23. デトロイト・ライオンズ (24)
ライオンズはトレーニング・キャンプの様子がHBO Maxのテレビシリーズ『Hard Knocks』で取り上げられた。しかし、このチームが注目を集めているのはそのためだけではない。ダン・キャンベル(ヘッドコーチ)のオールドファッションな指揮がチームのモチベーションを高めているのだ。ジャレッド・ゴフ(QB)の周りを支える攻撃陣には死角がない。そしてエイダン・ハッチンソン(DE)が加わった守備陣は改善された。
24. ニューヨーク・ジェッツ (25)
ジェッツの攻撃及び守備システムはそれぞれがマイク・ラフラー(攻撃コーディネーター)とロバート・サレー(ヘッドコーチ)によって必要な改善が進んだようだ。2年目を迎えるザック・ウィルソン(QB)がどれだけ健康体でいられるかがチーム上昇のカギになるだろう。
25. シカゴ・ベアーズ (28)
マット・エバーフラス(ヘッドコーチ)はカリル・マック(LB)が抜けた守備陣の立て直しが急務である。しかし、ジャスティン・フィールズ(QB)を中心とした攻撃陣は悪くはない。パス攻撃もラン攻撃もシステムは大幅に改善された。前ヘッドコーチのマット・ナジーに振り回されていた頃に比べると、状況はかなり良くなっている。
26. ニューヨーク・ジャイアンツ (26)
ジャイアンツは依然として不安定だが大爆発の可能性を秘めたチームだ。ダニエル・ジョーンズ(QB)、セイクワン・バークリー(RB)、そしてレシーバー陣には大きな期待を抱かざるを得ない。ブライアン・デイボール(新ヘッドコーチ)とマイク・カフカ(新攻撃コーディネーター)の指揮下で攻撃システムは大幅に変更された。バークリーが健康を保ち、ラン攻撃を支えることができるかがカギになる。守備陣も基本的な戦力が整ってきたようだ。
27. ワシントン・コマンダース (23)
コマンダースの攻撃陣にはポジティブな要素を見出しにくい。カーソン・ウェンツ(QB)とアントニオ・ギブソン(RB)の連携に深刻な懸念があるためだ。守備陣はパスラッシュとカバーに問題があり、依然としてチェイス・ヤング(DE)がフルで復帰することを待っている状態だ。
28. カロライナ・パンサーズ (27)
パンサーズはベイカー・メイフィールド(QB)を獲得し、このポジションの方向性はクリアにした。しかし、マット・ルールズ(ヘッドコーチ)の古風なアプローチには疑問が残る。故障の多いクリスチャン・マカフリー(RB)のラン攻撃に活路を見出そうとし、パス攻撃が軽視されている。守備陣は全体的に戦力不足である。
29. アトランタ・ファルコンズ (31)
アーサー・スミス(ヘッドコーチ)はラン中心の攻撃を志向し、マーカス・マリオタ(QB)はカイル・ピッツ(TE)と新人のドレイク・ロンドン(WR)に多くを頼ろうとしている。しかし、その見通しは明るくはない。A.J. テレル(CB)とグレイディ・ジャレット(DE)もさほど守備力を高めてはいない。マット・ライアン(QB)をトレード放出した後のチーム再建は、新人のデズモンド・リダー(QB)が台頭するまで続くことになるだろう。
30. ジャクソンビル・ジャガーズ (30)
ジャガーズはアーバン・マイヤー(前ヘッドコーチ)がチームを去った後、ゼロからのやり直しに着手している。ダグ・ペダーソン(現ヘッドコーチ)はトレバー・ローレンス(QB)を中心とした攻撃陣を再建しつつある。守備陣も抜本的な改革が必要である。2022年ドラフト全体1位の新人、トラボン・ウォーカー(LB)には大きな期待がかかる。今シーズンはまだ再建途上にあるが、2023年には躍進の可能性を秘めたチームである。
31. シアトル・シーホークス (29)
ジーノ・スミス(QB)はラッセル・ウィルソン(QB)の控え選手から先発QB候補へと変貌した。しかし、ドリュー・ロック(QB)は不振のままだ。ラン攻撃に頼るには故障者が足を引っ張り、守備陣にも穴が多い。ピート・キャロル(ヘッドコーチ)は厳しい状況での指揮を余儀なくされている。
32. ヒューストン・テキサンズ (32)
テキサンズは攻撃陣に興味深く若い才能を擁している。しかし、デービス・ミルズ(QB)には不安定さを感じざるを得ない。ラビー・スミス(ヘッドコーチ)は守備陣にいくらか新たな戦力を得たが、全体的にまだまだ戦力不足である。
今季2022-23年シーズンのNFL試合中継:テレビ放送・配信先
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原文:NFL power rankings: 49ers, Steelers, Vikings surging; Cowboys, Browns lose juice after preseason
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部
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