下馬評通りの結果となった第9週目、勝ち続けるフィラデルフィア・イーグルスに上位陣が続くなか、下位グループはいよいよプレーオフへの道筋も消え始めた。第10週目を前にしたNFLパワーランキングをビニー・アイヤー(Vinnie Iyer)記者が伝える。
NFL2022年シーズン第9週目では上位陣に大きな波乱はなかった。唯一、バッファロー・ビルズが敵地ニューヨークでジェッツに不覚をとった。レギュラーシーズンも後半に入り、プレーオフ争いが激しくなるなか、フィラデルフィア・イーグルス(NFC)はいまだに無敗を保っている。
イーグルスとビルズのスーパーボウル対決を予想する声が高くなっているが、すぐ後方にはカンザスシティ・チーフス、サンフランシスコ・49ersを始めとする他チームが追い上げを図っている。シーズン第10週目を前にした全32チームの状況は以下の通りである。
NFL パワーランキング2022年第10週目
ポジション略称:クォーターバック=QB、ランニングバック=RB、ワイドレシーバー=WR、タイトエンド=TE、ガード=G、オフェンシブタックル=OT、ディフェンシブタックル=DT、ディフェンシブエンド=DE、ラインバッカー=LB、コーナーバック=CB、セーフティ=S、オフェンシブガード=OG、プレースキッカー=PK
1. フィラデルフィア・イーグルス、8勝0敗、 (前回の順位:1)
イーグルスは第9週目のヒューストン・テキサンズ戦で圧倒的と言うよりは手堅い勝利を収めた。スーパーボウル制覇と無敗シーズンを目指すことを優先するためには攻撃陣も守備陣も主力を温存する必要があったからだ。レギュラーシーズンは後半に入ったばかりで、強豪ひしめくNFC東地区を制することは容易ではない。
2. バッファロー・ビルズ、 6勝2敗、(2)
ジョシュ・アレン(QB)はニューヨーク・ジェッツ戦の前半ではラン攻撃が冴えたが、その後のパフォーマンスが良くなかった。ソース・ガードナー(ジェッツCB)とロバート・サラー(ジェッツのヘッドコーチ)が率いる守備陣に抑え込まれてしまった。ビルズは守備陣がラン攻撃を主体とするチームを苦手にしていることも大きな問題だ。
3. カンザスシティ・チーフス、 6勝2敗、(3)
チーフスの攻撃陣は体力に勝るテネシー・タイタンズの守備陣に苦戦した。それでもパトリック・マホームズ(QB)がパス、ラン、そして類まれな精神力を発揮し、なんとか勝利を挙げることができた。守備陣も手遅れになる前にラン攻撃を封じ込めてみせた。
4. ミネソタ・バイキングス、7勝1敗、 (4)
バイキングスは派手な得点シーンはあまり見せないものの、攻撃陣は着実な作戦を実行している。カーク・カズンズ(QB)、ジャスティン・ジェファーソン(WR)、そしてダルビン・クック(RB)がその中心だ。守備陣も安定している。1年目のケビン・オコンネル(ヘッドコーチ)には年間最優秀コーチ賞レースでショーン・マクベイ(ロサンゼルス・ラムズのヘッドコーチ)のような注目が集まるべきだ。
5. ダラス・カウボーイズ、6勝2敗、 (5)
カウボーイズは試合がなかった。前週は故障が癒えたダン・プレスコット(QB)を中心としたラン攻撃と守備陣が
力を発揮していた。イーグルスを追い詰めるところまでは戦力が充実していないが、それでも前年度プレーオフの雪辱を果たす準備は整ってきている。
6. シアトル・シーホークス、6勝3敗、 (6)
シーホークスは週を追うごとに守備力が向上している。ピート・キャロル(ヘッドコーチ)が重んじるパスラッシュとカバリングの基本がチームを作り上げている。ジーノ・スミス(QB)には大きなミスが目立つが、優れたワイドレシーバー陣と驚異的な新人ランニングバックがそれを帳消しにしてくれている。
7. ニューヨーク・ジャイアンツ、6勝2敗、 (7)
ジャイアンツは試合がなく、前週シーホークス戦に敗れた痛手から回復する時間を得た。攻撃陣はダニエル・ジョーンズ(QB)とセイクワン・バークリー(RB)をもっと活かす方法を見つけるべきだ。守備陣はラン対策が急務である。
8. ボルティモア・レイブンズ、6勝3敗、 (8)
レイブンズはラマー・ジャクソン(QB)の周りを固める攻撃陣に故障者が相次いでいる。しかし、ランを主体とした攻撃スタイルは変わらずに効果を発揮している。守備陣も週を追うごとに向上している。
9. サンフランシスコ・49ers 、4勝4敗、 (10)
49ersは試合がなく、シーズン後半を前に貴重な休息をとることができた。クリスチャン・マカフリー(RB)が加入し、攻撃陣の厚みはリーグ屈指かもしれない。守備陣もスーパーボウル進出を狙うに相応しい安定性を維持している。
10. ロサンゼルス・チャージャーズ、5勝3敗、 (11)
チャージャーズは攻撃ライン陣、守備陣、そしてレシーバー陣に故障者が相次いでいる。しかしジャスティン・ハーバート(QB)とオースティン・エケラー(RB)が奮闘し、ここまでチームを引っ張ってきている。ブランドン・ステイリー(ヘッドコーチ)の指揮能力はもっと評価されるべきだ。
11. テネシー・タイタンズ 、5勝3敗、 (9)
タイタンズはライアン・タネヒル(QB)を欠いたものの、新人のマリーク・ウィリス(QB)、強力な守備陣、そしてデリック・ヘンリー(RB)の活躍でチーフスを追い詰めた。だが残念なことに攻守ともにパスのコンビネーションが十分ではなく、勝利にはあと一歩及ばなかった。
12. シンシナティ・ベンガルズ、5勝4敗、 (13)
ベンガルズは前週からジャマール・チェイス(WR)を欠き、クリーブランド・ブラウンズに大敗した。ジョー・バロウ(QB)はジョー・ミクソン(RB)とラン攻撃のサポートを必要としていた。今週のカロライナ・パンサーズ戦ではそれを手にすることができ、守備陣も前週から大きく回復した。
13. ニューヨーク・ジェッツ、6勝3敗、 (14)
ジェッツの健闘ぶりはNFLでも指折りのニュースだ。若い守備陣が奮闘し、体力に恵まれた攻撃陣は粘っこいラン攻撃が効果を発揮している。ニューイングランド・ペイトリオッツに敗れたあとでビルズから勝利したことは大書されるべき快挙だ。
14. マイアミ・ドルフィンズ、6勝3敗、 (12)
ドルフィンズの攻撃陣はタイリーク・ヒル(WR)、ジェイレン・ワドル(WR)、そしてラヒーム・モスタート(RB)が持ち前のスピードを発揮すると手が付けられなくなる。しかし、守備陣はブラッドリー・チャブ(LB)を加えたにもかかわらずシカゴ・ベアーズ戦で大量失点してしまったことが気がかりだ。
15. タンパベイ・バッカニアーズ、 4勝5敗、 (15)
バッカニアーズの攻撃陣は苦戦が続いている。しかし、ロサンゼルス・ラムズ戦では守備陣に復調が見られた。そしてトム・ブレイディ(QB)はラスト1分に驚異的な集中力を見せ、どうやら不調を脱したように見える。
16. ニューイングランド・ペイトリオッツ、5勝4敗、 (18)
ペイトリオッツはまたしてもラン攻撃と守備陣が功を奏し、インディアナポリス・コルツからしぶとい勝利を挙げ、ワイルドカード枠争いに加わってきた。マック・ジョーンズ(QB)を先発で起用することへの関心は低くなってきているが、それもビル・ベリチック(ヘッドコーチ)の目論見通りなのかもしれない。
17. ロサンゼルス・ラムズ、3勝5敗、 (16)
ラムズの守備陣は好調を維持しているが、攻撃陣はクーパー・カップ(WR)をもっとサポートするべきだ。ショーン・マクベイ(ヘッドコーチ)率いるこのチームはプレーオフ進出の望みが小さくなったように見える。
18. ワシントン・コマンダース、4勝5敗、 (19)
コマンダースはバイキングス戦に敗れたが、大差はつかなかったことを喜ぶべきかもしれない。テイラー・ハイニッケ(QB)と攻撃陣は苦しんだ。守備陣は週を追うごとに良くなってきており、勝利のチャンスを生み出している。
19. アトランタ・ファルコンズ 、4勝5敗、 (20)
ファルコンズはチャージャーズを僅差に追い詰めた。コーダレル・パターソン(RB)らのラン攻撃が力を発揮した。しかし、かねてからの課題であるパス守備のもろさは今後もチームを苦しめるだろう。
20. ニューオーリンズ・セインツ、3勝6敗、 (23)
セインツは第8週目ではデニス・アレン(ヘッドコーチ)が強く求めていた守備陣のパフォーマンスを手に入れた。しかし本拠地で迎えた第9週目ではラマー・ジャクソン(レイブンズQB)という大きな壁に阻まれた。アンディ・ダルトン(QB)はほかの攻撃陣メンバー主力と息が合ってきている。
21. クリーブランド・ブラウンズ、3勝5敗、 (24)
ブラウンズは第8週目にベンガルズを破り、シーズンの望みを繋ぎとめた。今週は試合がなく、課題である守備陣の立て直しをする貴重な時間を与えられた。デショーン・ワトソン(QB)が復帰する第13週目までワイルドカード枠争いに留まることだけが現在の目標だ。ジャコビー・ブリセット(QB)はここまで良い働きをしている。
22. グリーンベイ・パッカーズ、3勝6敗、 (17)
パッカーズは敵地でのデトロイト・ライオンズ戦に敗れ、これで5連敗となった。もはや今シーズンのこのチームは強豪ではないことがはっきりした。アーロン・ロジャース(QB)の不調が攻撃陣をさらに弱体化させてしまっている。
23. インディアナポリス・コルツ、3勝5敗1分け、 (21)
コルツの攻撃陣はサム・エーリンガー(QB)を先発に起用することの効果を手にしていない。ジョナサン・テイラー (RB)はランブロックを受けられず、パス攻撃はまったく機能していない。守備力だけでは試合に勝つことは難しい。フランク・ライク(ヘッドコーチ)は瀬戸際に立たされている。
24. デンバー・ブロンコス、3勝5敗、 (25)
ブロンコスは前週にロンドンで行われたジャクソンビル・ジャガーズ戦の後半で攻撃陣がいくつかの問題を解決し、勝利を挙げた。今週は試合がなく、調子を上向けたままシーズン後半に臨みたいところだ。ブラッドリー・チャブ(LB)を失った守備陣の方が大きな問題になるかもしれない。
25. シカゴ・ベアーズ、3勝6敗、 (27)
ジャスティン・フィールズ(QB)をどう評価するべきだろうか。ベアーズの守備陣は再建中であるが、攻撃的なチームへと完全に変貌する方向へと舵を切った。その試みを成功させるには、長くチームの中心となるパサー(そしてランナー)を獲得するべきである。
26. アリゾナ・カーディナルス、3勝6敗、 (22)
カーディナルスの攻撃陣は混乱の極みにある。攻撃ライン陣に負傷者が相次ぎ、カバーを受けられないカイラー・マレー(QB)はターゲットを外し続けている。守備陣は時折ビッグプレイを見せているが、クリフ・キングスベリー(ヘッドコーチ)の手腕は大きな期待外れとなってしまっている。
27. ジャクソンビル・ジャガーズ、3勝6敗、 (29)
ジャガーズは第9週目に最高の試合を演じた。ダグ・ペダーソン(ヘッドコーチ)の指揮下でトレバー・ローレンス(QB)とトラヴィス・エティエンヌ・ジュニア(RB)の若いコンビを中心とした攻撃陣が成長を続けている。守備陣も若手中心で、ラスベガス・レイダース戦での大逆転勝利に貢献した。
28. デトロイト・ライオンズ、2勝6敗、 (32)
ライオンズの守備陣はパッカーズ戦で見せ場を作った。アーロン・ロジャース(パッカーズQB)と攻撃陣のミスにも助けられてはいたが。それでもダン・キャンベル(ヘッドコーチ)が2023年もチームに残るには十分な勝利だったかもしれない。
29. ピッツバーグ・スティーラーズ、2勝6敗、 (28)
スティーラーズは試合がなかった。マイク・トムリン(ヘッドコーチ)にとってキャリア初となる負け越しシーズンが濃厚ななか、チームを立て直す時間が与えられた。2023年に向けて、守備陣の故障者が復帰し、新人のケニー・ピケット(QB)が飛躍のきっかけをつかむことが求められている。
30. ラスベガス・レイダース、2勝6敗、 (30)
レイダースは敵地のジャクソンビルでジャガーズに逆転負けを喫した。17点差以上を逆転されたのは今シーズンこれで3回目だ。デレック・カー(QB)、ダバンテ・アダムス(WR)ら攻撃陣は調子を上げているが、ラン攻撃と守備陣はまったく機能しなかった。シーズン後半に入り、ジョシュ・マクダニエルズ(ヘッドコーチ)の座はさらに危うくなってきた。
31. カロライナ・パンサーズ、2勝7敗、 (30)
パンサーズはバッカニアーズを破り、ファルコンズを追い詰めた勢いをベンガルズ戦の前半にまったく見せることができなかった。ラン守備の問題が再発し、P.J. ウォーカー(QB)ら攻撃陣は崩壊した。ベイカー・メイフィールド(QB)にはさらに疑問符がつく結果となった。
32. ヒューストン・テキサンズ 、1勝6敗1分け、 (31)
テキサンズはダメオン・ピアース(RB)とデレク・スティングリー・ジュニア(CB)ら、新人選手が輝きを見せている。しかし、2年目のデービス・ミルズ(QB)とラン守備に大きな問題を抱えている。ドラフトではミルズに代わる大物を指名するだろう。
原文: NFL power rankings: Packers, Rams, Colts fall with fading playoff hopes; Jets, Bengals climb for Week 10
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部
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