NFLパワーランキング 11/1版:第9週目を前に49ers、シーホークスがNFCタイトル争いに浮上、レイダース、スティーラーズが最悪の事態に

Vinnie Iyer

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第8週終了とともにトレード期限も終了し、プレーオフに向けてのテコ入れも落ち着く頃合いだが、それでも勝っているチームと負けが込んでいるチームの戦力差はすでに明確だ。第9週を前にしてのNFLパワーランキングをビニー・アイヤー(Vinnie Iyer)記者が伝える。

NFL2022-23年シーズンは波乱含みだ。チーム間の戦力差が大きくなってきている。少数の強豪チームはスーパーボウル57に向けてプレーオフ進出への道を着実に進んでいる。

いまだに無敗のフィラデルフィア・イーグルス(NFC)、タイトル争いから抜け出した感もあるバッファロー・ビルズ(AFC)の下には、予想外な快進撃を続けるチームと転落中のチームが混在している。シーズンも半分に近づき、多くのチームは方針を固めてきているが、未だに模索中のチームもある。

第8週目の結果でリーグの勢力図は大きく様変わりした。シーズン第9週目を前にした全32チームの状況は以下の通りである。

NFL パワーランキング2022年第9週目

A.J. Brown
(Getty Images)

ポジション略称:クォーターバック=QB、ランニングバック=RB、ワイドレシーバー=WR、タイトエンド=TE、ガード=G、オフェンシブタックル=OT、ディフェンシブタックル=DT、ディフェンシブエンド=DE、ラインバッカー=LB、コーナーバック=CB、セーフティ=S、オフェンシブガード=OG、プレースキッカー=PK

1. フィラデルフィア・イーグルス、7勝0敗、 (前回の順位:1)

イーグルスは1週間の休息のあと、崖っぷちに追い込まれているピッツバーグ・スティーラーズを一蹴した。ジェイレン・ハーツ(QB)とA・J・ブラウン(WR)がまたしても圧倒的なパフォーマンスを見せた。守備陣も好調を維持している。シーズン半ばの現時点でイーグルスがNFC最高のチームであり、スーパーボウルに最も近い位置にあることには疑問の余地がない。

2. バッファロー・ビルズ、 6勝1敗、(2)

ビルズは好調を維持している。ジョシュ・アレン(QB)と攻撃陣は積極的かつ攻撃的であり、ゾーン・ディフェンスを活用する守備陣は強力だ。故障者の存在がやや気がかりであるが、AFCタイトルに最も近い位置にあり、イーグルスとスーパーボウルで激突するコースをひた走っている。

3. カンザスシティ・チーフス、 5勝2敗、(3)

チーフスは試合がなかった。前週の試合ではパトリック・マホームズ(QB)と攻撃陣が爆発的なパフォーマンスを発揮したばかりだった。チーム全体で昨シーズンよりビッグプレイがより多く、とくに試合後半での守備には目を見張らせるものがある。

4. ミネソタ・バイキングス、6勝1敗、 (5)

バイキングスは着実に得点をあげる攻撃陣と大事な場面で失点を防ぐ守備陣が上手くかみあっている。ケビン・オコンネル(ヘッドコーチ)は年間最優秀コーチ賞レースでピート・キャロル(シアトル・シーホークスのヘッドコーチ)とブライアン・ダボール(ニューヨーク・ジャイアンツのヘッドコーチ)に差をつけつつあるようだ。NFC北地区首位の座を脅かす存在は今のところ見当たらない。

Tony Pollard
(Getty Images)

5. ダラス・カウボーイズ、6勝2敗、 (6)

カウボーイズは試合後半の大事な場面でランを主体にした攻撃で効果を上げている。とくにトニー・ポラード(RB)が爆発力を発揮し、故障帰りのダン・プレスコット(QB)を助けている。マイカ・パーソンズ(LB)ら守備陣にも穴が見当たらない。

6. シアトル・シーホークス、5勝3敗、 (11)

シーホークスは守備力とラン攻撃が力を発揮し、ニューヨーク・ジャイアンツに快勝した。試合後半にタイラー・ロケット(WR)の珍しいミスで失点する場面はあったが、それがなければもっと大差がついていただろう。ピート・キャロル(ヘッドコーチ)はNFL最高齢コーチであるが、最も若々しい力を見せつけている。

7. ニューヨーク・ジャイアンツ、6勝2敗、 (4)

ジャイアンツはダニエル・ジョーンズ(QB)の後ろにあるラン攻撃陣と守備陣全体の戦力が万全ではなく、シーホークスに敗れた。チームの状態は依然として悪くはないが、現在の順位はNFC東地区3位であり、プレーオフ進出に黄信号が点滅している。

8. ボルティモア・レイブンズ、5勝3敗、 (9)

レイブンズはタンパベイ・バッカニアーズ戦の前半ではパス攻撃に頼り過ぎた感があったが、後半に入ってからはラマー・ジャクソン(QB)の創造的なラン攻撃が効果を発揮した。守備陣は週を追うごとに向上している。

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(Getty Images)

9. テネシー・タイタンズ 、5勝2敗、 (10)

タイタンズは敵地ヒューストンのテキサンズ戦でライアン・タネヒル(QB)を欠いたものの、デリック・ヘンリー(RB)の爆発力によって勝利した。しかし守備陣はランに対してもパスに対しても弱すぎた。マイク・ブラベル(ヘッドコーチ)はまたしても失敗した。

10. サンフランシスコ・49ers 、4勝4敗、 (15)

49ersは敵地ロサンゼルスでのラムズ戦でトレードで加入したばかりのクリスチャン・マカフリー(RB)が活躍した。ラン、パス、レシーブすべての攻撃が冴え、ディーボ・サミュエル(WR)の不在による影響を感じさせなかった。サミュエルが復帰すると、49ersの攻撃陣はさらに爆発力を増すことが期待される。

11. ロサンゼルス・チャージャーズ、4勝3敗、 (12)

チャージャーズはあらゆるポジションに故障者が相次いでいる。しかしジャスティン・ハーバート(QB)とオースティン・エケラー(RB)が健康でいる限りはAFCのプレーオフ枠争いに留まることができるはずだ。攻守双方で緊急の補強が期待される。

Tyreek Hill
Getty Images

12. マイアミ・ドルフィンズ、5勝3敗、 (13)

ドルフィンズは敵地デトロイトでのライオンズ戦で試合前半はスロースタートだったが、後半で逆転に成功した。タイリーク・ヒル(WR)とジェイレン・ワドル(WR)の活躍が光った。トゥア・タゴバイロア(QB)の調子も上がってきており、故障の影響は脱したようだ。守備陣も後半も厳しい戦いをよく凌いだ。

13. シンシナティ・ベンガルズ、4勝4敗、 (7)

ベンガルズはこれからしばらくジャマール・チェイス(WR)を欠くことになる。大きな痛手だ。その影響はクリーブランド・ブラウンズで早くも現れた。試合後半に入るまで、攻撃陣がまったく無力だったのだ。大敗を喫してしまい、守備陣にもテコ入れが必要とされている。

14. ニューヨーク・ジェッツ、5勝3敗、 (8)

ジェッツはラン攻撃を活用しないかぎり勝機はない。ザック・ウィルソン(QB)に頼るのは無理がある。ニューイングランド・ペイトリオッツ戦ではまさにそのような展開になってしまった。ブリース・ホール(RB)を故障で欠いてしまい、プレーオフ進出は難しくなった。あるいはジョー・フラッコ(QB)を起用することも考えられる。

15. タンパベイ・バッカニアーズ、 3勝5敗、 (14)

バッカニアーズの根本的な問題は攻撃と守備の前列に力強さが欠けていることだ。トム・ブレイディ(QB)も自信を失っているように見える。チームの状況を立て直すための時間はあまり残されていない。

16. ロサンゼルス・ラムズ、3勝4敗、 (16)

ラムズの攻撃陣は49ers戦開始直後には調子を取り戻したように見えたが、すぐに失速してしまった。ラン攻撃がまったくなく、パスを受けるレシーバー陣も万全ではなかった。マシュー・スタッフォード(QB)の動きはさほど悪くはないが、守備陣の穴は気がかりな状態だ。

Matthew Stafford, Osa Odighizuwa
(Getty Images)

17. グリーンベイ・パッカーズ、3勝5敗、 (17)

パッカーズは敵地バッファローでのビルズ戦で健闘したと言えるだろう。ラン攻撃と守備には見るべきところはあった。しかし故障者が続出し、経験に乏しい選手に頼らざるをえない状況には変わりはなく、ビルズ相手にははっきりと戦力不足だった。アーロン・ロジャース(QB)はもはや楽観視していられるときではなくなった。

18. ニューイングランド・ペイトリオッツ、4勝4敗、 (20)

ペイトリオッツの守備陣はシカゴ・ベアーズ戦での失敗から立て直し、ジェッツ戦ではウィルソン(ジェッツQB)を見事に抑え込んでみせた。依然としてマック・ジョーンズ(QB)のパフォーマンスは不足しているが、ラン攻撃に活路を見出し、勝率を5割に戻した。もっとも激戦区のAFC東地区ではまだ最下位だ。

19. ワシントン・コマンダース、4勝4敗、 (21)

コマンダースはまたしてもテイラー・ハイニッケ(QB)の活躍でインディアナポリス・コルツから僅差で勝利をもぎ取った。サム・エーリンガー(ジェッツQB)に打ち勝ち、故障中のカーソン・ウェンツ(QB)のリベンジを引き受けた形になった。ただし、急にNFLきっての激戦区となったNFC東地区ではコマンダースはまだ最下位である。

20. アトランタ・ファルコンズ 、4勝4敗、 (22)

ファルコンズはマーカス・マリオタ(QB)の活躍でカロライナ・パンサーズから貴重な勝利をあげた。不調が続く守備陣を見事にカバーした。シーズン中盤で勝率5割に達し、誰もが予想しなかったNFC南地区の首位に躍り出た。

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(Getty Images)

21. インディアナポリス・コルツ、3勝4敗1分け、 (18)

コルツはサム・エーリンガー(QB)によって攻撃力が少しだけ向上した。しかし、ジョナサン・テイラー (RB)が復帰したものの本調子からはほど遠く、かつて持っていた勝利の方程式が機能しないままだ。

22. アリゾナ・カーディナルス、3勝5敗、 (19)

カーディナルスの攻撃陣は強化された。ディアンドレ・ホプキンス(WR)が戻り、カイラー・マレー(QB)との連携も良い。しかし守備陣があまりにも相手パスのビッグプレイを許し過ぎるうえ、大事な場面でのラン攻撃にも弱い。小さな失敗が重なり、大きな敗北に繋がってしまった。

23. ニューオーリンズ・セインツ、3勝5敗、 (28)

セインツはアンディ・ダルトン(QB)、アルビン・カマラ(RB)、そしてクリス・オレイブ(WR)らの攻撃陣の組み立てに苦労している。しかし、デニス・アレン(ヘッドコーチ)が本当に必要としていたのはラスベガス・レイダース戦のような守備陣のパフォーマンスだった。NFC南地区のタイトル争いレースに戻ってきた。

24. クリーブランド・ブラウンズ、3勝5敗、 (29)

ブラウンズの攻撃陣はジャコビー・ブリセット(QB)がニック・チャブ(RB)とアマリ・クーパー(WR)を上手く使い、月曜夜の試合で勝利を挙げ、AFC北地区の首位争いレースに戻ってきた。この調子を安定して維持できるか、とくに守備陣がカギとなる。

25. デンバー・ブロンコス、3勝5敗、 (27)

ブロンコスはロンドンで行われたジャクソンビル・ジャガーズ戦でラッセル・ウィルソン(QB)に関わるすべての問題を解決したわけではない。しかし攻撃陣は全体に上向いてきた。守備陣の土台も力強いままだが、ラン攻撃に対して穴がある。

26. ラスベガス・レイダース、2勝5敗、 (25)

何が起きたのだろうか。レイダースの守備陣はけっして万全ではないセインツの攻撃陣に圧倒されてしまった。元ヘッドコーチのデニス・アレン(現セインツ)の絵に描いたようなリベンジを許してしまった。デレック・カー(QB)、ジョシュ・ジェイコブス(RB)ら攻撃陣はジョシュ・マクダニエルズ(ヘッドコーチ)の期待にまったく応えることはできなかった。ブロンコスに代わって、AFC西地区で最も期待外れのチームとなってしまっている。

27. シカゴ・ベアーズ、3勝5敗、 (24)

ベアーズはランを多用する積極果敢な攻撃を見せている。ジャスティン・フィールズ(QB)のスピードも上がってきた。しかし守備陣はランに対してもパスに対しても弱すぎる。

28. ピッツバーグ・スティーラーズ、2勝6敗、 (25)

スティーラーズはどうやらマイク・トムリン(ヘッドコーチ)がキャリア初となる負け越しシーズンに向かっているようだ。攻撃陣も守備陣も世代交代がまったく上手く行っていない。2023年に浮上するためには、若い選手たちに出場機会を与え続けていくべきだろう。

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29. ジャクソンビル・ジャガーズ、2勝6敗、 (26)

ジャガーズは雨天での戦いでイーグルスに負けて以来、まったく浮かび上がる気配がない。トラビス・エティエンヌ・ジュニア(RB)と若い守備陣は随所で輝きを見せているが、トレバー・ローレンス(QB)がシーズン前半の調子を取り戻さないうちは勝機を見出すことはできない。

30. カロライナ・パンサーズ、2勝6敗、 (30)

パンサーズはP.J. ウォーカー(QB)とドンタ・フォアマン(RB)が攻撃陣を引っ張り、ファルコンズを追い詰めた。しかし勝利をもぎ取るには攻守ともに安定性に欠けていた。

31. ヒューストン・テキサンズ 、1勝5敗1分け、 (31)

テキサンズは相手のランに対して無力でありすぎる。デービス・ミルズ(QB)はパスを投げるためのカバーを受けられないでいる。ラビー・スミス(ヘッドコーチ)は来シーズンのためにドラフトで大物QBの獲得と守備陣強化を必要とするだろう。

32. デトロイト・ライオンズ、1勝6敗、 (32)

ライオンズの攻撃陣はジャレッド・ゴフ(QB)の周りに駒が揃っているときは得点能力がある。しかし守備陣があまりにも無力なため、どれだけリードしてもそれを守り切ることができない。

原文: NFL power rankings: 49ers, Seahawks surge as NFC contenders; Raiders, Steelers flirt with worst for Week 9
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部

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Vinnie Iyer

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Vinnie Iyer, has been with TSN since 1999, not long after graduating from Northwestern University’s Medill School of Journalism. He has produced NFL content for more than 20 years, turning his attention to full-time writing in 2007. A native of St. Louis, Mo. but now a long-time resident of Charlotte, N.C. Vinnie’s top two professional sports teams are Cardinals and Blues, but he also carries purple pride for all things Northwestern Wildcats. He covers every aspect of the NFL for TSN including player evaluations, gambling and fantasy football, where he is a key contributor. Vinnie represents TSN as host of the “Locked On Fantasy Football” podcast on the Locked On network. Over his many years at TSN, he’s also written about MLB, NBA, NASCAR, college football, tennis, horse racing, film and television. His can’t-miss program remains “Jeopardy!”, where he was once a three-day champion and he is still avid about crossword puzzles and trivia games. When not watching sports or his favorite game show, Vinnie is probably watching a DC, Marvel or Star Wars-related TV or movie.