NFLパワーランキング 10/25版:負け続けるパッカーズとバッカニアーズはパニック状態 - 第8週目を前にカウボーイズ、ベンガルズ、シーホークスが上昇

Vinnie Iyer

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第7週目を終えて、昨季好調にあったチームたちが勝ち星から遠ざかっている現状が浮き彫りになってきたNFL2022-23年シーズン。低迷する強豪軍団の何が原因なのか、本誌ビニー・アイヤー(Vinnie Iyer)記者が最新パワーランキングで解説する。

NFL2022-23年シーズンの第8週目を前に、スポーティングニュースのパワーランキングで2強と目されるチームには変動はなかった。NFCのフィラデルフィア・イーグルスとAFCのバッファロー・ビルズはどちらも試合がなく、それぞれのカンファレンスでトップの位置に留まった。両チームとも依然としてス―パーボウル57進出の最有力候補である。しかし、第7週目ではそれ以外のチームには大きな動きがあった。

ニューヨークに本拠地を置く2チーム、ジャイアンツ(NFC東地区)とジェッツ(AFC東地区)がともに勝ち、それぞれイーグルスとビルズのすぐ後ろで2位となっている。もはやこの勢いは本物であると誰もが認めざるを得ない。さらに興味深いことはNFCの強豪チームと思われていたタンパベイ・バッカニアーズ、グリーンベイ・パッカーズ、そしてサンフランシスコ・49ersのどれも未だに昨年までの調子を取り戻せていないことだ。

このことは他のチームにとってはチャンスが大きく広がったことを意味する。2022-23年NFLシーズンはさらに混戦の模様を呈してきた。シーズン第8週目を前にした全32チームの状況は以下の通りである。

NFL パワーランキング2022年第8週目

Nick Sirianni
(Getty Images)

ポジション略称:クォーターバック=QB、ランニングバック=RB、ワイドレシーバー=WR、タイトエンド=TE、ガード=G、オフェンシブタックル=OT、ディフェンシブタックル=DT、ディフェンシブエンド=DE、ラインバッカー=LB、コーナーバック=CB、セーフティ=S、オフェンシブガード=OG、プレースキッカー=PK

1. フィラデルフィア・イーグルス、6勝0敗、 (前回の順位:1)

イーグルスは試合がなく、休息を取ることができた。同じフィラデルフィアに本拠地を置くMLBチーム、フィリーズがナショナル・リーグのタイトルを制し、ワールドシリーズに進出するという快挙もあった。イーグルスもまたNFLでチャンピオンの座を狙っている。 ジェイレン・ハーツ(QB)が率いる多彩な攻撃陣と守備陣は圧倒的な実力を見せつけている。しかもこれからしばらくは格下チームとの対戦が続く。イーグルスが無敗のまま12月を迎える可能性はかなり高い。

2. バッファロー・ビルズ、 5勝1敗、(2)

ビルズも今週は試合がなかった。敵地カンザスシティでチーフスから貴重な勝利をあげた後、休息を取ることができた。シーズン後半に向けてチームはより良い状態となり、AFCトップのステータスをさらに強固なものにした。これからのビルズの課題はスーパーボウル優勝最有力候補としてプレーオフに進出することだ。そのためにNo.1シードと本拠地アドバンテージを確実にして、シーズンを終えることが重要になる。

3. カンザスシティ・チーフス、 5勝2敗、(3)

チーフスはサンフランシスコ・49ersに大勝し、前週にビルズとの接戦で敗れたフラストレーションを追いやった。パトリック・マホームズ(QB)の多彩な攻撃は冴え、守備陣は重要な場面でビッグプレイを連発した。NFCのタイトルを狙うチームを敵地で撃破したことは称賛に値する。

4. ニューヨーク・ジャイアンツ、6勝1敗、 (4)

ジャイアンツの勢いが本物であることにもはや疑いの余地はない。セイクワン・バークリー(RB)の体調が良いことで攻撃陣が力づいているうえ、ダニエル・ジョーンズ(QB)のパス、ラン、そしてリーダーシップは際立っている。守備陣も安定した力を保っている。

5. ミネソタ・バイキングス、5勝1敗、 (5)

バイキングスも試合がなかった。イーグルスやビルズのような派手さはないが、ジャスティン・ジェファーソン(WR)とダルビン・クック(RB)ら攻撃陣は前評判通りの活躍を見せ、新しいスタイルの守備陣はすべての面で理想的な補強が完成している。NFC北地区では他を寄せ付けない独走態勢に入ったようにさえ見える。

Dak Prescott
(Getty Images)

6. ダラス・カウボーイズ、5勝2敗、 (9)

カウボーイズにダン・プレスコット(QB)が戻ってきた。本来の調子ではなかったようだが、それでもラン攻撃と守備陣からの強力なサポートに助けられ、待ちに待った復帰戦を勝利で飾ることができた。カウボーイズの攻撃陣はこれからプレスコットを中心にますます良くなり、チームは万全の状態となるだろう。

7. シンシナティ・ベンガルズ、4勝3敗、 (11)

ベンガルズの攻撃陣は不調から抜け出した。ジョー・バロウ(QB)とジャマール・チェイス(WR)はふたたびビッグプレイを連発するようになった。ティー・ヒギンズ(WR)、タイラー・ボイド(WR)、そしてジョー・ミクソン(RB)の働きも大きかった。守備陣はリードしている状況ではパス攻撃に対する強みを取り戻すことができる。

8. ニューヨーク・ジェッツ、5勝2敗、 (14)

ジェッツには派手な得点シーンはあまりない。新人のブリース・ホール(RB)がいなければ、もっと苦しい状況に陥っていただろう。ロバート・サレー(ヘッドコーチ)は守備陣を見事に立て直した。このチームがAFCのワイルドカード枠争いに名乗りを挙げるとは誰も予想しなかったことだ。この勢いを保つためにはザック・ウィルソン(QB)のパス攻撃が目覚めることが必要である。

9. ボルティモア・レイブンズ、4勝3敗、 (13)

レイブンズはクリーブランド・ブラウンズ戦でまたしても第4クォーターで追い上げにあったが、守備陣と伝統的なラン攻撃によってなんとか試合を乗り切った。マーク・アンドリュース(TE)が故障したが、ラマー・ジャクソン(QB)はビッグプレイのターゲットを見つけたようである。守備陣にはまだ課題は多いが、状況は上向いてきている。

10. テネシー・タイタンズ 、4勝2敗、 (10)

タイタンズはマイク・ブラベル(ヘッドコーチ)の指揮下であまり良い材料が見つけられない。守備陣はランに対してもパスに対しても穴だらけであるし、攻撃陣は戦力不足である。それでもシーズン開幕直後にジャイアンツとビルズに連敗した後、戦績をここまで戻してきた。AFC南地区の連覇も視野に入ってきた。

Kenneth Walker
(Getty Images)

11. シアトル・シーホークス、4勝3敗、 (20)

シーホークスはニューヨーク以西ではNFL最大のサプライズである。ジーノ・スミス(QB)とケン・ウォーカー(RB)が中心の攻撃陣は依然として効率的であり、若い選手で固めた守備陣も向上している。ピート・キャロル(ヘッドコーチ)とシェーン・ウォルドロン(攻撃コーディネーター)の指導力は称賛に値する。

12. ロサンゼルス・チャージャーズ、4勝3敗、 (6)

チャージャーズは故障者が相次いでいる。キーナン・アレン(WR)が復帰した途端、マイク・ウィリアムズ(WR)を失ってしまった。ジャスティン・ハーバート(QB)はパスの受け手が目まぐるしく変わる状況に対応できていない。守備陣もガタガタの状態で期待通りの姿からはほど遠い。

13. マイアミ・ドルフィンズ、4勝3敗、 (18)

ドルフィンズは開幕後3連勝の後に3連敗を喫してしまった。今週ようやく難敵のピッツバーグ・スティーラーズを破り、本拠地での勝利をものにした。中間あたりに位置するチームとなり、攻守のバランスがより求められている。

14. タンパベイ・バッカニアーズ、 3勝4敗、 (7)

バッカニアーズは基本に立ち戻る必要がある。トム・ブレイディ(QB)にビッグプレイを期待することはもはやできない。守備陣をもっと信頼し、ランを主体としたチームになるべきである。今のままでもNFC南地区を制することはできるだろうが、プレーオフ戦線を勝ち抜くことができるかどうかについては疑問符がつく。

15. サンフランシスコ・49ers 、3勝4敗、 (8)

49ersは同じカリフォルニアのライバルであるチャージャーズほどには故障者に悩まされてはいない。しかしニック・ボーサ(DE)らが復帰した後でも守備陣には穴が残り、パトリック・マホームズ(チーフスQB)に対抗できなかった。攻撃陣はクリスチャン・マカフリー(RB)をトレードで獲得した。連勝がかかるロサンゼルス・ラムズ戦を前にして早急な立て直しが求められている。

Christian McCaffrey
(Getty Images)

16. ロサンゼルス・ラムズ、3勝3敗、 (12)

ラムズは試合がなく、ショーン・マクベイ(ヘッドコーチ)はミスが多いマシュー・スタッフォード(QB)と攻撃陣の立て直しをする時間を与えられた。アーロン・ドナルド(DT)とジャレン・ラムジー(CB)ら守備陣もパスに対する弱点を修正できたはずだ。

17. グリーンベイ・パッカーズ、3勝4敗、 (15)

パッカーズはアーロン・ロジャース(QB)に頼れなくなってきている。アーロン・ジョーンズ(RB)とアレン・ラザード(WR)も同様だ。守備陣がラン攻撃に弱いのは相変わらずだが、パス攻撃に対しても穴が見え始めた。3連敗を喫し、NFCのプレーオフ戦線から脱落の危機を迎えているが、よりによって次戦の相手はAFCトップのビルズである。

18. インディアナポリス・コルツ、3勝3敗1分け、 (17)

コルツはジョナサン・テイラー (RB)が復帰したものの、敵地でのテネシー・タイタンズ戦ではマット・ライアン(QB)を中心とした攻撃陣はまたしても振るわなかった。勝てる試合をミスで台無しにしてしまった。守備陣は故障者を出しながらも向上している。

19. アリゾナ・カーディナルス、3勝4敗、 (25)

カーディナルスにディアンドレ・ホプキンス(WR)が戻ってきた。カイラー・マレー(QB)はまるで翼を与えられたように調子を取り戻した。守備陣はビッグプレイで責任を果たしているうえ、伝統的なラン攻撃はマレーを助けている。突然低調になったNFC西地区のタイトルレースに戻ってきたと言えるだろう。

20. ニューイングランド・ペイトリオッツ、3勝4敗、 (16)

何が起きたのだろうか。ペイトリオッツはベイリー・ザッピー(QB)とマック・ジョーンズ(QB)の間で揺れている。攻撃陣はシカゴ・ベアーズにやられっ放しであったし、守備陣はラン攻撃に対して無力だった。次戦の相手は勢いに乗るジェッツだ。厳しい戦いが予想される。

Taylor Heinicke
(Getty Images)

21. ワシントン・コマンダース、3勝4敗、 (28)

コマンダースはカーソン・ウェンツ(QB)を故障で欠き、テイラー・ハイニッケ(QB)に頼らざるを得なかった。それが好結果に繋がり、ほかの攻撃陣もはつらつとしたプレイでパッカーズから勝利をもぎ取った。ロジャース(パッカーズQB)のパスを封じた守備陣の働きはさらに大きいものだった。

22. アトランタ・ファルコンズ 、3勝4敗、 (19)

ファルコンズはベンガルズ戦でラン攻撃を最大限に活用し、マーカス・マリオタ(QB)の力を十分以上に引き出した。しかし、守備陣は早い段階で崩壊してしまい、逆転を目指す攻撃陣の熱に水をかける結果になった。

23. ラスベガス・レイダース、2勝4敗、 (27)

レイダースはジョシュ・ジェイコブス(RB)を中心にラン攻撃を多用するようになってから調子を取り戻した。デレック・カー(QB)が不調にあえいでいる現在では最良の選択だ。守備陣が単調な攻撃に終始する相手チームを抑え込んだことも大きい。

24. シカゴ・ベアーズ、3勝4敗、 (29)

ベアーズは月曜夜の試合では守備を固める作戦に出た。攻撃陣もラン攻撃を多用すると、ジャスティン・フィールズ(QB)から今シーズン最高のパフォーマンスを引き出し、ペイトリオッツから大きな勝利をあげた。

25. ピッツバーグ・スティーラーズ、2勝5敗、 (22)

スティーラーズはケニー・ピケット(QB)がなにか特別なものを見せているが、思わしい結果はまだ出ていない。新人らしい思い切ったビッグプレイはときに大きなミスにつながってしまう。守備陣は健闘している。マイク・トムリン(ヘッドコーチ)は今までにシーズンを負け越したことがない。その真価を証明するべきときだ。

26. ジャクソンビル・ジャガーズ、2勝5敗、 (23)

ジャガーズは早くも今シーズンのAFC南地区タイトルレースから脱落しつつある。トレバー・ローレンス(QB)は依然として極端に不安定である。トラヴィス・エティエンヌ・ジュニア(RB)らのラン攻撃は調子を上げてきたが、守備陣はシーズン序盤の好調が噓のように低調である。故障者が多く、経験の乏しい選手に頼らざるを得ない状況だ。

Getty

27. デンバー・ブロンコス、2勝5敗、 (21)

ブロンコスは先週まではラッセル・ウィルソン(QB)と攻撃陣が振るわなかった。ブレット・リピエン(QB)に代わっても状況は変わらなかった。チームは危機的な位置にある。次の2試合はともに敵地でジャガーズとタイタンズが対戦相手であるが、このままではそこでプレーオフ進出が絶望的になってしまいかねない。

28. ニューオーリンズ・セインツ、2勝5敗、 (24)

セインツはそろそろ確固としたQBの方針を決めなくてはいけない時期に来ている。デニス・アレン(ヘッドコーチ)が期待をかけた守備陣もとくにラン攻撃に対して弱すぎる。昨季に引退したドリュー・ブリーズの真の後継者が必要とされている。

29. クリーブランド・ブラウンズ、2勝5敗、 (26)

ブラウンズの攻撃陣は戦力不足であるし、守備陣にはミスが多すぎる。ケビン・ステファンスキー(ヘッドコーチ)はデショーン・ワトソン(QB)が戻ってくる前にチームが完全に崩壊することを防がなくてはいけない。ラン攻撃が唯一頼みの綱だ。

30. カロライナ・パンサーズ、2勝5敗、 (32)

パンサーズは暫定ヘッドコーチのスティーブ・ウィルクス指揮下でP.J. ウォーカー(QB)、チュバ・ハバード(RB)、そしてドンタ・フォアマン(RB)らが奮起した。誰もが予想しなかったバッカニアーズからの大金星は感動的な瞬間だった。

Chuba Hubbard, DOnta Foreman
(Getty Images)

31. ヒューストン・テキサンズ 、1勝4敗1分け、 (30)

テキサンズは攻撃面では新人のダメオン・ピアース(RB)が活躍しているなどの好材料がある。パスに対する守備力も悪くはない。しかしデービス・ミルズ(QB)は結果を出すことができていない。ラビー・スミス(ヘッドコーチ)が期待するほどには守備陣も振るわず、とくにラン攻撃に対して脆さが目立ち始めている。

32. デトロイト・ライオンズ、1勝5敗、 (31)

ライオンズはシーズン前にHBO Maxのテレビシリーズ『Hard Knocks』で取り上げられた熱がすっかり冷めてきてしまった。ダン・キャンベル(ヘッドコーチ)の指揮下でチームは以前の弱い状態に戻ってしまっている。守備陣はまったく相手の攻撃に対応できていないし、攻撃陣には故障者が相次いでいる。

原文: NFL power rankings: Plunging Packers, Buccaneers in panic mode; Cowboys, Bengals, Seahawks climb for Week 8
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部

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Vinnie Iyer

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Vinnie Iyer, has been with TSN since 1999, not long after graduating from Northwestern University’s Medill School of Journalism. He has produced NFL content for more than 20 years, turning his attention to full-time writing in 2007. A native of St. Louis, Mo. but now a long-time resident of Charlotte, N.C. Vinnie’s top two professional sports teams are Cardinals and Blues, but he also carries purple pride for all things Northwestern Wildcats. He covers every aspect of the NFL for TSN including player evaluations, gambling and fantasy football, where he is a key contributor. Vinnie represents TSN as host of the “Locked On Fantasy Football” podcast on the Locked On network. Over his many years at TSN, he’s also written about MLB, NBA, NASCAR, college football, tennis, horse racing, film and television. His can’t-miss program remains “Jeopardy!”, where he was once a three-day champion and he is still avid about crossword puzzles and trivia games. When not watching sports or his favorite game show, Vinnie is probably watching a DC, Marvel or Star Wars-related TV or movie.