今シーズン前半のハイライトといえる対戦があった第6週は、予想通りの結果となった一方、カンファレンス優勝候補の後退も見られた。そんな浮き沈みを反映したパワーランキングをビニー・アイヤー(Vinnie Iyer)記者が伝える。
NFL2022-23年シーズンの第6週目では全米の注目を集めた2試合が組まれた。スポーティングニュースのパワーランキングで2強と目されるチームがそれぞれ強豪と対戦し、どちらもその強さを見せつけた。しかし、それ以外のNFCとAFCのリーグ制覇を狙うチームにとっては厳しい結果が多かった。その一方で番狂わせを演じたチームは勢いづいた。
両カンファレンスのトップ順位には変動はない。NFCのフィラデルフィア・イーグルスとAFCのバッファロー・ビルズはともにライバルチームから貴重な勝利をあげた。NFCの各地区はどこもタイトルレースが接戦となり、AFCの方はワイルドカード枠争いがさらに混沌としてきた。
今週は4チームに試合がない。シーズン第7週目を前にした全32チームの状況は以下の通りである。
NFL パワーランキング2022年第7週目
ポジション略称:クォーターバック=QB、ランニングバック=RB、ワイドレシーバー=WR、タイトエンド=TE、ガード=G、オフェンシブタックル=OT、ディフェンシブタックル=DT、ディフェンシブエンド=DE、ラインバッカー=LB、コーナーバック=CB、セーフティ=S、オフェンシブガード=OG、プレースキッカー=PK
1. フィラデルフィア・イーグルス、6勝0敗、 (前回の順位:1)
イーグルスはダラス・カウボーイズという難敵を打ち破った。効率的、爆発的、そしてバランスがとれた攻撃陣の働きが光った。ビッグプレイが代名詞になりつつあるダリアス・スレイ(CB)ら守備陣のパス守備が冴え、クーパー・ラッシュ(カウボーイズQB)を抑え込んだ。ただし試合後半に失速する傾向があることが気がかりだ。全勝を守るにはその部分の対策が必要となるはずだ。
2. バッファロー・ビルズ、 5勝1敗、(2)
ビルズはカンザスシティ・チーフス戦でジョシュ・アレン(QB)ら攻撃陣がいくつかのミスを冒した。しかし最後にはボン・ミラー(LB)のパスラッシュと守備陣2列目の積極的なプレイがパトリック・マホームズ(チーフスQB)を抑え込んだ。現在はAFCのチャンピオンを狙う最右翼であることに疑いの余地はない。
3. カンザスシティ・チーフス、 4勝2敗、(3)
チーフスとマホームズ(QB)はビルズとの接戦に敗れた。あと1回だけ得点機会が足りなかった。マホームズは強化されたビルズ守備陣に阻まれた。しかしまだプレーオフでビルズに雪辱するチャンスは残っている。
4. ニューヨーク・ジャイアンツ、5勝1敗、 (7)
ジャイアンツの勢いは本物だ。イーグルスにゲーム差1で追っており、その1敗もダラス・カウボーイズという強敵に喫したものだ。シーズン序盤は弱い相手に恵まれたが、グリーンベイ・パッカーズとボルティモア・レイブンズに勝利したことで、新人ヘッドコーチのブライアン・ダボールが作り上げたこのチームが全体的に優れていることが誰の目にも明らかになってきた。
5. ミネソタ・バイキングス、5勝1敗、 (8)
バイキングスの新人ヘッドコーチであるケビン・オコンネルもダボール同様に攻撃に重きを置くタイプで、チームを躍進に導いている。カーク・カズンズ(QB)、ダルビン・クック(RB)、ジャスティン・ジェファーソン(WR)、ダム・シーレン(WR)、そしてアーヴ・スミス・ジュニア(TE)といった面々が躍動している。第1週目には昨年のNFC北地区覇者であるグリーンベイ・パッカーズも破っており、同地区首位の座を奪う勢いだ。
6. ロサンゼルス・チャージャーズ、4勝2敗、 (10)
チャージャーズは攻守双方に故障者が相次いでいるが、それでも勝率5割ラインから2勝を積み上げた。月曜夜のデンバー・ブロンコス戦でもジャスティン・ハーバート(QB)とオースティン・エケラー(RB)の活躍で勝利した。
7. タンパベイ・バッカニアーズ、 3勝3敗、 (4)
バッカニアーズはトム・ブレイディ(QB)の調子が良くないようだ。守備陣は健闘している。NFC南地区内の弱い対戦相手に恵まれているうちに、攻撃力を取り戻す必要がある。
8. サンフランシスコ・49ers 、3勝3敗、 (5)
49ersはカロライナ・パンサーズ戦、アトランタ・ファルコンズ戦と敵地での戦いが続いた。その間に守備陣が調子を崩してしまった。カイル・シャナハン(ヘッドコーチ)は古巣のファルコンズを相手から望ましい結果を得ることができなかった。次の相手はかつてスーパーボウルで敗れたことがあるチーフスである。雪辱を期待したいところだ。
9. ダラス・カウボーイズ、4勝2敗、 (6)
カウボーイズはイーグルス戦の後半で追い上げを見せた。しかしあと一歩のところで攻撃力が足りなかった。ダン・プレスコット(QB)が抜けた穴はやはり大きい。試合を接戦に持ち込んだ守備陣の健闘は評価されるべきだ。
10. テネシー・タイタンズ 、3勝2敗、 (13)
タイタンズは試合がなかった。3連勝中でもあり、ハムストリングを痛めたデリック・ヘンリー(RB)にとってもタイミングの良い休息となった。守備陣は限られた戦力のなかで粘り強さを見せている。クビを囁かれていたライアン・タネヒル(QB)はそうした声を黙らせている。
11. シンシナティ・ベンガルズ、3勝3敗、 (14)
ベンガルズは今シーズン攻撃面により多くの問題に直面している。しかしジョー・バロウ(QB)、ジャマール・チェイス(WR)、そしてジョー・ミクソン(RB)は調子を取り戻してきた。守備陣は厳しい戦いを強いられているが、攻撃陣が先手を取ればビッグプレイも出てくるだろう。
12. ロサンゼルス・ラムズ、3勝3敗、 (15)
ラムズはカロライナ・パンサーズの混乱にも助けられ、3連敗を免れた。マシュー・スタッフォード(QB)はまたも重大なミスを冒したが、ショーン・マクベイ(ヘッドコーチ)とチームによって助けられた。パスとランを広範囲に散らす作戦が功を奏した。守備陣も調子を取り戻した。
13. ボルティモア・レイブンズ、3勝3敗、 (9)
レイブンズはジャイアンツの反撃に屈し、試合後半で逆転負けを喫した。ラマー・ジャクソン(QB)のパス攻撃をもっと積極的に活用するべきであるし、守備陣はもっとパスに対応できなくては、今後もフラストレーションが募る戦いが続くだろう。
14. ニューヨーク・ジェッツ、4勝2敗、 (16)
ジェッツは同じニューヨークに本拠地を置くジャイアンツに続いてグリーンベイ・パッカーズを破ってみせた。守備に重きを置くロバート・サレー(ヘッドコーチ)の指揮下で新人のソース・ガードナー(CB)を始めとして多くの変革が成功しつつある。攻撃陣は新人のブリース・ホール(RB)らのラン攻撃でザック・ウィルソン(QB)を後押ししている。
15. グリーンベイ・パッカーズ、3勝3敗、 (11)
何が起きてしまったのだろうか。パッカーズはロンドンと本拠地ランボー・フィールドを行き来している間にすっかり調子を崩してしまったようだ。攻撃陣はもっとランを活用するべきだったし、守備陣は相手のランを防ぐべきだった。アーロン・ロジャース(QB)のパス攻撃もジャイレ・アレクサンダー(CB)のパス守備もサポートする戦力が不足しているからだ。
16. ニューイングランド・ペイトリオッツ、3勝3敗、 (17)
ペイトリオッツの守備陣はすべてのポジションにおいてビル・ベリチック(ヘッドコーチ)が望むレベルに達し、かつ試合ごとに成長している。ラモンドレ・スティーブンソン(RB)を始めとしてラン攻撃が非常に良い。しかしワイルドカード争いに戻ってきたことはベイリー・ザッピー(QB)が果たした貢献がさらに大きい。
17. インディアナポリス・コルツ、3勝2敗1分け、 (18)
コルツの攻撃陣はシーズン序盤で崩壊したかのように見えた。だがマット・ライアン(QB)とフランク・ライク(ヘッドコーチ)は立て直しに成功した。ライアンは大事な場面に強く、ジョナサン・テイラー (RB)を故障で欠きながらもラン攻撃が調子を上げてきた。マイケル・ピットマン・ジュニア(WR)とアレック・ピアース(WR)のコンビは急成長を遂げ、相手チームにとって脅威の存在になりつつある。
18. マイアミ・ドルフィンズ、3勝3敗、 (12)
ドルフィンズは開幕後3連勝の後に3連敗を喫してしまった。QBの故障だけに留まる問題ではない。守備陣のカバーリングが不安定で、ラン攻撃にも脆いことを露呈してしまっている。急激にプレーオフ争いから脱落しつつある。
19. アトランタ・ファルコンズ 、3勝3敗、 (25)
ファルコンズはアーサー・スミス(ヘッドコーチ)の指揮の下、毎試合を僅差で健闘している。マーカス・マリオタ(QB)の力を最大限に引き出し、ランを主体にしながらも計算されたパス攻撃が功を奏している。守備陣も期待以上の働きを見せているが、CBに故障者が相次いだことで、今後はより厳しい状況が予想される。
20. シアトル・シーホークス、3勝3敗、 (26)
シーホークスの攻撃陣はここまで効率的でもあり多角的でもあり、ときには爆発的でもあった。ジーノ・スミス(QB)とWR, TEといったポジションの選手たちが活躍し、攻撃ライン陣も向上している。新人のケン・ウォーカー(RB)もラン攻撃で輝きを見せ始めている。ピート・キャロル(ヘッドコーチ)は守備陣にも実力以上の力を発揮させようとしているところだ。
21. デンバー・ブロンコス、2勝4敗、 (21)
ブロンコスは月曜夜の試合でAFC西地区のタイトルレースに戻る大きなチャンスを逸した。新加入のラッセル・ウィルソン(QB)と攻撃陣は反撃に及んだが、時間が足りなかった。
22. ピッツバーグ・スティーラーズ、2勝4敗、 (28)
スティーラーズの守備陣はトム・ブレイディ(バッカニアーズQB)に立ち向かった。ラン攻撃も防いでみせた。残念なことに、調子を上げてきていた新人のケニー・ピケット(QB)が脳しんとうを起こしてしまった。第7週目ではマイアミに遠征し、もうひとつのフロリダに本拠地を置くチームとの大事な一戦が控えている。
23. ジャクソンビル・ジャガーズ、2勝4敗、 (21)
ジャガーズは敵地インディアナポリスでのコルツ戦でトレバー・ローレンス(QB)、トラヴィス・エティエンヌ・ジュニア(RB)らの攻撃陣が調子を上げてきた。しかし若い守備陣は成長しているものの、ラン攻撃に対して委縮し始め、パスのビッグプレイも許してしまっている。
24. ニューオーリンズ・セインツ、2勝4敗、 (23)
セインツは強力なランを中心にした攻撃に活路を見出そうとしている。しかし故障者が多く、これまでパスに頼っていた戦略からの転換は上手く行っていない。デニス・アレン(ヘッドコーチ)が期待をかけた守備陣が苦しんでいることが、状況をさらに厳しくしている。
25. アリゾナ・カーディナルス、2勝4敗、 (20)
カーディナルスはクリフ・キングスベリー(ヘッドコーチ)とカイラー・マレー(QB)との間で攻撃意図が混乱に陥っている。ランもレシーバーも戦力が整っているにもかかわらず、である。マーキス・ブラウン(WR)はしばらく戦列を離れそうだが、その代わりにディアンドレ・ホプキンス(WR)が戻ってくる。QBとヘッドコーチには高給に見合う働きが求められるところだ。
26. クリーブランド・ブラウンズ、2勝4敗、 (22)
ブラウンズはジャコビー・ブリセット(QB)に頼る方針が壁に当たっている。ラン攻撃に活路を見出そうとしているが、守備陣があまりにも弱すぎる。このままではデショーン・ワトソン(QB)が戻ってくる前にシーズンの望みが潰えてしまうかもしれない。
27. ラスベガス・レイダース、1勝4敗、 (24)
レイダースは今週試合がなかった。前週チーフスに喫した1点差での敗戦の後で、ダバンテ・アダムス(WR)とチームは休息を必要としていた。ここまで1勝しかしていないチームの中では、レイダースは間違いなく最高ランクだ。これからの3週間はヒューストン・テキサンズ、セインツ、そしてジャガーズが対戦相手となる。まずは勝率5割に戻すことが必要である。
28. ワシントン・コマンダース、2勝4敗、 (31)
コマンダースは派手なプレイこそなかったが、地味にポイントを重ねてシカゴ・ベアーズを破った。カーソン・ウェンツ(QB)が不安定なうえに故障気味であることは憂慮すべきだが、勝率5割を目指すためには守備陣はさらに大きな課題を抱えている。
29. シカゴ・ベアーズ、2勝4敗、 (27)
何が起きたのだろうか。ベアーズはジャスティン・フィールズ(QB)をまったく手助けできなかった。パスのスペースを封じられ、ラン攻撃に頼るしかなかった。守備陣はラン攻撃に対する大きな弱点があるが、それでももう少し働くべきである。
30. ヒューストン・テキサンズ 、1勝3敗1分け、 (29)
テキサンズはジャガーズに勝利し、コルツと引き分けたものの、同地区内の相手には振るわない。守備陣はラビー・スミス(ヘッドコーチ)の期待に応えている。デービス・ミルズ(QB)はもっとダメオン・ピアース(RB)らのラン攻撃力を引き出すべきである。
31. デトロイト・ライオンズ、1勝4敗、 (30)
ライオンズはペイトリオッツ戦でのショッキングな敗戦のあとで1週間の休息を与えられた。攻撃陣には大きな疑問符がついてしまっている。攻撃陣はそこから立ち直ることはできても、元々弱い守備陣にはあまり期待できない。
32. カロライナ・パンサーズ、1勝5敗、 (32)
パンサーズはマット・ルール(元ヘッドコーチ)がチームを去ってからのラムズ戦で攻守ともに健闘はした。暫定ヘッドコーチのスティーブ・ウィルクス指揮下で守備陣はビッグプレイを見せ、クリスチャン・マカフリー(RB)の活躍も光った。しかしそれでも十分ではない。
原文:NFL power rankings: Surprising Giants, Jets continue to rise; Packers, 49ers, Buccaneers fade for Week 7
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部
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