NFLパワーランキング 10/11版:第6週目を前にカウボーイズ、ジャイアンツ、ジェッツが浮上の一方、パッカーズとドルフィンズがトーンダウン

Vinnie Iyer

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5周目を終えたNFL2022-23シーズンにおいて最大の驚きはニューヨーク・ジェッツだろう。好調と不調が明確になりつつある現状を反映したパワーランキングをビニー・アイヤー(Vinnie Iyer)記者が伝える。

NFL2022-23年シーズンが第6週目に入る。フィラデルフィア・イーグルスが無敗を守り、強敵揃いのNFC東地区で首位を走っている。しかし意外な快進撃を続けている緑色のユニフォームを着たチームはイーグルスだけではない。突如としてAFCのニューヨーク・ジェッツが勝率5割を越えた。これはイーグルス以上に大方の予想を上回る現象かもしれない。

ニューヨークのもう一つのチーム、青いユニフォームを着たジャイアンツは緑色のユニフォームを着たもう一つのチームであるグリーンベイ・パッカーズを破ってみせた。ジャイアンツもまたシーズン序盤の快進撃を引き起こした実力が本物であったことを証明した。ダラス・カウボーイズは4連勝を飾った。イーグルス、ジャイアンツ、そしてカウボーイズが所属するNFC東地区はまさに激戦区である。

スーパーボウルを狙ういくつかの強豪チームが実力を見せつけるなか、中間あたりのチームには浮き沈みがあった。下位グループにも意外な変動があった。

シーズン第6週目を前にした全32チームの状況は以下の通りである。

NFL パワーランキング2022年第6週目

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(Getty Images)

ポジション略称:クォーターバック=QB、ランニングバック=RB、ワイドレシーバー=WR、タイトエンド=TE、ガード=G、オフェンシブタックル=OT、ディフェンシブタックル=DT、ディフェンシブエンド=DE、ラインバッカー=LB、コーナーバック=CB、セーフティ=S、オフェンシブガード=OG、プレースキッカー=PK

1. フィラデルフィア・イーグルス、5勝0敗、 (前回の順位:1)

ジェイレン・ハーツ(QB)とイーグルスの攻撃陣は敵地アリゾナで行われたカーディナルス戦でやや低調だった。いくつかの作戦上のミスもあった。しかし守備陣は十分な働きでカイラー・マレー(カーディナルスQB)を抑え込んだ。この試合を制したイーグルスは来週日曜夜(日本時間17日)にダラス・カウボーイズとの最初の直接対決に臨む。

2. バッファロー・ビルズ、 4勝1敗、(2)

ビルズはジョシュ・アレン(QB)が本来の実力を発揮した。伝統的だが弱体化してしまっているラン攻撃に偏ることがなかったし、守備陣の故障者が相手につけいる隙を与えることも心配する必要もなかった。次戦の相手はプレーオフの再戦となるパトリック・マホームズ(QB)率いるカンザスシティ・チーフスである。アレンは良いタイミングで本調子を取り戻したと言えるだろう。

3. カンザスシティ・チーフス、 4勝1敗、(3)

マホームズとチーフスの攻撃陣は覚醒した。タンパベイ・バッカニアーズを相手に大量点をあげ、第5週目ではラスベガス・レイダースの守備陣を打ち破った。トラビス・ケルシー(TE)の貢献は大きかった。次戦のビルズ戦は稀に見るほどの大量得点の試合が予想される。

4. タンパベイ・バッカニアーズ、 3勝2敗、 (6)

バッカニアーズは2連敗の後にアトランタ・ファルコンズと対戦した。調子を取り戻すには格好の相手だった。トム・ブレイディ(QB)とレナード・フォーネット(RB)の働きが大きかった。しかし守備陣にはまた穴ができてしまったようだ。続く2戦の相手も格下のピッツバーグ・スティーラーズとカロライナ・パンサーズだ。この間に弱点を潰しておかなくてはならないだろう。

5. サンフランシスコ・49ers 、3勝2敗、 (7)

49ersはバランスの良い守備陣と伝統的なラン攻撃が力を発揮している。ジミー・ガロポロ(QB)のパスも効果的だ。バランスが取れた戦力はこのまま優位にシーズンを終える可能性を感じさせる。ニック・ボーサ(DE)の状態だけが気がかりだ。

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Getty Images

6. ダラス・カウボーイズ、4勝1敗、 (9)

カウボーイズにとってスーパーサブ的な扱いだったクーパー・ラッシュ(QB)はすべての戦力を上手く使っている。守備陣はさらに圧倒的で、攻撃陣の負担を軽減している。マイク・マッカーシー(ヘッドコーチ)の手腕は素晴らしい。ケレン・ムーア(攻撃コーディネーター)とダン・クイン(守備コーディネーター)の作戦も的確だ。

7. ニューヨーク・ジャイアンツ、4勝1敗、 (13)

ジャイアンツはシーズン序盤に弱い相手から勝利を重ねてきた。その対戦相手にはテネシー・タイタンズ、カロライナ・パンサーズ、そしてシカゴ・ベアーズが含まれる。しかしグリーンベイ・パッカーズを相手に試合後半で逆転勝利を演じた攻守の冴えには驚かされた。新ヘッドコーチのブライアン・ダボールはこのチームをNFC東地区の優勝候補にまで押し上げている。

8. ミネソタ・バイキングス、4勝1敗、 (8)

バイキングスは派手なプレイをあまり見せない。攻守ともに泥臭く、粘り強い姿勢で勝ちに徹している。ここまで喫した唯一の敗戦の相手が無敗のイーグルスであることは称賛に値する。チームを首位に導いているケビン・オコンネル(ヘッドコーチ)の手腕は高く評価されるべきだ。

9. ボルティモア・レイブンズ、3勝2敗、 (10)

レイブンズは本拠地で同地区内のライバルであるシンシナティ・ベンガルズに逆転勝利した。それも第4クォーターに見事な守備の調整能力を見せつけたものだった。これによってAFC北地区の首位に取って代わった。ラマー・ジャクソン(QB)はMVP候補に挙げられるべき活躍を続けている。

10. ロサンゼルス・チャージャーズ、3勝2敗、 (16)

チャージャーズはジャスティン・ハーバート(QB)のパスを受けるレシーバー陣が戦力不足に陥っているなか、オースティン・エケラー(RB)が爆発的なラン攻撃でチームを引っ張っている。ジョーイ・ボーサ(LB)とケネス・マレー(LB)を欠いてしまっている守備陣にも救世主が欲しいところだ。

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11. グリーンベイ・パッカーズ、3勝2敗、 (4)

パッカーズは守備陣が崩壊してしまった。攻撃陣にも故障者が相次ぎ、ジャイアンツ相手に手痛い敗北を喫してしまった。アーロン・ロジャース(QB)はパスを受けるレシーバー陣とラン攻撃陣との間で意思疎通に問題をきたしているようだ。

12. マイアミ・ドルフィンズ、3勝2敗、 (5)

ドルフィンズの攻撃陣はトゥア・タゴヴァイロア(QB)を欠いた混乱から、今度は新人QBのスカイラー・トンプソンが未熟さを露呈してしまっている。守備陣もニューヨーク・ジェッツの多彩な攻撃に対抗するシナリオを維持できなかった。

13. テネシー・タイタンズ 、3勝2敗、 (18)

タイタンズはシーズン開幕直後の2連敗から立ち直った。AFC南地区でインディアナポリス・コルツと並ぶ2強の位置に戻ってきた。デリック・ヘンリー(RB)がいつもの攻撃力を見せているうえ、マイク・ブラベル(ヘッドコーチ)はハロルド・ランドリー(LB)を欠いた守備陣の立て直しにほぼ成功している。

14. シンシナティ・ベンガルズ、2勝3敗、 (11)

ベンガルズはジョー・バロウ(QB)の周りを固める攻撃陣の方向性を見出せていない。ティー・ヒギンズ(WR)が故障し、チームはジャマール・チェイス(WR)をより使うことになるだろう。これから来月にかけては有利な日程に恵まれるため、チームの立て直しをするには好機である。

15. ロサンゼルス・ラムズ、2勝3敗、 (12)

ラムズの攻撃陣は混乱の極みにある。マシュー・スタッフォード(QB)の投げるパスはまるでターンオーバー献上マシンと化してしまっている。頼みの綱はクーパー・カップ(WR)だけだ。アーロン・ドナルド(DT)と守備陣にはまったく良いところがない。

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16. ニューヨーク・ジェッツ、3勝2敗、 (22)

ジェッツは徐々にロバート・サレー(ヘッドコーチ)のチーム立て直しが功を奏し始めた。ザック・ウィルソン(QB)の周りと守備陣が大きく生まれ変わった。ドルフィンズの不運にも助けられ、長く続いたAFC東地区での連敗を止めた。

17. ニューイングランド・ペイトリオッツ、2勝3敗、 (21)

ペイトリオッツはマック・ジョーンズ(QB)の代わりに、新人のベイリー・ザッピー(QB)を起用した。しかしランに主体を置いた攻撃で、QB交代による影響はそれほどなかった。それよりも若手中心の守備陣が伝統的なスタイルで完封劇を演じたことには驚かされた。またしても奇跡的なワイルドカード進出にむけて、大きな飛躍を遂げたと言えるだろう。

18. インディアナポリス・コルツ、2勝2敗1分け、 (26)

コルツの攻撃陣はジョナサン・テイラー (RB)が故障で欠き、マット・ライアン(QB)の周りは機能しなかった。しかしフランク・ライク(ヘッドコーチ)の指揮下で粘り強い勝利を挙げた。守備陣とライアンの後半の働きに助けられた。予想通り、弱いAFC南地区内では上位を狙える位置にある。

19. デンバー・ブロンコス、2勝3敗、 (14)

何が起きたのだろうか。ブロンコスは本拠地にコルツを迎えた試合で延長戦にまでもつれ込んだが、終始守りの姿勢でフィールドゴールに頼り、ラッセル・ウィルソン(QB)を活かした大事なプレイがひとつもなかった。攻守双方に故障者が相次いでいることがナサニエル・ハケット(ヘッドコーチ)を悩ませている。

20. アリゾナ・カーディナルス、2勝3敗、 (19)

カーディナルスはクリフ・キングスベリー(ヘッドコーチ)の指揮下でカイラー・マレー(QB)を中心とした攻撃陣の立て直しを図っている。しかしディアンドレ・ホプキンス(WR)を欠き、故障者も多い苦しい状況に変わりはない。やはりプレーオフ戦線に戻るためには”Nuk”(ホプキンスの愛称)の存在が不可欠だ。

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21. ジャクソンビル・ジャガーズ、2勝3敗、 (15)

ジャガーズは依然としてトレバー・ローレンス(QB)の活かし方を模索している。本拠地のヒューストン・テキサンズ戦ではそれを露呈してしまった。守備陣に地力はあるが、数少ない失敗しか許されない状況での重大なミスがたたってしまっている。

22. クリーブランド・ブラウンズ、2勝3敗、 (17)

ブラウンズはニック・チャブ(RB)を多用したラン攻撃に活路を見出そうとしているが、守備陣がパスに対してもランに対しても弱すぎる。ジャコビー・ブリセット(QB)も不調で、試合を勝利に導くことができない。

23. ニューオーリンズ・セインツ、2勝3敗、 (28)

セインツはシアトル・シーホークス守備陣の弱点を衝いたラン攻撃とテイサム・ヒル(TE/QB)のパス攻撃が功を奏した。デニス・アレン(ヘッドコーチ)が目指す攻撃のスタイルがようやく姿を現し始めたようである。

24. ラスベガス・レイダース、1勝4敗、 (20)

レイダースの守備陣は予想された通りマックス・クロスビー(DE)の背後がひどすぎ、またしてもチーフスの攻撃陣を防ぎきれなかった。今回は前半に大きなリードを奪いながらも、後半まで持ちこたえることができなかった。今週は試合がないので休息の時間を与えられる。その後にプレーオフ進出の望みをつなげるためにはデレック・カー(QB)の大きな飛躍を必要としている。

25. アトランタ・ファルコンズ 、2勝3敗、 (23)

ファルコンズはアーサー・スミス(ヘッドコーチ)の指揮の下、毎試合を僅差で健闘している。ただ守備陣の大きな穴を埋めるためには、故障の多いマーカス・マリオタ(QB)と攻撃陣の働きがもう一歩及ばない。

(Getty Images)

26. シアトル・シーホークス、2勝3敗、 (24)

シーホークスはジーノ・スミス(QB)が予想以上の活躍を見せている。才能あるワイドレシーバー陣を上手く使っているうえ、新人のケン・ウォーカー(RB)が輝きを見せ始めた。しかし守備陣は予想通りピート・キャロル(ヘッドコーチ)を悩ませ続けており、プレーオフ進出の望みは遠のくばかりだ。

27. シカゴ・ベアーズ、2勝3敗、 (25)

ベアーズはジャスティン・フィールズ(QB)、デビッド・モンゴメリー(RB)、そしてダーネル・ムーニー(WR)を中心とした攻撃陣の調子が上向いてきた。ランを多用した作戦を採っている。しかし守備陣が全体的に弱すぎ、それの穴を埋めるにはさらなる力が必要とされている。

28. ピッツバーグ・スティーラーズ、1勝4敗、 (27)

スティーラーズの守備陣はアレンとビルズのパス攻撃に対抗するには完全に力が及ばなかった。ケニー・ピケット(QB)を中心とした攻撃陣は苛立ちを隠せなかった。T・J・ワット(LB)を欠き、スティーラーズは第1週目にベンガルズを破ったチームとは大きく様変わりしてしまった。今となればその1勝が幸運に思えてくる。

29. ヒューストン・テキサンズ 、1勝3敗1分け、 (32)

テキサンズの守備陣はラビー・スミス(ヘッドコーチ)の期待に応えた。新人のダメオン・ピアース(RB)は好機に大きな働きができることも分かってきた。ジャガーズを破ったことは称賛に値する。

30. デトロイト・ライオンズ、1勝4敗、 (29)

何が起きたのだろうか。これまで大量得点をあげてきたライオンズの攻撃陣は、敵地で行われたビル・ベリチック率いるペイトリオッツ戦で1点もあげることができなかった。そうなると、元々弱い守備陣は何もできなくなる。

Carson Wentz (left) and Ron Rivera (right)
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31. ワシントン・コマンダース、1勝4敗、 (30)

コマンダースはカーソン・ウェンツ(QB)を控えに回すべきだろうか。時折ビッグプレイを見せるが、重要な局面でのミスも多い。守備陣はさらに大きな問題を抱えている現在、チームにとってはそれでも最良の選択肢なのかもしれない。

32. カロライナ・パンサーズ、1勝4敗、 (31)

パンサーズの攻撃陣は強力な守備力を誇る49ersを相手に健闘した。しかし今回はラン攻撃に対抗できず、ベイカー・メイフィールド(QB)はまたもや試合を台無しにする失敗を冒した。マット・ルール(ヘッドコーチ)には時間があまり残されていない。

原文:NFL power rankings: Cowboys, Giants, Jets make big jumps; Packers, Dolphins dive for Week 6
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部

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Vinnie Iyer

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Vinnie Iyer, has been with TSN since 1999, not long after graduating from Northwestern University’s Medill School of Journalism. He has produced NFL content for more than 20 years, turning his attention to full-time writing in 2007. A native of St. Louis, Mo. but now a long-time resident of Charlotte, N.C. Vinnie’s top two professional sports teams are Cardinals and Blues, but he also carries purple pride for all things Northwestern Wildcats. He covers every aspect of the NFL for TSN including player evaluations, gambling and fantasy football, where he is a key contributor. Vinnie represents TSN as host of the “Locked On Fantasy Football” podcast on the Locked On network. Over his many years at TSN, he’s also written about MLB, NBA, NASCAR, college football, tennis, horse racing, film and television. His can’t-miss program remains “Jeopardy!”, where he was once a three-day champion and he is still avid about crossword puzzles and trivia games. When not watching sports or his favorite game show, Vinnie is probably watching a DC, Marvel or Star Wars-related TV or movie.