NFLドラフトの真実:緊張と不安が入り混じるウォールーム【前編】

Jeff Diamond

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NFLドラフト最中のウォールーム(チームの戦略会議室)は、テレビの画面で見ると穏やかで実務的な環境に見えるだろう。しかし、実際にはその真逆だ。

GMやチームのプレジデントとして20年以上もウォールームの中を経験した私の言葉を信頼してほしい。ウォールームの中は見かけ以上に緊迫しており、慌ただしいのだ。

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私が在籍していたバイキングスとタイタンズのウォールームは、どちらも入場に制限がかけられており、室内に入れるのはチームのプレジデント、GM、ヘッドコーチ、人事取締役、スカウト陣、トレーナー、主治医のみだった。場合によっては攻守のコーディネーターが入室を許可されることもあったが、その他のコーチ陣は会議室で待機させられていた(ドラフト前の会議で意見を述べることはできた)。ごくまれにオーナーが顔を出すこともあったが、たいていの場合は第1巡指名が終わると去っていった。

これらウォールーム内部の人間は、自チームより少し前のチームに指名順が回ってきた時に最も活動的になり、神経をすり減らすことになる。

我々はまず、ドラフトまでの数週間でポジションに関係なくランク付けした上位選手のリストの中から、ポジションを配慮してドラフトボード(候補選手のランキング)に載せる選手を選ぶ。そして、チームの意思決定権を持つ人物(たいていの場合はGM)が5名の選手の名前をボード上に貼りつけていく。これが第7巡目までのチームの指名候補者リストとなるのだ。

このリスト内での指名順は、選手の総合的な成績とチームのニーズを合わせた評価に基づいて決められていた。例えば、すでにチーム内に安定した成績を残し、しばらくは引退する可能性もない先発のクォーターバックが在籍している場合、クォーターバックのドラフト候補者は後半までリストの上位に浮上することはないだろう。

このプロセスの最中には常に激しい議論とすれ違いが起こっていたが、最終的には意思決定権を持つ人物が決断を下すことになる。

純粋に質の高い選手を指名するべきなのか、はたまたチームに必要なポジションの選手を指名するべきなのか、という古くからの疑問はいまだに解決されていない。しかし、私は断固として自分のスタイルを曲げなかった。最初の2巡はポジションに関わらず成績の良い選手を指名することにしていたのだ(その選手がクォーターバックでない限りは)。コーチ陣は即戦力としてチームの穴を埋められる選手を獲得したがることでよく知られているが、プレジデントやGMは、より長期的な視点をもっていることが多いのだ。

指名候補者リストにある5選手の中から1名の指名を終えると、次に成績の良い選手をリストの5番手に加えた。後半の指名順になると、必要なポジションの選手を獲得するためにリストからは大きく外れた選手を指名することもしばしばあった。また、実力が同等の2選手で悩んだ場合にも、チームに必要なポジションの選手を優先して指名した。

私が経験した中で最も議論が白熱したのは、バイキングスに在籍していた1998年のドラフト開始までの1時間だ。ワイドレシーバーのランディ・モスは、確実に上位5選手に入る才能の持ち主だったが、たびたびフィールド外で事件を起こしており、性格に難ありだった。そんな彼を指名するべきか、我々は思いを巡らせていた。

チームの中には、最初にチームが必要としているディフェンスの選手を指名するべきだと感じている人もいた。だがウェストバージニア地区担当スカウトはモスを強く推しており、ウォールーム内の首脳陣(GMの私、ヘッドコーチのデニス・グリーン、人事取締役のフランク・ギリアム)も、我々の第1巡目である全体21位までにモスが残っていれば、彼を指名するということで同意していた。当時、彼は間違いなく我々が最も高く評価している選手だったのだ。

カウボーイズがモスを全体8位で指名するとのうわさが飛び交っていたのだが、実際にはディフェンシブエンドのグレッグ・エリスを指名した。タイタンズがその日初めてのワイドレシーバー、ケビン・ダイソンを全体16位で指名した時、我々がモスを獲得できる可能性は高くなった。

続く4チームも他の選手を選び、ライオンズがCBのテリー・フェアを指名した瞬間、ウォールームに大歓声が上がった。モスが我々のものとなったのだ。

我々はすぐさま彼の名前をカードに記入した。当然ながら、この指名はバイキングス史上最高の指名のひとつとなった。彼はデビューシーズンから17のタッチダウンパスを成功させ、輝かしいキャリアをスタートさせたのだ。

後編へ続く)

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Jeff Diamond

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Jeff Diamond is former president of the Titans, and former vice president/general manager of the Vikings. He was selected NFL Executive of the Year in 1998. Diamond is currently a business and sports consultant who also does broadcast and online media work. He is former chairman and CEO of The Ingram Group. Follow Jeff on Twitter: @jeffdiamondNFL