NFLトレーニングキャンプ見学記 : ファンの楽しみ方はどのように変わったか?

Mike DeCourcy

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ペンシルバニア州、ラトローブ。チェスナット・リッジに沿った丘の佇まいは変わらずにいる。果てしなく続く木々による緑が深く、100万年の歳月を経て生まれた起伏はなだらかである。変わらずにあるものをさらに見つけるためには、まず目に入ってくるこの景色ばかりを見ようとせず、一旦視界から外す必要がある。

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ピッツバーグ・スティーラーズの恒例のトレーニングキャンプは長きに渡りセント・ヴィンセント大学で行われてきたが、今日の体験は全くの別物であった。

先週末、スティーラーズのキャンプを見学するためにキャンパスを訪れたが、これは実に37年ぶりのことだった。1981年にグリーンズバーグでトリビューン・レビュー紙のインターンをしていた時に、タイトエンドのランディ・グロスマンとベニー・カニングハムの出場機会を巡ったバトルや、かつてのシラキュース大学の名クォーターバック、ビル・ハーレーのディフェンスへの転身といった、キャンプにまつわる記事を書いたことがあった。それ以前は、10代の頃に2度、1度目は父に連れられ兄弟と一緒に、2度目は教会が企画したセント・ヴィンセントへの遠足で訪れた。

それ以降、キャンプをまた見学しようと思ったことはなかった。10年間ピッツバーグでカレッジフットボールを担当していたため、キャンプの見学を命じられることはなかった。また、スティーラーズを見るためにはるばるピッツバーグまで旅行した際は、練習よりも試合を見るのが目的だった。姪のベビーシャワーのためにピッツバーグへ行かざるを得なくなったとき、妻がスティーラーズのキャンプを訪れることが“バケットリスト”(死ぬまでにしたいことや達成したいことをリスト化したもの)の中にある、と言い出した。

エッフェル塔やコロッセオ、あるいは、ハレアカラ国立公園を訪れるには幾分お金がかかる。

だが、スティーラーズキャンプには入場料すらない。

これは今も昔も変わらないことだ。

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1970年代から1980年代はじめにかけては、キャンプはどちらかというと一部の限られた観客に向けたものだった。“スティール・カーテン(鉄のカーテン)”の時代が始まり、スティーラーズの練習を見に来ているのは、どの選手が試合に出場すべきか否かをあれこれ議論するような真剣なファンのみだった。

2018年キャンプの3日目には、家族連れやサインを求める熱烈なファン、いくつかのハイスクールフットボールチーム、サイドラインでの見学の特権を与えられているVIPなど、何千もの人々が訪れた。彼らはチームのことを本当によく分かっている。

12月に、タックルにより麻痺にもなりかねないケガを負ったライアン・シャジアがエンドゾーンからカートに乗って現れると、観客からは大声援があがった。ドラフト1巡指名のテレル・エドモンズがずば抜けたドリルを披露すると、観客は心から拍手を送った。サードダウンのプレーで選手が倒れたときには、観客は静まり返り、医療スタッフのもとに運ばれた選手が誰なのかを見守った。ベテランのガード、ラモン・フォスターがカートに乗せられて退場した際には、観客からは大きなため息が漏れた(幸いにも、じん帯の損傷はないとのこと)。

スティーラーズはプレシーズンのトレーニングキャンプを地元から離れた地で行う最後のチームのひとつだが、練習をファンにオープンにしている点においては、他チームと変わらない。様々なスポーツにおいて、特にカレッジスポーツでは、練習は軍事演習のように秘密裏に行われることが多い。先月行われたヨーロッパのサッカークラブのボルシア・ドルトムントとマンチェスター・シティのテストマッチ前の公開練習では、ファンはエンドゾーンの隅に集められ、チームはそこからなんと150ヤード離れた反対側のエンドゾーンでウォームアップドリルを始めたのだった。

試合のチケットを買う余裕がない、あるいは、手に入れられないファンにとって、このようにNFLのチームがトレーニングキャンプを公開することは、とても意義があることだ。

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スティーラーズのキャンプは当初からあまり商業化されていない。現在スティーラーズは4つの自然のままのフィールドで練習を行っており、そのうちの一つは人工芝であるが、よりよい景観のためにどれも景色に深く溶け込むように設計されている。座って観覧したい人たちのためにスタンド席が用意されているが、多くはフィールドの周りにローンチェアを置いたり、丘の斜面にブランケットを敷いたりして座る。(プロによるアドバイス:急な斜面に椅子を置こうと思わないこと。転がり落ちることになるからね)。

キャンプではリーズナブルな値段のグッズを売るテントが設置され、7ドルのスティーラーズのネックストラップから150ドルのジャック・ランバートの公式ユニフォームなどが売られている。70年代のキャンプでは、このようなスティーラーズのグッズの販売はなかった。また、お腹が空いたり喉が渇いたりしても売店などはなかったが、今ではポップコーンやポテトチップス、サンドイッチや飲み物が手ごろな値段で売られている。昔は練習場から300ヤード離れた場所に食堂があるだけだった。

駐車場も「各自でご自由に」といったものではなくなった。きちんと整備されていて、統制がとられている。入口にはファンのために体験スペースが設けられていて、スティーラーズ・ネーション・ラジオの放送ブースをはじめ、スティーラーズカラーに塗装されたトラックが当たる抽選会を行うブースや、長蛇の列に並んだ者だけがチームのレジェンド(今回はサントニオ・ホームズ)と写真が撮れるテントなどがある。

そのテントの近くに大きなエリアがあり、そこでは元バックアップQBチャーリー・バッチがファンと写真を撮っていた。妻はチャーリー・バッチが2003年にデトロイトからスティーラーズへ移籍して以来の大ファンで、何としてでもツーショットが撮りたい、とのことだった。私たちは近くまで行って、それがフェデックスがスポンサーしているエリアの目玉ブースだと知った(つまり、まあ、商業的、ということだ)。ブースでは、バッチが小さな子供にボールを投げ、受け取った子供が障害物のあるコースを走り抜ける間に両親が大慌てでバッチとセルフィーを撮る、といったものだった。

私たちも姪を連れてきていたが、残念ながら彼女は大学を卒業してから7年経っているだけでなく、夫も連れていて、小さな子供とはとても言い難い。よって、チャーリー・バッチとの写真は叶わなかった。バケットリストの全てを実行に移すというのはどうやら無理のようだ。

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原文:At Steelers training camp, a familiar 'bucket-list' feel for fans then and now

翻訳:Yurika Hirano

Mike DeCourcy

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Mike DeCourcy has been the college basketball columnist at The Sporting News since 1995. Starting with newspapers in Pittsburgh, Memphis and Cincinnati, he has written about the game for 35 years and covered 32 Final Fours. He is a member of the United States Basketball Writers Hall of Fame and is a studio analyst at the Big Ten Network and NCAA Tournament Bracket analyst for Fox Sports. He also writes frequently for TSN about soccer and the NFL. Mike was born in Pittsburgh, raised there during the City of Champions decade and graduated from Point Park University.