NFLシアトル・シーホークスのDKメトカーフにオリンピック米国陸上代表入りのチャンスは本当にあるか?

Jacob Camenker

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シアトル・シーホークスが2019年のNFLドラフト会議でDKメトカーフを2巡目で指名したとき、シーホークスはメトカーフが大柄で運動能力の高い選手であることを知っていた。身長6フィート 4インチ(約193センチ)、体重229パウンド(約103.9キロ)の身体には一切の体脂肪が乗っていないように見えたうえ、2019年NFLコンバイン(訳者注:ドラフト前の体力測定)では歴史的なパフォーマンスを発揮した。メトカーフには、既にその頃からアスリートとしての比類なきポテンシャルに多くの注目が集まっていた。

デビュー後の2年間で、メトカーフはほぼその期待に応えていると言えるだろう。2シーズンの平均で、メトカーフは70.5回のパスをキャッチし、獲得ヤードは1,101.5ヤード、そして8.5回のタッチダウンを挙げている。シーホークスのクォーターバック、ラッセル・ウィルソンがもっとも信頼するレシーバーの1人である。メトカーフはこのまま長期に渡って偉大なアメフト選手としてのキャリアを築いていくことだろう。しかしメトカーフ自身はこのオフシーズンに他のスポーツでのある目標を視野に入れている。

『ヤフー・スポーツ』のジェフ・アイゼンバーグ記者が報じたところによると、メトカーフはオリンピック代表選出を目指している。米国陸上競技連盟はメトカーフを含むすべてのNFL選手たちに「彼らの本当のスピードを試すため」に2021年のオリンピック代表予選会への参加を呼び掛けていた。メトカーフはそのメッセージを真剣に受け止め、予選会出場に挑戦することを決心した模様だ。

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「メトカーフが本気でオリンピック代表選考に挑戦したい意向をもち、そのためにどのような手順が必要になるかを知りたがっていると、彼の代理人から私たちに打診がありました。私たちは彼に米国陸上競技連盟が公認する競技会で突破しなくてはならない代表資格タイムを教え、その気があるなら出場レーンを用意すると伝えました」と米国陸上競技連盟のアダム・シュメンク氏はアイゼンバーグ記者に語った。

メトカーフの直線スピードは見る者を興奮させる。高校卒業以来、陸上競技からは遠ざかってはいるが、アメフトのフィールド上でそのスピードを遺憾なく発揮してきた。もっとも有名なシーンは、アリゾナ・カージナルスのバダ・ベイカーがインターセプトから100ヤードを独走してタッチダウンを挙げる直前で防いだ”伝説級”の追走タックルダウンである。

このメトカーフのスピードをもってすれば、オリンピック代表選考会でも何かしらの波乱を生み出す可能性はあるだろう。しかし、100メートル走の代表会出場資格が無条件で与えられるタイムである10秒05を突破することはけっして容易なことではない。

前述の2019年NFLコンバインにおいて、メトカーフの40ヤード走のタイムは4.33秒だった。このスピードをそのまま100メートルに換算すると、タイムは11秒83になる。アイゼンバーグが予想するオリンピック出場資格タイムの10秒20より1.5秒も遅い。

もちろん、メトカーフはまだ23歳である。コンバインからの2年間でさらにスピードを増していることは大いに考えられる。加えて、2020年NFLシーズンにおいて、メトカーフの平均速度はNFL10位の時速21.66マイル(約34.86キロ)である。そのスピードで100メートルを走ることができれば、タイムは10秒33になる。

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それでもまだ必要とされるタイムには及ばないが、少なくともメトカーフが世界レベルのスプリンターたちと競うチャンスに近づくことにはなる。

もしメトカーフがオリンピック米国代表入りを果たせば、過去10年間で6人目のNFL選手となる。マーキス・グッドウィンとジェフ・デンプスが2012年オリンピックで米国陸上競技代表チームに入ったことを皮切りに、マービン・ブレーシーとジャービッド・ベストが2016年オリンピックにやはり陸上競技で代表入りし、同じ年にはネイト・エブナーが7人制ラグビーの米国代表チーム入りを果たしている。

グッドウィンとデンプス以前となると、NFL選手がオリンピックに出場したのは1992年にシーホークスのキック・リターナー、マイケル・ベイツが200メートル走で銅メダルを獲得したときまで遡る。メトカーフはシーホークスの複数スポーツ選手として新たな歴史を作ることができるかもしれない。

(翻訳:角谷剛)

Jacob Camenker

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Jacob Camenker first joined The Sporting News as a fantasy football intern in 2018 after his graduation from UMass. He became a full-time employee with TSN in 2021 and now serves as a senior content producer with a particular focus on the NFL. Jacob worked at NBC Sports Boston as a content producer from 2019 to 2021. He is an avid fan of the NFL Draft and ranked 10th in FantasyPros’ Mock Draft Accuracy metric in both 2021 and 2022.