NFLオーナー、国歌斉唱の新方針は「トランプ大統領の影響もあった」と認める

Tom Gatto

NFLオーナー、国歌斉唱の新方針は「トランプ大統領の影響もあった」と認める image

▶スポーツ観るならDAZNで。1カ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

アメリカのドナルド・トランプ大統領が昨秋、ダラス・カウボーイズのオーナー、ジェリー・ジョーンズに対し、試合前の国歌斉唱の際に抗議する選手たちの問題について、「私が勝つ問題」と話していたことが分かった。また、同大統領の発言が、NFLが最近制定した新たな方針に影響したという。『The Wall Street Journal』が5月30日に報じた。

NFLでは、2016年の大統領選挙のさなかに起きた人種差別問題に対し、コリン・キャパニックが試合前の国歌斉唱時にひざをつく抗議活動を始めた。

だが、NFLのオーナーは今月、アトランタでの会合で、国歌斉唱時にフィールド上の選手たちに起立を命じると決めた。選手たちには、国歌斉唱の際にロッカールームにとどまる選択肢がある。

『The Wall Street Journal』によれば、ジョーンズはトランプ大統領から電話で「私にとって非常に強く、私が勝つ問題だ。勝つことはできないと全員に言え」と言われたと明かしている。

ジョーンズはまた、トランプ大統領がオーナーたちに影響を及ぼす上で「大きな信用」に値しないとしつつ、「だが彼がアメリカ大統領であることは認識している」とも述べた。

さらに、『The Wall Street Journal』は、マイアミ・ドルフィンズのステファン・ロス、ヒューストン・テキサンズのロバート・マクネアの両オーナーの発言も、新方針にトランプ大統領が影響した証拠と伝えている。

これによると、ロスは「トランプが発言するまで、私は完全に(選手たちを)支持していた」と述べた。トランプ大統領の「発言」とは、抗議する“畜生”の選手たちをフィールドから追いやるべきとした昨年9月のアラバマでの演説のことだ。

ロスは「彼が対話を変えたのだと思う」とも付け加えている。

一方、マクネアは、選手たちの抗議に自身は反対としつつ、トランプ大統領がこういった形で発言することは望まなかったと話した。

アラバマでのトランプ大統領の演説やその後の抗議活動を非難する発言が、全国的な議論の形をつくり変えることにつながったのは明らかだ。アメリカでは、有色人種に対する警察当局の行動に関する議論よりも、選手たちの抗議が国旗や軍隊への敬意を欠くかが議論され続けている。

抗議活動をする選手の数は、2017年シーズンが終わるまでにかなり少なくなった。

『The Wall Street Journal』は、ジョーンズがこの件に関してコメントを拒み、マクネアの代理人はコメント要請に応じなかったと伝えている。

原文:NFL owners admit president Donald Trump influenced anthem policy, report says(抄訳)
翻訳:Hiroaki Nakamura

Tom Gatto

Tom Gatto Photo

Tom Gatto joined The Sporting News as a senior editor in 2000 after 12 years at The Herald-News in Passaic, N.J., where he served in a variety of roles including sports editor, and a brief spell at APBNews.com in New York, where he worked as a syndication editor. He is a 1986 graduate of the University of South Carolina.