NFLの「国会斉唱時の起立義務化」の決定はファン、選手の思いをないがしろにした

David Steele

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「オズの魔法使い」のドロシーのように、NFLは最初からずっと力を持ち続けてきた。チームオーナーとリーグの内部で、長い時間を擁してきたのは「国歌斉唱問題」と呼ぶ件に対する解決だった。

解決なのか?この件を解決が必要な問題として扱うのはやめたほうがいい。 

コリン・キャパニックが警察の残虐な行為、そして黒人やその他の有色人種に対して続く組織的な制圧に抗議して、国歌斉唱中に初めて膝をついてから、あと3カ月で丸2年が経過することになる。2016年8月に開催されたプレシーズンマッチから今まで、NFLはまさに、何もしないということを選んできた。 

選手が自分自身を表現することができ、今後も可能であることを認める選択だった。ファン、スポンサー、人目を引こうとする政治家たちは、この行為からついて何かを感じとるだろう。そして感じ方には、支持、非難、熱意、無関心といったものがある。そして、国歌斉唱が終わるとすぐに試合が開始する。アメリカ中が注目するスポーツが始まるのだ。 

しかし、そうではなくなった。 

NFLの幹部は「何かをしなければならない」と決断したのだ。 

コミッショナー、ロジャー・グッデルからの水曜の公式発表で、その「何か」が明らかになった。彼らは第1日目から状況を悪化させた。 

それは間違ったことばかりだった。誤った対応だったのだ。ブリタニカの百科事典の「矛盾」の項目に記載されるべき状態になってしまった。アメリカ中のロースクールは、この問題に取り組むため、来年度の授業の見直しをすることにだろう。 

NFL選手会が、これに反応するのに要した時間は(ツイッター上の時間によると)たった12分だった。NFLがこの問題の議論に要したよりも12分多いということは確かだ。 

新しいポリシーの個人的に気に入っている部分を挙げよう(「気に入っている」という表現が適切な言葉であればだが)。「残念なことに、フィールド上での抗議は、数あるNFLの選手うち多くに愛国心がないという誤った認識を生み出してしまった。事実では決してない」というグッデルの言葉だ。次のフレーズがその後に続くのだ。「国旗と国歌に敬意を示す」と。

国歌という意味の単語「anthem」のAが大文字になっている。 

国旗を表す「flag」の頭文字は大文字になっていないことも、大きな制約が感じられる。 

さらになぜ選手たちが国旗や国歌に対し行われたこの抗議に対する「誤った認識」をわざと生み出していたのかの説明も明らかに欠如している。もしくは、なぜNFLもしくはその選手は、試合の前にいかに「愛国心」を示さなければならないのか。また、黒人を一人のアメリカ市民として法律執行機関に扱ってほしいと願うことが、なぜ「愛国心」がないとみなされるのか。という説明が欠如しているのだ。 

新しいポリシーの発表は状況を悪化させ、傍観者の感情をかき乱すだけのためものだった。結局以前と同じ場所へと皆を戻しただけだったのだ。NFLは選手たちの行為を好ましく思っていなかった。そして何事もなく済ませるつもりなどなかったのだ。どれだけ時間かかっても、何としてでも彼らを止めるつもりだったのだ。 

全て必要のないことだった。 

話し合い、対応、対策は断続的に行われてきたが、決して中断されることはなかった。もしNFLが本当に望んでいたのなら、もっと前に中断されていたはずだ。 

代わりに、NFLは選手に対し権力を見せつけることを選んだのだ。アメリカ国防総省との長年の結びつきを確かなものにするために、そして、意図的にその他多くの人々を除外しつつも、選ばれたファン層の関心を引くために実行したのだ。 

ここに至るまで、この抗議問題は良いことも悪いことも含めスポーツに関するすべてのことに影を落とした。今シーズンも変わることはないだろう。これから始まるプレシーズンだけでなく今シーズン全体が影響を受けるはずだ。スタジアムにいるファンとTV観戦している人々は国歌に敬意を払うことはなく、国歌斉唱中サイドラインに立つ人数をカウントすることになるからだ。 

アルトン・スターリングとフィランド・カスティーリャが警官に殺されたことを理由に、1人の選手は2年間ずっと起立することがなかった。そして選手たちは何かをしたいと望んでいた。 

考えてほしいのは、NFLは沈黙し控え目な姿勢を見せ、1人の選手から発せられたメッセージを台無しにして、「敬意を欠く」ことについての厚かましいウソを続け、この抗議に共感する全てのファンに耳を傾けることのない態度をとっていたことだ。 

NFLはキャパニックがしてきたこと、選手たちが目に見える形でそれを真似したことをスポーツにおける犯罪へと変えてしまったのだ。 

NFLは実行できるからといって、多くのことをしてしまった。それがする必要のないことだとしてもだ。 

このポリシーを発表すべきではなかった。「国歌斉唱問題」の解決など、決してすべきではなかったのだ。なぜなら問題は決して1つではないのだから。 

原文:NFL's new anthem policy: an ominous 'solution' to a problem that didn't exist
翻訳:Ayako Hayashi

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David Steele

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David Steele writes about the NFL for Sporting News, which he joined in 2011 as a columnist. He has previously written for AOL FanHouse, the Baltimore Sun, San Francisco Chronicle and Newsday. He co-authored Olympic champion Tommie Smith's autobiography, Silent Gesture.