『ESPN』のジョン・スキッパー社長(61)が、ウォルトディズニー社との新たな取引に迫っている。『Sporting News』が入手した情報によると、それによってスキッパーは2021年まで『ESPN』のトップにとどまる。
『Awful Announcing』によると、スキッパーは2018年までとなっている現在の契約の延長をまとめつつある。「Disney Media Networks」の共同チェアマンというポジションを含め、スキッパーは2012年1月1日から現在の立場にある。
ディズニーがスキッパーとの契約を2021年まで延長したというニュースを報じたのは、『The Big Lead』のライアン・グラスシュピーゲルだ。
11月14日夜、『ESPN』はコメントを出していない。
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NFLの「Monday Night Football」やNBAファイナル(放送はディズニーの姉妹ネットワークである『ABC』)、MLBのテレビ放送、カレッジ・フットボールのプレーオフ、テニスの全米オープン、ローズボウル、シュガーボウル、オレンジボウルなど、『ESPN』はスキッパーのリーダーシップの下で業界トップのスポーツ中継権を手にしてきた。
スポーツドキュメンタリーの賞レースで、スキッパーの『ESPN』はかつて業界トップだった『HBO Sports』を上回った。「30 for 30」の「O.J.: Made in America」で初めてアカデミー賞を受賞している。『Fox Sports』から来たケイティー・ノラン、『Yahoo Sports』から来たエイドリアン・ウォジャロースキーなど、スキッパーは熾烈な業界においてライバルたちからタレントの引き抜きにも成功した。ジェレミー・シャープやドン・バン・ナッタ・ジュニアから、アダム・シェフターやジョージーナ・アンダーソンまで、『ESPN』には次々にニュースを伝えるワールドクラスの記者たちがそろっている。
『Sporting News』は、2016年のスポーツ界で最も影響を及ぼす人物の第3位にスキッパーを選出した。NBAコミッショナーのアダム・シルバー、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルに続く3番手だ。『SportsBusiness Journal』は、スポーツ界で最も力を持つエグゼクティブの第2位に、スキッパーとディズニーのロバート・アイガーCEOを選んでいる。シルバーに続き、グッデルを上回っての2番手だ。
一方で、同時に、スキッパーは前任のジョージ・ボデンハイマーよりもさらに大きな挑戦に取り組んでいる。
スキッパーと『ESPN』がNFLとNBAに払い過ぎだと考える専門家は多い。『ESPN』がNFLに毎年支払う額は19億ドル。どのパートナーネットワークよりも多い。だが、試合スケジュールは最悪だ。局はそれだけの額を払っているが、契約者は減り続けている。多くの視聴者がケーブルテレビから離れているからだ。2011年の1億世帯から現在の約8600万世帯と、わずか6年で約1400万世帯もの契約者を失った。
現在の月額8ドルをもとにした『SportsBusiness Journal』の試算で、『ESPN』は10億ドル以上も収益を失った。2015年に300名を一時解雇し、春にもジョン・クレイトン、ブリット・マクヘンリー、トレント・ディファーといった100名のパーソナリティーを一時解雇したが、11月末にはさらに100名のキャスト、ライター、スタッフの一時解雇が予定されている。
また、『FS1』のようなニューカマーとの競争も、『ESPN』が直面している問題だ。『FS1』はスキップ・ベイレス、コリン・カウハード、ジェイソン・ウィットロックなど、元『ESPN』の面々を雇っている。
来春、『ESPN』は新しく朝の番組「Wake Up」を始める。出演はマイク・グリーンバーグ、ミッチェル・ビードル、ジェイレン・ローズ。ニューヨークから米東部時間の7時から10時まで放送される。ブリストルの局本部にいるエグゼクティブたちは、『FS1』の「First Things First」や「Undisputed」、『NFL Network』の「Good Morning Football」を逃した朝の視聴者たちを取り込む「復讐者」としてキャストたちのことをみている。
さらに、『ESPN』は左派対右派の文化戦争の一環として、ドナルド・トランプ大統領の標的にもなっている。「SportsCenter」のホストを務めるジェメル・ヒルから「白人至上主義者」と評され、トランプ大統領は下のような一連のツイートで『ESPN』を攻撃した。
With Jemele Hill at the mike, it is no wonder ESPN ratings have "tanked," in fact, tanked so badly it is the talk of the industry!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年10月10日
ESPN is paying a really big price for its politics (and bad programming). People are dumping it in RECORD numbers. Apologize for untruth!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年9月15日
2020年の大統領選に向けて民主党候補として出馬への関心が噂されるアイガーは、局のソーシャルメディア方針に背いたとしてヒルを解雇することはないというスキッパーの決断を公に支持。スキッパーは代わりにヒルを減俸処分とし、彼女のような『ESPN』の人間が政治の地雷原から遠ざけておくために、新たなより厳しいソーシャルメディア方針を打ち出している。
『Breitbart News』のような保守層は、『ESPN』がスポーツよりもポリティカル・コレクトネスに関心を抱くリベラル派だと主張している。
原文:Sources: ESPN president John Skipper finalizing new contract through 2021
翻訳:Hiroaki Nakamura