衰退するNFL、人気上昇のNBA 明暗を分けたのは何か?【第3回】

Michael McCarthy

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3.いじめっ子が権力の座についている。

これまで、NFLはトランプ大統領以上にひたむきな的に出くわしたことがなかった。彼とNFLの戦いの始まりは今から30年以上も前に遡る。

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ESPNのスティーブン・A・スミスによると、幾度となくNFLチームの買収を試みたトランプだったが、NFLオーナーたちのビリオネア・ボーイズ・クラブに買収を阻まれ、そのことを今でも恨み続けているのだという。反対勢力であるニュージャージー・ジェネラルズのオーナーとなったトランプはUSFL(当時3シーズンのみ開かれていたアメフトのプロリーグ)を率いてNFLを反トラスト法で訴え、見事勝訴したが、それは損害が大きく得るものが少ない勝利だった。陪審員がUSFLに認めた損害賠償金額はわずか1ドル。その後、3倍の3ドルになった。USFLは解散することとなった。

大統領選で当選する以前、トランプはカウボーイズのオーナー、ジェリー・ジョーンズと、ペイトリオッツのオーナー、ロバート・クラフトと親しい仲だった。しかし大統領就任以降、トランプは選手たちの抗議行動を利用し、コミッショナーのロジャー・グッデルとオーナー陣を攻撃するための武器としている。

2017年9月の選挙集会にて、トランプはオーナー陣に向けて「クソ野郎ども」の抗議行動を辞めさせるよう呼びかけた。彼に票を入れた6300万人と5400万人のツイッターフォロワーに向けてNFLの試合を視聴しないよう促している。また、抗議を行った選手は米国から出ていくようにとも話した。

「国歌斉唱中は誇りを持って起立する必要がある。さもなくば、プレーすることも、その場にとどまることも、おそらくこの国にとどまることも許されない」。トランプはFOXニュースチャンネルの番組「FOX&フレンズ」にてそう話した。

事実、トランプ大統領はジェームズに手当たり次第の批判をし、NBAチャンピオンとなったウォリアーズのホワイトハウスへの招待を取り消したが、NFLに対する態度はそれとはまた異なるものだ。彼はグッデルが無条件に降伏するまでNFLを非難するのをやめないように思える。その間、大統領は彼らを痛めつけて楽しむだろう。

NFLを最も支持していると思われるアメリカ最南部とラストベルト中西部においてトランプは政治的に最も強い。実質、トランプは有権者に向けてお気に入りのリーグを非難するように促しているのだ。ホワイトハウス内の絶え間ないドラマで、トランプはテレビ視聴者もFOXニュースやMSNBCといったケーブルニュースネットワーク視聴者へと移行させている。こうした視聴者がスポーツの視聴を続けているかもしれない。代わりに、彼らは大統領が関与する最新の論争を追っている。

「極悪非道なやり方だが、トランプにとっては得しかない」。そう話したのは匿名希望のテレビ解説者だ。「もし選手たちが膝をついたら、そのことでトランプは彼らを非難する。そして彼の支持母体はそれらをすべて受け入れるから、トランプの勝ちだ。もし選手たちが気を付けの姿勢を取れば、それは彼と彼の支持母体の手柄となり、またしてもトランプの勝ちとなる。天才だ」。

4.フットボールの戦争?

もしかするとNFLの衰退には、慢性外傷性脳症に苦しむ元フットボール選手の崩壊した人生について、ニューヨークタイムズ紙とESPNが猛烈な報道を積み重ねた影響もあるかもしれない。スポーツ番組のスターたちはフットボール界の暴力に対する不信を打ち明けるようになってきており、良くて「危険」、最悪の場合は「不道徳」だと評している。

スポーツ情報サイトザ・ビッグ・リードの記事で、ESPNのミッチェル・ビードルは、この2年間NFLとカレッジフットボールの視聴をボイコットしていると語った。ビードルは、オハイオ州立大が、アーバン・マイヤーコーチに対して3試合の資格停止処分を科したことを受けてフットボール界に対抗する姿勢を決めた。マイヤーは、元アシスタントコーチのザック・スミスが、元妻コートニー・スミスに家庭内暴力を振るったことを認識していなかったことを咎められている。

「フットボールというスポーツは自らを過大評価していて、もっと言えば、女性に対する意識の低さを見せているようにも感じる。彼らは有色人種にも一切配慮していない。でも私たちはNFLのためにその輪の中に入るつもりはない。ただ、女性として私は疎外されているように感じるの」。彼女はそう話した。

何年もNFLを取材してきた彼女がそう言うのだ。NBCのボブ・コスタスも強い嫌悪を抱いてフットボールと距離を置くことにした。メリーランド大学でのスピーチの中で、コスタスはフットボールが「人の脳を破壊する」と言い放った。ボクシングや競馬と同様、フットボールの人気はハウス・オブ・カードのように崩壊する可能性があると彼は警告した。

一方、元カレッジフットボール選手であり、FS1「スピーク・フォー・ユアセルフ」のジェイソン・ウィットロックは、彼が「不公平で馬鹿げたフットボールの戦争」と評するものを激しく批判した。ウィットロックによると、NFLは他のリーグと比較して非難されているが、他のどの産業よりも多くの若き黒人男性を貧困から救い、億万長者に変えてきたという。

「フットボールは僕のような多くの人を救い、品格も磨いてきた」。彼はそう話した。

NBAはソーシャルメディア上で成功している。

ヘルメットと肩パッドではなくショートパンツとタンクトップでプレーするため、NBA選手はファンから見て見分けがつけやすい。また、彼らはNFL選手と比べてソーシャルメディア上で活発かつ創造的だ。

NBAとその30のチームは、スター選手たちがソーシャルメディア上で意見を共有し、ファンと共に過ごすことを推奨している。これがインターネットテレビを視聴する他のスポーツに見切りをつけた若い世代を引き付けた。

他のリーグがハイライト映像を用心深く守っている一方、NBAは試合動画をソーシャルメディア上で共有することを強く推奨している。ワシントンポスト紙によると、いわゆる「NBAツイッター」は、「閉店しないスポーツバーであり、無制限の座席を備えた理髪店であり、NBAのスター選手が立ち寄る家族パーティー」となっているという。

キング・ジェームズことレブロンは、ソーシャルメディア上で最もフォローされているアメリカ人アスリートだ。ツイッター(4140万)、インスタグラム(4120万)、フェイスブック(2280万)の合計フォロワー数は1億を大きく超えている。NBAは全選手、チーム、リーグのソーシャルプラットフォームにおいて合計15憶以上のフォロワーと高評価を誇っている。これは他のどのリーグよりも多い。ケビン・デュラントやジェレミー・リンといったスター選手は自身のYouTubeチャンネルも開設している。

一方、NFLのスター選手たちはソーシャルメディアを警戒している。彼らは、NFLの全32チームが、選手たちにプレーブックを学ぶこと以外何もしてほしくないことを理解しているのだ。ESPNのアダム・シェフターによると、NFLのポリシーでは、試合開始90分前から試合終了後のインタビューまで、いかなるソーシャルメディアへの投稿も選手たちに禁じているという。

NFLの選手が何かクリエイティブな行動を試みようとすると、裏目に出ることが多い。スティーラーズのアントニオ・ブラウンは、マイク・トムリンコーチがロッカールームでペイトリオッツ批判をしている動画をフェイスブック・ライブに秘密裏に投稿し、苦境に立たされた。スティーラーズの同僚であるレビオン・ベルも昨年1月のAFCディビジョナル・プレーオフ・ゲームの前にジャガーズを侮辱するツイートをして炎上した。結果、ジャガーズはハインツ・フィールドでスティーラーズを45対42で打ち負かした。

第4回へ続く)


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Michael McCarthy

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Michael McCarthy is an award-winning journalist who covers Sports Meda, Business and Marketing for Sporting News. McCarthy’s work has appeared in The New York Times, Sports Illustrated, The Wall Street Journal, CNBC.com, Newsday, USA TODAY and Adweek.