チャールズ・バークレーはどんなことに対しても答えを持っている人物だ。だが、そのサー・チャールズでさえもNBAのテレビ視聴率が昨年8パーセント上昇した理由を導き出せていない。また、あの強大なNFLが視聴率を10パーセントも落とした理由も分からないという。
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「視聴率の低迷と選手たちの抗議行動が無関係だとは思わないね」。米放送局TNTの「インサイド・ザ・NBA」で解説者を務めるバークレーは、コリン・キャパニックが主導し、この2年間NFLを分断している、人種間の平等を求める選手たちの抗議行動について話した。「NFLの視聴率は元々が高かったから、いつかは落ち込んでしまうのも仕方のないことだ。……でもなぜなのかは、本当に分からないよ」。
上り調子のNBAが多くのスポーツファンにとって魅力的なリーグへと育っている一方、NFLはこの2年間で18パーセント、つまりは5人に1人近くの視聴者を失った。こんな事態はバークレーも初めて目にしたかもしれないが、この理由は何なのかと頭を悩ませているTV関係者は彼だけではない。スポーツ・ビジネス・デイリーによると、雨の影響で試合開始時間が遅れた9月6日のイーグルス対ファルコンズ戦はNBCにて放送されたが、この試合は過去10年間のNFL開幕戦史上最も低い視聴率を記録したという。CBSとFOXは9日に高視聴率を記録したものの、ウォール街はNFLが3シーズン連続でテレビ視聴率を落とすのではないかと厳重に監視している。
両リーグの視聴率変動の理由には諸説あるが、明確な答えは出ていない。NBAは若手選手が活躍するようになり、一部の専門家は将来的にアメリカを代表する国技になると見なしている。NFLは脳震とう、慢性外傷性脳症、家庭内暴力といった問題に直面し、多くの人々はNFLの人気と関心が衰退する可能性を危惧している。彼らは、盤石の姿勢だったNFLの視聴率の2年連続での下落を、NFLの盾に入った最初のヒビだと見なしている。
1972年以降、フットボールはアメリカで最も人気のある観戦スポーツとして君臨してきたが、その権力は弱まってきている。最新の世論調査によると、お気に入りのスポーツとしてフットボールを観戦する成人アメリカ人は全体の37パーセントだった。これは2013年の39パーセントや、人気が絶頂に達していた2006-07年の43パーセントから下落している。一方のバスケットボールは11パーセントを記録し全米2位の人気を誇るスポーツになった。野球は9パーセントへと数値を落とし、この調査が開始された1937年以来最低の結果となった。
他の世論調査によると、自らをプロフットボールのファンだと認めている人の割合は過去5年間で10パーセントも減少したという。一方、他のスポーツは一定を保っていた。プロバスケットボールのファンは2012年の37パーセントから2017年の40パーセントへと増加している。NFLは白人層、共和党員、無党派の中で最悪の衰退を遂げてしまった。それと同時にカレッジフットボールファンの割合は、2012年の54パーセントから2017年の56パーセントへとわずかに上昇した。
米経済誌フォーブスによると、NFLの2017年の利益は150億ドルで、NBAの74億ドルのおよそ2倍だ。しかし、米ビジネス誌フォーチュンによると、NBAの2017年からの利益伸び率が25パーセントなのに対して、NFLは7パーセントだという。もしもこのままNBAがNFLの2倍または3倍の成長率を維持すると、今後10年間で両リーグの利益はほとんど差がなくなるだろう。NFLが海外展開に苦戦を強いられている一方、フォーブスによるとNBAは米4大スポーツリーグの中で最も国際的な発展が見込まれているという。
とはいえ、このようにメディアが発信する情報は、しばしば間違っていることもある。これまでに明らかになっていることを見ていこう。
2014年、元レイブンズのレイ・ライスが当時婚約中の妻を殴打する恐ろしい映像を米ゴシップ誌TMZが公開し、NFLはそれに上手く対応することができなかったが、それでもNFLは2015年に高い視聴率を記録していた。だがその後、大嵐がNFLを襲い、オーナー陣やリーグの重役たち、テレビ局や広告主たちの懸念を募らせることとなった。
2016年にはテレビの視聴者数が8パーセントも減少した。「心配はいらない」。当時NFLはそう話していた。ドナルド・トランプとヒラリー・クリントンが争った狂気の大統領選の影響による一時的なものだと。しかし、この数字は昨年更に悪化してしまった。
NFLの平均視聴率は2017年のレギュラーシーズンでは9.7パーセントも下落した。米テレビ局ESPNによると、一試合当たりのテレビ視聴者数は160万人も減少したという(1650万人から1490万人)。
それでもスーパーボウルは無敵の存在だ。誰もがそう思うだろう。だが、実はそうではない。今年の2月4日、イーグルスは41対33というスリル溢れる展開でペイトリオッツを打ち破ったが、スポーツ・メディア・ウォッチによると、スーパーボウルの視聴者数は前年の1億340万人から7.1パーセントも減少した。また、これは2009年のスーパーボウル以来最低の視聴者数だと米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。
一方、スポーツ・ビジネス・デイリー紙によるとNBAはこの4年間、過去最高のテレビ視聴率を記録しているという。NBAの試合はABC、ESPN、TNT、NBA TVにて放送されており、2017-2018シーズンは1試合平均前年比8パーセント増の128万人が視聴した。4つの提携テレビ局すべてが視聴率を伸ばしている。バークレーのTNTも4年連続で過去最高の視聴者数を記録し、視聴率は13パーセント上昇、平均174万人の視聴者数をたたき出した。スポーツ・メディア・ウォッチによると、ABCで放送された17試合の視聴者数は16パーセント増の平均380万人に上った。
ドナルド・トランプ大統領は引き続きNFLとNFLの選手を愛国心の無い非国民として激しく非難しており、提携テレビ局は3年連続での視聴者数減少を恐れている。
では、なぜNFLが下降する一方でNBAは上昇しているのか?これに関しては、雨上がりのキノコのようにたくさんの説がある。以下はその中の一部だ。
—NFL選手たちは国歌「星条旗」の最中に抗議行動を行なった。NBA選手たちはしていない。
—NFLはトランプから攻撃を受けている。NBAは受けていない。
—NFLはペイトン・マニングのような最も視聴者を引き付ける選手たちを失ってしまった。NBAはレブロン・ジェームズやステフィン・カリーといったテレビ放送に適したスター選手たちを誇っている。
—NFLは選手たちの心身を犠牲にした。ほとんどのNBA選手はケガもなく引退していく。
—NFLは選手たちが政治について語るのを良しとしていない。NBAは選手たちが社会正義について公に語るのを推奨している。
—NFLはビル・ベリチック(ペイトリオッツヘッドコーチ)だ。閉鎖的で、秘密主義で、権威主義。NBAはスティーブ・カー(ウォリアーズヘッドコーチ)だ。開放的で、正直で、協力的。
—NFLは郊外。伝統的で、保守的な国家主義者だ。NBAは都市部。進歩的な国際主義者だ。
—NFLは「赤い州」の共和党支持者。NBAは「青い州」の民主党主義者。
などだ。
(第2回へ続く)
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