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NFLの脳しんとう対処手順とその詳細なタイムラインとガイドラインによって、カンザスシティ・チーフスのシーズンは運命を左右されるかもしれない。パトリック・マホームズは脳しんとうを起こした。そしてマホームズがAFCチャンピオンシップ・ゲームに出場できるかどうかは危ぶまれている。
チーフスはディビジョナル・ラウンドのクリーブランド・ブラウンズ戦で勝利を収めたが、第3クォーターにスーパースターのクォーターバック(以下QB)が脳しんとうを起こした。激しいプレイの最中、マホームズがタックルされて地面に引き落とされた際に、相手選手の腕がマホームズの首に巻き付く形になり、マホームズの頭部は首が曲がったまま地面に激しく衝突した。マホームズは立ち上がろうとしたが、足元がふらついて、もう一度地面に倒れてしまった。マホームズはそのまま故障退場となり、ロッカールームに引き下がった。交代出場した控えのチャド・ヘニーがチーフスのリードを守り切った。
この試合に勝利したチーフスはAFCチャンピオンシップへ駒を進め、スーパーボウル55の出場権をかけてバッファロー・ビルズとの対戦が決まった。だが、NFLが定める5段階の脳しんとう対処手順を経なくてはいけないため、マホームズが出場できるかどうかは今週後半、1月24日(日本時間25日)の試合直前になるまでは分からないかもしれない。
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ディビジョナル・ラウンドの試合後、チーフスのヘッドコーチ、アンディ・リードは「マホームズはもう大丈夫だよ。我々が見る限りは、ポジティブなニュースしかない。彼は課せられたすべての検査をパスしているから、あとはこれから何が必要になるかだ」と述べた。
マホームズ自身も試合後に2回ツイッターで発信した。1つめのツイートでは"#HenneThingIsPossible"のハッシュタグ(訳者注:マホームズと交代したチーフスのQB、チャド・ヘニーのこと)と記し、2つめのツイートでは故障の原因となったタックルをしたブラウンズのラインバッカ―、マーク・ウィルソンに対して「大丈夫だぜ、ブラザー!」と呼びかけた。
All good brother! 💪🏽 https://t.co/ORwLG6eFTV
— Patrick Mahomes II (@PatrickMahomes) January 17, 2021
パトリック・マホームズの欠場期間はどれだけの長さになるか?
NFLの脳しんとう対処手順では選手が復帰するまでの期間を、少なくとも日数の単位では定めてはいない。マホームズが練習と試合に復帰するまでの期間は、リーグの対処手順が定める5つの過程をどれだけ早く進めることができるかにかかっている。
スポーツ専門サイト『The Athletic』によれば、2015年から2019年までの間に29人のQBが脳しんとうを起こし、その欠場期間の中央値は7日間だということだ。だがこの数字は29という少ないサンプルの中央値に過ぎず、それより長くかかった例も、逆に短かった例もある。
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ここでまた重要なことは、脳しんとうからの回復は必ずしも全員が同じように進むとは限らないということだ。いくらリードが試合後にマホームズが大丈夫だったと言ったところで、そしてマホームズ自身が試合後に2回ツイートしたからと言って、それは脳しんとうからどれだけ早く回復できるかの証拠にはならない。
マホームズには大学時代とNFLでのキャリアを通して、1回だけ脳しんとうの故障歴がある。2014年にテキサス工科大学でQBを務めていたときのことだ。そのときマホームズは故障した試合には戻らず、同大チームは次週に試合がなかったが、14日間の間隔があったため次戦で復帰した。
マホームズがNFLの脳しんとう対処手順を経るためには、まずは故障した翌日、つまり1月18日(同19日)に脳しんとう調査を受けることから始まる。そこからマホームズは、対処手順に定められた5つの過程をすべてパスし、そしてチーフスの医療スタッフと第3者の神経内科医から許可を得ないと、試合に復帰することはできない。
NFL脳しんとう対処手順
頭部の故障に共通した方法で対処するため、NFLは5段階の脳しんとう対処手順を定めている。ある選手が脳しんとうと診断されたときは、すべてのチームがその手順に沿って対処しなければならない。これはあるチーム、あるいは選手が、頭部の故障から早く復帰するために優先的なそして危険を伴うかもしれない治療を受けることを防ぐためである。
NFLの頭部、首、そして脊椎の医療委員会は2011年に現在の対処手順を定めた。そしてその手順は第3者及びNFLの医学者と科学者によって毎年再検討され、脳しんとうの診断、検査、そして治療が最新の医学標準に沿っていることが確認されている。
2020年7月に改訂されたNFLの公式な脳しんとう対処手順では試合復帰までの5過程を以下のように定めている。
過程1:症状に限定された活動
選手は休息するか、あるいは必要であれば限定された活動を指示される。症状を進行させるか、あるいは悪化させる活動(身体的及び認知的)は避ける。アスレチック・トレーナーの監視の下で、限定されたストレッチやバランス・トレーニングを始めることはでき、軽い有酸素運動へと進むことも許される。
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過程2:有酸素運動
チーム医療スタッフの直接監視下において、選手は有酸素運動の負荷を徐々に高め、ダイナミック・ストレッチとバランス・トレーニングに取り組むことができる。認知神経科学的及びバランスのテストはこの過程2終了時に行うことができ、その結果は元に戻っていることが望ましい。
過程3:アメフト特有のエクササイズ
選手は監視の下で負荷を高めた有酸素運動を続け、さらにアメフトに特有の動作を混ぜることができ、そして監視された筋力トレーニングを始めることができる。選手はアメフト特有のエクササイズを30分以内に限り、継続的かつ慎重な監視の下に行うことを許される。
過程4:チーム内の接触を伴わないトレーニング・ドリル
選手は有酸素運動、筋力及びバランス・トレーニング、アメフト特有のエクササイズ、そして接触を伴わないアメフト活動(例:スローイング、キャッチング、ランニング、そして他のポジション特有の活動)に参加する。認知神経科学的及びバランスのテストは過程4終了前に完了していなくてはいけない。またその結果は元に戻っていないといけない。
過程5:アメフトのフル活動と復帰許可
チームの医療スタッフが接触を伴うアメフトのすべての活動を許可した後、選手はチームに指定された第3者の神経コンサルタント(INC)の診断を受けなくてはいけない。INCが選手が脳しんとうから回復したと同意した場合、その選手はチームの練習か試合に参加することができる。
誰がパトリック・マホームズの脳しんとうからの復帰を許可しなくはいけないのか?
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上の過程5にあるように、マホームズが練習と試合に完全復帰するには、別々の2つの機関から許可を得なくてはいけない。まず、チーフスの医療スタッフがマホームズに許可を与えなくてはいけない。特にマホームズが脳しんとう対処手順の前段階4過程を経て、すべての検査にパスしたことを証明しなくてはならない。
チーフスの医療スタッフがマホームズに許可を与えた後、マホームズは第3者の神経コンサルタント(INC)からの許可も必要となる。INCは脳の専門家であり、またチームに雇用されていないため、チーフスが試合で有利になるための考慮を除外した判断を下すことができる。INCも許可を与えた場合、マホームズは練習と試合にフル参加することができる。
(翻訳:角谷剛)