NFL選手の抗議に対して怒りを感じているファンたちが、退役軍人の日の週末にリーグをボイコットしようとする動きを呼びかけていた。国歌斉唱中に膝をついて抗議する選手たちに反対してはいるものの、米国在郷軍人会と退役軍人クラブ(以降VFW)は、加盟者に第10週の試合やテレビ放送をボイコットすることを推奨しなかった。それぞれが判断するように指示を出したのだ。
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選手たちが社会的正義を訴えるために膝をついたり、座り込んだり、拳を掲げたりする行動に、NFLがすぐ対応していないことで反感を買っている。しかしコミッショナーのロジャー・グッデルと複数のNFL役員たちは、10月30日にワシントンDCで無党派グループや、米国在郷軍人会(会員240万人)とVFW(同170万人)を含む非営利団体と会議の場を設け、リーグが米国軍、退役軍人、その家族たちをサポートしていることを主張した。
米国在郷軍人会とVFWは国歌斉唱中や国旗が掲揚されるときに起立しないNFL選手たちの行動をよく思っていないとグッデルにはっきりと伝えたものの、選手たちの米憲法修正第1条で保障された権利を順守するとも話した。米国在郷軍人会とVFWのスタンスとしては、退役軍人の日の試合に向けた組織だったボイコットは行なわないというものだった。
ダラス・カウボーイズのオーナー、ジェリー・ジョーンズによるクーデターを阻止しようとしているグッデルにとって退役軍人グループと会う時間を設けたのは賢い選択だった。2016年に始まった選手たちの抗議に対して、同グループは怒りを隠せないでいる。
テレビ視聴率が下がり、スポンサーであるパパ・ジョンズの反感を買い、全国のスタジアムに空席が目立ち始めているなかで、何百万人もいる退役軍人が昨年からソーシャルメディアが火がつき始めた #BoycottNFL 活動に正式に賛同されてしまうと、NFLにとっては大打撃となってしまう。9月25日に米国在郷軍人会のリーダーであるデニース・H・ローハンがNFL選手たちを「見当違いで恩知らず」と口撃したときは、実際にその方向に動くのではないかと思われた。NFLの試合や他のスポーツイベントで連帯感を表す行為が政治問題化されてしまったことを彼女は嘆いた。
アメリカ国旗のルールとして「国歌斉唱中や全員が起立しなければならない。作曲された時は政治的なものではなく、今もそれを守るべき。何かをやる権利があっても、それが正しいとは限らない」とローハンは語った。
「チームメイトがロッカールームに残るなか、アーミー・レンジャーであるアレハンドロ・ビラヌエバ(ピッツバーグ・スティーラーズ)がひとりで国歌斉唱に起立したことを称えます(第3週のシカゴ・ベアーズ戦)。NASCARも我々の国歌に敬意を払っている。抗議は様々な形でできるが、国歌斉唱は全員が立ち上がり、ひとつのアメリカ合衆国であることを示す時間であるべきだ」。
米国在郷軍人会とのミーティングにはグッデルの他に、サンフランシスコ・49ersのCEOであるジェッド・ヨーク、アリゾナ・カーディナルズの社長であるマイケル・ビッドウィルも参加し、NFL側は米国在郷軍人会のバーナ・ジョーンズ理事と広報のチャニン・ナンタボング氏に、選手たちの抗議についてどう感じているか質問した。米国在郷軍人会は、1919年に発足されて以来ずっと国旗・国歌に対する考えは変わっていないとグッデルに伝えたのだ。
(第2話につづく)
原文:With Veterans Day looming, NFL holds sit-down with angry veterans groups
翻訳:大西玲央