原文公開日:現地2018年9月12日
NFLのジェネラル・マネージャー(GM)にとって最も危険なことのひとつは、大物フリーエージェント選手と契約して賭けに出ることだ。それは大いなる成功へのチケットにもなり得るし、クビになる要因にもなり得る。
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まだシーズンの第1週が終わったばかりだが、ミネソタ・バイキングスのGMリック・スピールマンは、2018年フリーエージェントにおける早期の勝者だ。クォーターバックのカーク・カズンズ、そしてディフェンシブタックルのシェルドン・リチャードソンが開幕戦で力強いパフォーマンスを見せた。
カズンズはおそらく、昨オフのフリーエージェント市場で最も大物の選手だった。バイキングスは8400万ドルが保証された3年契約で、彼を獲得した。リチャードソンとはいくつかのインセンティブが付随した1年800万ドルの契約を結んだ。
バイキングスはこれまで、そのような大型契約は控え、生え抜きの選手たちにお金をかける傾向があった。スピールマンGMは明らかに、スーパーボウルを目指している。カズンズとリチャードソンに加え、レシーバーのステフォン・ディグスとダニエル・ハンター、そしてラインバッカーのエリック・ケンドリックスとも契約を延長している。
チームは才能豊かな高給取りの選手たちで溢れている。ヘッドコーチのマイク・ジマー、そして彼のスタッフたちは、スーパーボウルまであと1勝まで迫った昨年を越える成功を収めなければならず、プレッシャーがのしかかる。
サンフランシスコ・49ers、そして今は人間に戻ったクォーターバックのジミー・ガロポロに24—16で勝利したバイキングスは、今のところ順調だ。
昨年、先発クォーターバックとして12勝3敗という成績を残したケース・キーナムの後釜となったカズンズには、多大な期待がかかる。しかし、元ワシントン・レッドスキンズのカズンズは開幕戦で、ふたつの完璧なタッチダウンパスを決めるなど活躍した。ひとつはディグスへ、もうひとつはタイトエンドのカイル・ルドルフへ。そしてカズンズは、相手の優れたディフェンス陣からプレッシャーをかけられながらも、ターンオーバーを許さなかった。
カズンズは36回中20回のパスを決め、計244ヤード、2つのダッチダウンを決めた。また、時間切れギリギリに見せた、26ヤード走って複数のディフェンダーに向かって頭からダイブしたプレーは、チームメイトから称賛された。オールプロのセイフティ、ハリソン・スミスは「あのプレーは大好きだね。フロントオフィスとコーチ陣がどう思うかはわからないけど、僕は大好きだ」
ルドルフはこう言った。「ああいうプレーをする選手は多くない。カークは僕が見てきた中で最高のコンペティターだね」。
カズンズは試合序盤、そのリーダーシップを遺憾なく発揮した。しかし、完ぺきではなかった。最後8つのパスは失敗に終わった。故障により万全ではない新たなオフェンス陣と上手く連動する工夫が必要だ。
リチャードソンはこれまで、フィールド内外で浮き沈みを経験してきた。彼のキャリアはドラフト1巡目指名、ディフェンシブ・ルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞したニューヨーク・ジェッツでの2013年から始まり、昨シーズンはトレードでシアトル・シーホークスに。今年フリーエージェントとなり、あまり熱心な誘いが多くないことに気付くと、彼はインセンティブベースの1年契約を結んだ。
リチャードソンは開幕戦、6つのタックルなど破壊的なパフォーマンスを見せた。バイキングスが49ersの最後の反撃を食い止めようとしたとき、彼は大いに貢献した。ガロポロのパスを乱し、スミスのインターセプトにつなげ、チームを勝利に導いた。
リチャードソンはハンター、そしてプロボウラーのエバーソン・グリフェンと共に、安定したプレーを見せた。リンバル・ジョセフも含めた一同は、私がバイキングスのキャリアで初期に見たグループを彷彿とされた。殿堂入りしたアラン・ページとカール・エラー、そしてキャプテンのジム・マーシャルからなる“パープル・ピーポー・イーターズ”だ。
プレシーズン中、ジマーはリチャードソンを過小評価していた。昨年リーグトップを誇ったディフェンス陣にひとり、先発の選手が加わっただけという風に見なされていた(ベテラン選手にとっては珍しいことではない)。しかしヘッドコーチのジマーは、今後の期待をはっきりと述べている。
「彼がどんな風にプレーするか、どんな風にプレーすべきか、私はわかっている」ジマーは言った。「彼は本当に、本当に良いプレーをした。たくさんのタックルを決めた。ハードにプレーした。あんな風にプレーし続けてもらいたい」。
さて、現地16日、ランボー・フィールドでグリーンベイ・パッカーズと対戦する際は、開幕戦と同じかそれ以上にハイレベルなプレーが求められる。もしパッカーズのクォーターバック、アーロン・ロジャースがシカゴ・ベアーズ戦で負ったヒザの故障から充分に回復しているとするならば。
バイキングスは49ersのクリエイティブなオフェンスを前に、いくらか綻びを見せた。バイキングスの先発コーナーバック、トレイ・ウェインズが故障で途中退場した(今週復帰予定)ことを受けて、パッカーズのヘッドコーチ、マイク・マッカーシーは間違いなく、ディフェンスの穴を狙ってくるだろう。
もしロジャースが出場するなら、彼がアンソニー・バーと対戦することに闘志を燃やすことをマッカーシーはわかっている。プロボウラーのラインバッカーであるバーは、昨年10月にロジャースの鎖骨を折り、パッカーズの2017年シーズンを終了させた。ロジャースとバーは故障後、不穏な言葉を交わしている。
もしロジャースがパッカーズのオフェンスを牽引するなら、カズンズへの期待も高まる。スーパーボウルを争う同地区のチームによる、シーズン序盤の重要な対戦だ。
バイキングスにとって良いニュースもある。カズンズは7年間のキャリアで、最も充実したチームメイトたちに囲まれている。レシーバーのアダム・シーレンとディグス、タイトエンドのカイル・ルドルフらと共に、若い選手が多いパッカーズのディフェンス陣と対戦する。ダルビン・クックはNFL屈指の万能ランニングバックで、ラタビアス・マレーは試合の時間をコントロールし、ロジャースにプレーをされないようにする能力を持つ優秀なナンバー2だ。しかし、オフェンス陣にはより安定したプレーが求められる。
これからの要素が重なり合って、この試合は開幕第2週の最も見ごたえある試合のひとつになる。バイキングスにとっては、フリーエージェントでやって来たカズンズとリチャードソンがデビュー戦以上の活躍を見せることができるかどうかがポイントだ。
筆者プロフィール
ジェフ・ダイヤモンド:ヒューストン・テキサンズの元プレジデントで、ミネソタ・バイキングスの元副プレジデント兼GM。NFL最優秀役員賞を1998年に受賞。現在、ビジネスとスポーツのコンサルタントを務める傍ら、テレビやネット上のメディアでも活動している。ダイアモンドは法人や市民団体への公演活動や、「交渉とスポーツビジネス/スポーツマネジメント」について大学で講義している。ザ・イングラム・グループの元会長兼CEO。
原文:Vikings' free-agency risks pay off early, but bigger test awaits in Week 2
翻訳:Muneharu Uchino
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