復活間近? スーパースターJ.J.ワットはテキサンズで生き残れるか

Jeff Diamond

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今年のNFLのトレーニングキャンプで最も前向きな話題の一つは、ヒューストン・テキサンズのJ.J.ワットが再生しつつある兆候が早い段階で見えたことだ。2018年にプロボウル級のプレーをすれば、このディフェンシブエンドはカムバック賞の最有力候補になるだろうし、昨シーズン4勝12敗と急降下したヒューストンが、急速に強くなったAFC南地区でトップの座を取り戻すことを助けるだろう。

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だが、それ以外の選択肢はあまり美しいものではない。

私は経験上、特にワットのようにチームの顔であり続け、地元に愛されている人気選手を解雇したいGMはいないということが分かる。しかし、健康でいられない選手がロースターにいて、今後2シーズンで2,400万ドルも稼ぐ予定なのかとチームのオーナーから聞かれたいGMもいないはずだ。

ワットは2シーズンケガに泣かされてきたが、その間、NFL最優秀守備選手に3度輝いた彼は24試合欠場し、わずか1.5サックしか記録していない。しかしテキサンズのビル・オブライエンヘッドコーチは先週、率直なコメントを発表した。それはライバルチームに恐怖を植え付ける一方で、ワットやテキサンズのディフェンス陣、ファン基盤に自信を持たせようとする試みとも解釈できるものだった。

「(ワットの)2014年と2015年は間違いなく、これまでのいかなるポジションのいかなる選手にとっても最高の2シーズンでした。私にはこの夏、それが見えます。彼がそれを再現できない理由はありません」

29歳でNFL8シーズン目に突入するワットが、ランディフェンスでもトップクラスでありながら、20.5サックを記録した2014年や17.5サックを記録した2015年の状態に近づけるのであれば、オブライエンとテキサンズは胸を踊らせることだろう。フィールド上だけでなく、NFLマン・オブ・ザ・イヤー賞受賞にもつながった慈善活動にも関心しているヒューストン市民やNFLファンも同じだろう。

しかし、もし彼がその状態でフィールドに戻ってこなかったらどうだろう? ワットが解雇、あるいは年俸カットやトレードを受け入れてテキサンズを去るという考えは、ヒューストンでは冒涜とされている。しかし、これはスーパースター級の年俸をもらっているどの選手も対処しなくてはならない現実である。

ワットも間違いなく、その範疇に入る。

ワットの1億ドルの大型契約(2014年にサイン)における保証額は、早い段階で支払われている。テキサンズの新GM、ブライアン・ゲインとチームは、今シーズン終了後にワットを解雇かトレードした場合、2019年のサラリーキャップからワットの1,300万ドルを空けられる一方で、計上するデッドマネーはわずか200万ドルだ。

来年、ディフェンシブエンドのジェイデビオン・クロウニーと大型の契約延長の可能性がある中、そのお金は役に立つ。しかし、もしワットがシーズンを通して健康でいて、少なくとも二桁のサックを記録したらどうなるだろう。そうなるとテキサンズは少なくとも来シーズンは、サラリーキャップを何とかやり繰りしようとするに違いない。短期的には、2年目のクォーターバック、デショーン・ワトソンが2,000万~3,000万ドルのクォーターバックたちの仲間に加わるまで、あと数年のびることとなるだろう。

ワットの基本給は2020年に1,550万ドルに、2021年には1,750万ドルに跳ね上がる。この数字はヒューストンにとって、ワットがその時点で安定した選手であっても、スーパースター選手でなくなり、そして、ワトソンがエリートの地位に上り詰めていた場合に問題となる。その頃、クロウニーが年2,000万ドル近く稼いでいることが予想される中、ワットがプロボウルレベルのプレーをしていなければ、年俸カットか解雇の時期だろう。

個人的には、3-4ディフェンスの中心的ディフェンシブエンドとしてワットがトップかそれに近い状態に戻った姿をぜひ見たい。私は2011年にワットと両親に会い、彼がNFLドラフトに参加する時に私の代理人グループに勧誘しようとした(我々は2番手だったが、残念ながらこれは代理人ビジネスでは決して良いことではない)。

ワットの両親はとてもすてきな人だった。彼は当時も今も極めて好かれる人間で一流の人物だ。彼はすばらしい練習態度でNFLの信頼を高めているし、若手選手にとって最高のお手本だ。私のNFLのマネジメントのキャリアにおいて常に求めていた選手なのだ。

ワットの全てのファンと同じように、私も彼のすばらしい進捗状況について聞くのはうれしい。しかし、元GMとしては、口から出る話というのは生半可であることも知っている。

ワットに対する世間の注目は、ヒューストンがニューイングランド・ペイトリオッツ戦でレギュラーシーズンをスタートさせる9月9日から大きくなり始めるだろう。ワットがいいプレーをしていれば、彼はペイトリオッツのビル・ベリチックヘッドコーチと彼の高名なオフェンスラインコーチがぶつけてくるダブルチームブロックに打ち勝たなければならない。

だから、注目し続けてほしい。ワットの復活が本当に証明されるのは、レギュラーシーズンとプレーオフ(もしヒューストンがそこまで行けば)で彼のプレーを見てからだ。

筆者プロフィール

ジェフ・ダイヤモンド:ヒューストン・テキサンズの元プレジデントで、ミネソタ・バイキングスの元副プレジデント兼GM。NFL最優秀役員賞を1998年に受賞。現在、ビジネスとスポーツのコンサルタントを務める傍ら、テレビやネット上のメディアでも活動している。ダイアモンドは法人や市民団体への公演活動や、「交渉とスポーツビジネス/スポーツマネジメント」について大学で講義している。ザ・イングラム・グループの元会長兼CEO。

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原文:To avoid release, trade or pay cut, J.J. Watt needs true reclamation with Texans

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

Jeff Diamond

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Jeff Diamond is former president of the Titans, and former vice president/general manager of the Vikings. He was selected NFL Executive of the Year in 1998. Diamond is currently a business and sports consultant who also does broadcast and online media work. He is former chairman and CEO of The Ingram Group. Follow Jeff on Twitter: @jeffdiamondNFL