好調ベアーズ、数年に渡る補強が実り33年ぶりの栄冠も近い?

Jeff Diamond

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第3週のアリゾナ・カージナルス戦の第4クォーター、シカゴ・ベアーズが14‐0から逆転でスコアを16‐14としたのを見て、ベアーズのファンは息を飲んだ。試合終了4分31秒前、コーディー・パーキーによる43ヤードのフィールドゴールでリードを奪ったベアーズは、この試合まで22試合連続で、リードを奪われたまま第4クォーターに突入した試合を落としていた。

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ディフェンシブ・コーディネーターのヴィック・ファンジオは、コーナーバックのシェリック・マクマニスをブリッツ(奇襲攻撃)に送り、マクマニスは相手クォーターバックのジョッシュ・ローゼンを封じた。勝利したベアーズは2勝1敗で、NFC北地区のトップに立った。

まだ2018年シーズンの序盤ではあるが、ベアーズはNFLにおいて最も改善を見せているチームに見える。その大部分は、ジェネラル・マネージャー(GM)のライアン・ペースが過去数年間に渡り手掛けてきた補強によるものだろう。

昨年5勝11敗だったベアーズは、これでシアトル・シーホークスとカージナルスに連勝。カイル・フラーがグリーンベイ・パッカーズ戦でインターセプトに失敗していなければ、3連勝だった。ヘッドコーチのマット・ナギー、そしてチームは、開幕戦での悔しい敗戦から見事に立ち直った。

アンディー・リード(カンザスシティ・チーフスの現ヘッドコーチ)と信条を共にするナギーは、3試合でタッチダウンが僅か4つ(NFL26位)のオフェンスにまだまだテコ入れをしなければならない。2年目のクォーターバック、ミッチ・トゥルービスキーはレイティング77.8、タッチダウンパス2つ、3つのインターセプトという成績だ。

一方でベアーズのディフェンスは、チームの再建を支えており、かの有名な異名「モンスターズ・オブ・ザ・ミッドウェイ」再来を思わせる。

ここまでのところ、ペースはラインバッカーのカリル・マックを獲得したことによって、NFL史上最大級のお得な取引を成し遂げた模様だ。失ったものは、今後2年の1巡目指名権を含むドラフト指名権だけ。マックはオークランド・レイダースと契約を巡りもめていたためプレシーズンを全休したが、今季はサック回数(4)、ファンブルフォース回数(3)でリーグトップに立っている。

マックの加入は、チームにとってさらなる朗報であり、チームは現在、トータルディフェンスで5位、14サックでリーグトップ、5インターセプトで3位タイとなっている。

3度のプロボウル選出を誇る27歳の怪物獲得に際して、新記録となる契約延長を含めてペースが支払ったものに不満を感じている人はシカゴにはいない。元GMとして、私も興奮を覚えながらその契約を成立させただろう。

マークのトレード、そしてベアーズの力強いシーズン序盤を受けて、シカゴメディアとファンの見方は劇的に変わった。ペースがGMになってからの3年間は14勝34敗で、彼はいつクビを切られてもおかしくない立場にいたが、ベアーズ筆頭オーナー兼会長のジョージ・マカスキーと球団社長のテッド・フィリップスはペースGMに固執し、ベテランヘッドコーチのジョン・フォックスを解雇した。そして、大学でもNFLでもヘッドコーチの経験がなかった40歳のナギーを新ヘッドコーチに迎え入れた。

現時点では、その動きはとてもスマートなものだったように見える。

マカスキーとフィリップスは、ペースがフリーエージェント選手の獲得によってチームの戦力を底上げしてきたように感じていた。たとえば2016年に獲得したタックラー、ダニー・トレバサンや、2017年に獲得したコーナーバックのプリンス・アムカマラ。さらに、1000ヤードを2度記録したジョーダン・ハワードや万能選手タリク・コーエン、エディー・ジャクソンといった才能ある若手選手をドラフトで獲得してきた。

今年、ペースはさらに3人の貴重なフリーエージェント選手を獲得し、彼らは先発出場し、トゥルービスキーにさらなる武器を提供している。ワイドレシーバーのアレン・ロビンソンとテイラー・ガブリエル、そしてタイトエンドのトレイ・バートンだ。ぺースはさらに手堅い戦力であるパーキー、そしてラインバッカーのロクアン・スミスも獲得した。スミスはベアーズのドラフト1巡目指名選手であり、出場時間の増加と共に12タックル、1サックをここまで決めている。

上記の補強全てにおいて、ペースは大胆な補強を恐れていないことを示した。マックのトレード以上だ。マックは現在0勝3敗のレイダースから授かったギフトであり、レイダースは彼の価値を明らかに見誤った。ペースはまた、パッカーズが今年3月、フラーに単年1400万ドルのオファーを提示した直後、同じ条件を提示してフラーと契約延長した。

ペースが取った最大のリスクは、2017年ドラフト全体2位指名でトゥルービスキーを獲得したことだった。このクォーターバックは、ノースカロライナ大学でたった1シーズンしか先発メンバーではなかった。その他の1巡目指名選手、パトリック・マホームズ2世やデショーン・ワトソンよりも先にトゥルービスキーが指名されたことは、多くのドラフト分析家を驚かせた。

トゥルービスキーの獲得については、今なお疑いの目が多くある。特にマホームズは今季、無敗のチーフスで素晴らしいスタートを切り、ワトソンは昨年、ケガで戦列を離れるまでヒューストン・テキサンズで素晴らしい活躍をした。しかし、彼らは2年目の選手たちだ。もう数シーズン見てみないと、何とも言えない。マホームズやワトソンがレシーバー陣に恵まれていたという事実も考慮しないといけない。

ナギーとペースは今、さらなる挑戦を前にしている。まずは30日、タンパベイ・バッカニアーズがリーグ最高のオフェンスをソルジャー・フィールドに引き連れてくる。さらにシーズンが深まると、同地区内の重要な対戦が待っている。昨年覇者のミネソタ・バイキングス対パッカーズのような一戦が。今、全4チームがしのぎを削っているように見える。

シカゴのファンたちにとって、愛すべき1985年のベアーズがスーパーボウルを制してから33年が経つ。2010年以来プレーオフに進出していないという事実が、勝利に慣れ親しんだ街の人々をソワソワさせている。考えてみて欲しい。マイケル・ジョーダンのブルズ(NBA)、ブラックホークス(NHL)が最近見せたスタンレーカップでの健闘、そしてカブス(MLB)が2年前に見せた歴史的優勝を。

おそらくマックとその仲間たちは、そのディフェンス力を持って、ベアーズ創設者のジョージ・ハラスが率いた1963年のチーム、そして殿堂入り選手たちが率いた1985年のチームと同じように、チームを優勝に導くことができるだろう。

今後数年でチームが栄冠を手にするか否かの鍵は、誰もが知っている。ベアーズはトゥルービスキーに、トップクラスのクォーターバックに成長してもらう必要があるのだ。

筆者プロフィール

ジェフ・ダイヤモンド:ヒューストン・テキサンズの元プレジデントで、ミネソタ・バイキングスの元副プレジデント兼GM。NFL最優秀役員賞を1998年に受賞。現在、ビジネスとスポーツのコンサルタントを務める傍ら、テレビやネット上のメディアでも活動している。ダイアモンドは法人や市民団体への公演活動や、「交渉とスポーツビジネス/スポーツマネジメント」について大学で講義している。ザ・イングラム・グループの元会長兼CEO。

原文:NFL's most improved team? Bears reaping benefits of GM Ryan Pace's risks

翻訳:Muneharu Uchino


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Jeff Diamond is former president of the Titans, and former vice president/general manager of the Vikings. He was selected NFL Executive of the Year in 1998. Diamond is currently a business and sports consultant who also does broadcast and online media work. He is former chairman and CEO of The Ingram Group. Follow Jeff on Twitter: @jeffdiamondNFL