ホントにあったウソみたいな話:NFLドラフトの珍事17選【第1回】

Jordan Heck

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フットボールファンにとって一年の中でも重要なイベントの一つであるNFLのドラフトは、ファンによって何百通りにも分析される。いつの時代もそうだったという訳ではない。このソーシャルメディアの時代において、真偽が分からないものや、飽和状態のニュースが急速に広まるようになってからの話だ。

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ラレミー・タンシルのスキャンダルのように、ドラフトの時期に何か変わったことが起これば、1分もしないうちにツイッターで広まってしまう。しかし昔であれば、こんな出来事は何の対応策をしなくとも見落とされていたことだろう。それを今回は洗い出してみることにした。

タンシルのスキャンダルから、ジョン・ウェインのドラフトの日までさかのぼり、これまでのNFLドラフトの歴史で起きた様々な珍事を紹介しよう。

特別賞:すでに死亡している選手をドラフト指名(しかも2回も!)

NFLの珍事を紹介すると言ったが、カナディアン・フットボール・リーグ(CFL)のドラフトで起きたこの奇妙な出来事は紹介せずにはいられない。なんと2年続けて、すでに死亡している選手が指名されたのだ。

初めてそれが起きたのは1995年。オタワ・ラフ・ライダーズが、前年に車の事故で死亡したデレル・ロバートソンを4巡目で指名したのだ。

「どうしてこんなことになったのか分からない。CFLは、私たちが伝えるまで彼の死を知らなかった。私たちも、その一週間前まで、彼が死亡していることを知らなかったのだ」とライダーズの監督だったジム・ギルストラップは当時、オタワ・サン誌に語っている。

そして翌年の1996年、また同じことが起こった。モントリオール・アルエッツは、ディフェンシブエンドのジェームス・エギンクを5巡目に指名した。しかしエギンクが前年に癌で死亡していた事実を、チームはのちに知ったのだった。

まさに“今どき”な悲劇:SNSに翻弄されたラレミー・タンシルの大惨事

全体指名1位候補であったミシシッピ大学のオフェンシブタックル、ラレミー・タンシル。自分の株が暴落したことに気づいたときには、2016年のNFLドラフトはまだ始まってもいなかった。暴落の原因は、タンシルのハッキングされたツイッターに、ある動画が投稿されたからだ。その動画には、ガスマスクをつけて水パイプでマリファナを吸っているタンシルが映っていたのだ。

この動画によって多くのチームがタンシルから手を引き、暴落し続けるタンシルの株は、マイアミ・ドルフィンズが第13位で指名したことでやっと止まった。しかし、どういうわけか、災難はこれでは終わらなかった。この数分後、今度はインスタグラムがハッキングされ、個人的なメール内容をバラされるという攻撃を受けたのだ。そのメールによって、ミシシッピ大学の監督がタンシルに家賃などの援助をしていたことが明るみに出てしまった。

最終的にタンシルはこのメールの内容を認めた。誰もが疑ったハッキングの第一容疑者は、容疑を否認した。そしてこれだけのことがあったタンシルは、ドルフィンズでの初会見の前にアレルギー反応が出てしまった。

なんというキャリアのスタートだろうか。

「よく聞こえなかったから」間違った選手を指名してしまったバッカニアーズ

1982年のドラフトでは、タンパベイ・バッカニアーズがコミュニケーション不足によって、第1巡目に間違った選手を指名するという事態を引き起こした。

バッカニアーズは、ディフェンシブエンドのブッカー・リーズとガードのシーン・ファレルのどちらを第17位指名にするか決めかねていた。設備マネジャーのパット・マーキュシロは二人の名前を受け取っており、上層部がどちらかを選ぶまで待つように言われていた。

そしてバッカニアーズはリーズに決めたのだが、マーキュシロが聞いた内容は違っていた。人事の幹部だったケン・ヘロックがスポーツ・イラストレイテッドにことの全貌を語った。

「チームはどちらの選手も必要としていた。しかし、じっくり検討して話し合ったあと、ブッカー・リーズで行こうと決断を下した。それで私はマーキュシロに伝えたんだ。“よく聞いてくれ、マーキュシロ。そこに二人の名前があるな。チームはシーン・ファレルでは行かない”。さらに私は続けて“ブッカー・リーズで行くことにした。それで提出してきてくれ”と言ったんだ。だけどマーキュシロは周りがうるさくてブッカー・リーズの部分が聞こえていなかったんだ。彼は、チームがシーン・ファレルで行くから、それで提出してくれと受けとってしまったんだ」。

なんということだ。そしてこの話には続きがある。バッカニアーズはリーズの才能を高く買っており、リーズが第2巡目に残っていたため、来年の第1巡指名権とトレードして彼を指名したのだった。

その後の二人はというと、リーズは薬物で逮捕され、ファレルはNFLで11年もキャリアを続けた偉大な選手となった。

第2回へ続く)

Jordan Heck

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Jordan Heck is a Social Media Producer at Sporting News. Before working here, he was a Digital Content Producer at The Indianapolis Star. He graduated with a degree from Indiana University.